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タロウ
クエン酸サイクルとジャイアント・ステップスの関連性
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シナモンパウダーでも飛べないことはないことを発見した朝、タロウは独り言している自分にふと気づいて少し怖くなった。一体いつから呟いていたんだろう。
後ろの席でBBAがマシンガントークしてる。頼むから眠らせてくれ。夜勤明けなんだぜ? 喋ることでストレス解消してるんだろうが息継ぎするのも忘れてベシャってるってすごくね?
そのうち、新たなお客さんが1人加わって、3人であーだこーだと話しはじめたが、じょじょにここには書けないような、それこそ囁くような声音で密かに交わされるであろうヤバイ内容の話を大声で話しはじめた。
たぶん、本人たちはそれが法に抵触する事であるという意識がまったくないのだろうと思った。
それはともかく眠いのだった。今ならば脇腹にコルトガバメントM1911を突きつけられ「にーちゃん、いま寝たら横っ腹に風穴あけてやんよ?」と言われても、構わず眠るだろう。そのくらい眠かった。
するとヤツはこういう。「そうかい、じゃ永遠にオネンネしてな、あばよ」ズコーン! 土手っ腹に風穴を開けられたはずのオレはしかし、血など一滴も流していなかったし、スースーしてもいなかった。ピストルで撃たれたならば、こうなんていうか、焼け火ばしを突っ込まれたような痛みを感じ、その後は顫えるほど寒くなってくるものだとばかり思っていたが、そんなこともないようだった。
まあ、ほんとうに撃たれたならばそういうことになるのかもしれないのだが、ありがたいことにどうやらどこも撃たれた様子はなかった。血も飛び散ったりなどしていない。あたりまえだった。ワルサーだかベレッタだかコルトだか知らないが、そんな危ないものを携帯することをこの国では認めていない。だけれど、殺傷能力を有するものはほかにいくらでもある。というか動機とその目的を果たすという強い殺意さえあれば、どんなものでも凶器となり得る。なので、ピストルやライフルを所持していないから安全である、とか柳刃包丁やらバタフライナイフを持っていないから殺意はない、などとは到底言えないのだった。
それは確かにそう。しかし、なぜまたデオキシリボ核酸は二重螺旋構造をとっているのか、わからないのだった。まるで吉凶禍福は糾える縄の如し、の人生そのままじゃないか。遺伝子情報がすべて記録されているのだから、まさにそれでいいのだろう。それにしても雨は降り続いている。たぶん毎年同じように梅雨明けはまだなのかと考えたり、夏になれば夏で、今年の夏は去年より全然暑い、などと思うのだ。ヒトは忘れることができるようになっている。それはまさに糾える縄の如く吉凶禍福がやってくるのだから、楽しいことはともかく、辛い事苦しい事は時間の経過とともに忘れてしまわなければならないからだろう。
今は眠くて仕方ないのに眠れないのは、外的な要因からだけれど、眠れない時、自分は好きな子の名前を心の中で呼ぶようにしている。眠れないことを危機的状況などというと大袈裟かもしれないけれど、どんな人も経験があると思うその状況は、焦れば焦るほど眠れない。だが、好きな子の名を呼ぶようにしたら、自然に心穏やかになり、眠りへと誘われるのだった。
しかし、きょうは寝しなに変な会話を聞かされたので、もうまったく眠くなってくれないのだった。今はどの辺りなのか、チラリと眼を開けてみると遠くにデカいマンションが見えた。いつも眠っているのだから、見覚えもない。
高めのポニーにした若い子が見えた。顔を見て驚いた全然、若くなんてない。服もちょっとセンスが違うから日本人ではないのかもしれない。
気づけばもう8月になる。梅雨が明けて一気に暑さに襲われる。無防備な肌はちりちりと灼かれ脳もオーバーヒートして暴走しはじめる。ひりひりと胸は痛み、暗い欲望が頭をもたげる。シャワーを浴びてキンキンに冷やしたワインをがぶ飲みし欲望のままに身体を合わせる。そんな事ももう遠い彼方の出来事だ。
そういえば、帰り際に半ギレしてたお兄さんにも困ったもんだ。なぜまたあれほどまでにキレやすいのか。仕事にも少しだけ慣れて、いよいよ地金が出てきたのだろうか。厨房じゃあるまいし、ホンマに笑かしてくれるが、あのわけのわからぬ怒気を含んだ狂気の眼差しで恫喝された方はたまったもんじゃない。
だいたいにおいて、そういう輩は、人によって態度を変える。自分よりも弱いと見なすとなめた態度をとるし、自分よりも明らかに上だと認識すると、ヘイコラする。そんな彼は、同僚のちょっとしたミスを許すことなく、新人イビリかよと、先輩を恫喝したのだという。
「24歳に見える47歳主婦」とは、ちょっとニュアンスは異なるが羊頭を掲げて狗肉を売る的な裏表のある人物だったようだ。だが、これから先輩たちに仕事を教えてもらう立場であるのに逆ギレして罵声を浴びせるということは周囲の者とうまくやっていくつもりが、はなからないという事ではないだろうか。
それ相応の覚悟がない限り、入社したての新人が先輩に対してキレ、怒鳴り散らすなどということができるはずもない。もし仮にできるとしたなら、そいつはただのバカか、頭がおかしいやつにちがいない。まあ、いわゆるモンスターはどこにでもいるということか。何も異世界に召喚されずとも魔物やモンスターはリアルにそこらじゅうにいるのだった。
半ギレお兄さんの話はこのくらいにしておこう。しかし、なかなか終点に到着しない。いつもは眠っているせいか、時間がかかりすぎるなどと思ったことはなかった。むしろ、もう着いたのかと思うくらいで。
そういえば、クエン酸サイクルというのを知っているだろうか。ヒトは、美味しいものを食べ、それにより命を繋いでいけるが、その食べ物である、たとえば糖質だとか、蛋白質、脂質という、エネルギー源を体内で使用できるように変換させなければいけない。
つまり、咀嚼吸収された食べ物は、そのまま使用できるわけではない。体内でエネルギーとして用いられるようにATPという(アデノシン3リン酸)という物質になるらしい。わかりやすく言うと、普通自動車にガソリンじゃないものをいくら入れても走らないのと似ている。
ヒトは体内でクエン酸サイクルにより、このATPを作り出しているらしい。その変換はハンパない。ちなみにジョン・コルトレーンの有名な曲で「ジャイアント・ステップス」というのがあるが、それは1小節半から長くても2小節で曲のキーが変わるという、目まぐるしさであり体内に取り込まれた栄養素が、アセチルCoA活性酢酸となり、それがオキサロ酢酸と結合して、クエン酸となり、そこから七種もの酸に変換され、再びクエン酸に戻るという、七変化を繰り返しながら、ATPを作り出していくさまに、ジャイアント・ステップスのめくるめくコードチェンジを思い出したのだった。んなアホなw
そのクエン酸サイクルの一回転で、ATPの分子が12個作られるらしい。つまり、それがヒトという自動車を動かす燃料となるわけだ。しかし、なんでまたクエン酸回路の話になったのかというと、なんでだろう自分でもよくわからないのだけれど、そうそう、ダイエットのことを考えていたからだ。
糖質を控える食事なんて真っ平ごめんで、ご飯とパンはやっぱり食べたい。糖質を摂取してもエネルギーとして代謝してしまえばいいのだから、そこでクエン酸サイクルということになったのだった。基礎代謝を高める、これがやはり重要なのではないか。
また、ゆっくりと目を閉じる。そういえば、いただきもののハーゲンダッツを食べないままま出てきてしまった。糖質というか、甘いものを規制しているので、どうしようか迷っている内に忘れてしまったのだった。
ところで俺には、誰にも口外できない秘密がある。実は何人も手にかけた殺人犯なのかもしれないが、まったく逃亡生活など送っていないし、お金にも困っていないので、仕事などする必要はないのだが、日がな一日マンションの部屋に引きこもっているのは、性に合わないし、かといってギャンブルも好きではないから、競馬やパチンコもやらない。
ある小金持ちの人が言っていたが、「大金を稼いで駅の立ち食い蕎麦を食う優越感」たしかそんな言葉だったが、プチブルジョアが高級レストランで、シャトーブリアンを食べるなんてのは、あたりまえすぎてつまらない。むしろ、質素な食事をすることを楽しむのが、自然体だろう。
ここでいいたいのは、駅の立ち食い蕎麦屋で、疲れたサラリーマンに囲まれて、一緒にかけ蕎麦を食べるというのは、こいつらは稼ぎの少ないしがないサラリーマンでしかない、そんなやつらに比べたら、金に困っていない俺はなんて自由なんだろうという、他の人を見下したくだらない優越感ではない。
好きな事をやって、時間もお金も自由になっているという優越感だと思う。つまり、逆説的になるけれど、たとえ質素な生活、質素な食事であろうとも自然と心から感謝して、楽しめることができる、そういう人ならば、労せずして、お金が向こうからやってくるのだと思っている。
つまり、逆なのだ。お金が欲しい欲しいと思っているあいだは、お金は入ってこない。つまり、心に余裕がない内はお金には縁がないのかもしれない。お金への強い執着がお金を寄せ付けないというのはあながち間違いではないだろう。
お金も女性も同様で、ほしいほしいという執着が相手の心を冷めさせてしまう。容器に入れた水のように、引っ張ると水は向こうに逃げてしまうが、押しやると、こっちに近づいてくる。執着心はほんとうに曲者で、この執着と我を取り去ることが出来たなら、大したものらしい。
先ほど殺人犯かもしれないということを書いたが心配しないでほしい、後家殺しというやつだ。後家さんを何人か殺している。法に抵触するのはご法度だ。決められたルールの中で頑張らなければ、意味がない。しかし、世の中にはズルをして一等賞を取ってもつまらないだけだと思わない人が多いらしい。
自分さえ、或いは自分たちさえよければ、他の人はどうだっていいという人ばかりの世の中になったら、世界はすぐさま滅び去ってしまうだろう。だが、犯罪というのは、スリルを味わうためにやる輩も多いのではないだろうか。
広義の所謂フィルム・ノワールは大好きであり、犯罪モノばかり観ている気がするが、確かに現在のどうにもならない状況から脱出するためには、大金がいるのかもしれない。それも一気に大金を得たい。しかし、まんまと億単位のお金を手に入れたとしても、湯水の如く使ってしまい、瞬く間に元の木阿弥になってしまうのではないか。
もう疲れたので、これから所轄に出頭します。お読みいただきありがとうございました。
◇
以上は、バスの中でタロウがうつらうつら眠っている間にスマホに打ち込まれていたものだ。ナルミの他にも何人かタロウの中に確実にいるらしい。
丸っきりの私見だが、誰しもまさかとは思うだろうけれど、ひとりの脳の中にその主人格の他に何人かが存在しているが、その存在を普通は知らないだけであるとタロウ思っている。薄々だけれど、まったく異なる人格が一緒にいることをタロウは感じていた。
後ろの席でBBAがマシンガントークしてる。頼むから眠らせてくれ。夜勤明けなんだぜ? 喋ることでストレス解消してるんだろうが息継ぎするのも忘れてベシャってるってすごくね?
そのうち、新たなお客さんが1人加わって、3人であーだこーだと話しはじめたが、じょじょにここには書けないような、それこそ囁くような声音で密かに交わされるであろうヤバイ内容の話を大声で話しはじめた。
たぶん、本人たちはそれが法に抵触する事であるという意識がまったくないのだろうと思った。
それはともかく眠いのだった。今ならば脇腹にコルトガバメントM1911を突きつけられ「にーちゃん、いま寝たら横っ腹に風穴あけてやんよ?」と言われても、構わず眠るだろう。そのくらい眠かった。
するとヤツはこういう。「そうかい、じゃ永遠にオネンネしてな、あばよ」ズコーン! 土手っ腹に風穴を開けられたはずのオレはしかし、血など一滴も流していなかったし、スースーしてもいなかった。ピストルで撃たれたならば、こうなんていうか、焼け火ばしを突っ込まれたような痛みを感じ、その後は顫えるほど寒くなってくるものだとばかり思っていたが、そんなこともないようだった。
まあ、ほんとうに撃たれたならばそういうことになるのかもしれないのだが、ありがたいことにどうやらどこも撃たれた様子はなかった。血も飛び散ったりなどしていない。あたりまえだった。ワルサーだかベレッタだかコルトだか知らないが、そんな危ないものを携帯することをこの国では認めていない。だけれど、殺傷能力を有するものはほかにいくらでもある。というか動機とその目的を果たすという強い殺意さえあれば、どんなものでも凶器となり得る。なので、ピストルやライフルを所持していないから安全である、とか柳刃包丁やらバタフライナイフを持っていないから殺意はない、などとは到底言えないのだった。
それは確かにそう。しかし、なぜまたデオキシリボ核酸は二重螺旋構造をとっているのか、わからないのだった。まるで吉凶禍福は糾える縄の如し、の人生そのままじゃないか。遺伝子情報がすべて記録されているのだから、まさにそれでいいのだろう。それにしても雨は降り続いている。たぶん毎年同じように梅雨明けはまだなのかと考えたり、夏になれば夏で、今年の夏は去年より全然暑い、などと思うのだ。ヒトは忘れることができるようになっている。それはまさに糾える縄の如く吉凶禍福がやってくるのだから、楽しいことはともかく、辛い事苦しい事は時間の経過とともに忘れてしまわなければならないからだろう。
今は眠くて仕方ないのに眠れないのは、外的な要因からだけれど、眠れない時、自分は好きな子の名前を心の中で呼ぶようにしている。眠れないことを危機的状況などというと大袈裟かもしれないけれど、どんな人も経験があると思うその状況は、焦れば焦るほど眠れない。だが、好きな子の名を呼ぶようにしたら、自然に心穏やかになり、眠りへと誘われるのだった。
しかし、きょうは寝しなに変な会話を聞かされたので、もうまったく眠くなってくれないのだった。今はどの辺りなのか、チラリと眼を開けてみると遠くにデカいマンションが見えた。いつも眠っているのだから、見覚えもない。
高めのポニーにした若い子が見えた。顔を見て驚いた全然、若くなんてない。服もちょっとセンスが違うから日本人ではないのかもしれない。
気づけばもう8月になる。梅雨が明けて一気に暑さに襲われる。無防備な肌はちりちりと灼かれ脳もオーバーヒートして暴走しはじめる。ひりひりと胸は痛み、暗い欲望が頭をもたげる。シャワーを浴びてキンキンに冷やしたワインをがぶ飲みし欲望のままに身体を合わせる。そんな事ももう遠い彼方の出来事だ。
そういえば、帰り際に半ギレしてたお兄さんにも困ったもんだ。なぜまたあれほどまでにキレやすいのか。仕事にも少しだけ慣れて、いよいよ地金が出てきたのだろうか。厨房じゃあるまいし、ホンマに笑かしてくれるが、あのわけのわからぬ怒気を含んだ狂気の眼差しで恫喝された方はたまったもんじゃない。
だいたいにおいて、そういう輩は、人によって態度を変える。自分よりも弱いと見なすとなめた態度をとるし、自分よりも明らかに上だと認識すると、ヘイコラする。そんな彼は、同僚のちょっとしたミスを許すことなく、新人イビリかよと、先輩を恫喝したのだという。
「24歳に見える47歳主婦」とは、ちょっとニュアンスは異なるが羊頭を掲げて狗肉を売る的な裏表のある人物だったようだ。だが、これから先輩たちに仕事を教えてもらう立場であるのに逆ギレして罵声を浴びせるということは周囲の者とうまくやっていくつもりが、はなからないという事ではないだろうか。
それ相応の覚悟がない限り、入社したての新人が先輩に対してキレ、怒鳴り散らすなどということができるはずもない。もし仮にできるとしたなら、そいつはただのバカか、頭がおかしいやつにちがいない。まあ、いわゆるモンスターはどこにでもいるということか。何も異世界に召喚されずとも魔物やモンスターはリアルにそこらじゅうにいるのだった。
半ギレお兄さんの話はこのくらいにしておこう。しかし、なかなか終点に到着しない。いつもは眠っているせいか、時間がかかりすぎるなどと思ったことはなかった。むしろ、もう着いたのかと思うくらいで。
そういえば、クエン酸サイクルというのを知っているだろうか。ヒトは、美味しいものを食べ、それにより命を繋いでいけるが、その食べ物である、たとえば糖質だとか、蛋白質、脂質という、エネルギー源を体内で使用できるように変換させなければいけない。
つまり、咀嚼吸収された食べ物は、そのまま使用できるわけではない。体内でエネルギーとして用いられるようにATPという(アデノシン3リン酸)という物質になるらしい。わかりやすく言うと、普通自動車にガソリンじゃないものをいくら入れても走らないのと似ている。
ヒトは体内でクエン酸サイクルにより、このATPを作り出しているらしい。その変換はハンパない。ちなみにジョン・コルトレーンの有名な曲で「ジャイアント・ステップス」というのがあるが、それは1小節半から長くても2小節で曲のキーが変わるという、目まぐるしさであり体内に取り込まれた栄養素が、アセチルCoA活性酢酸となり、それがオキサロ酢酸と結合して、クエン酸となり、そこから七種もの酸に変換され、再びクエン酸に戻るという、七変化を繰り返しながら、ATPを作り出していくさまに、ジャイアント・ステップスのめくるめくコードチェンジを思い出したのだった。んなアホなw
そのクエン酸サイクルの一回転で、ATPの分子が12個作られるらしい。つまり、それがヒトという自動車を動かす燃料となるわけだ。しかし、なんでまたクエン酸回路の話になったのかというと、なんでだろう自分でもよくわからないのだけれど、そうそう、ダイエットのことを考えていたからだ。
糖質を控える食事なんて真っ平ごめんで、ご飯とパンはやっぱり食べたい。糖質を摂取してもエネルギーとして代謝してしまえばいいのだから、そこでクエン酸サイクルということになったのだった。基礎代謝を高める、これがやはり重要なのではないか。
また、ゆっくりと目を閉じる。そういえば、いただきもののハーゲンダッツを食べないままま出てきてしまった。糖質というか、甘いものを規制しているので、どうしようか迷っている内に忘れてしまったのだった。
ところで俺には、誰にも口外できない秘密がある。実は何人も手にかけた殺人犯なのかもしれないが、まったく逃亡生活など送っていないし、お金にも困っていないので、仕事などする必要はないのだが、日がな一日マンションの部屋に引きこもっているのは、性に合わないし、かといってギャンブルも好きではないから、競馬やパチンコもやらない。
ある小金持ちの人が言っていたが、「大金を稼いで駅の立ち食い蕎麦を食う優越感」たしかそんな言葉だったが、プチブルジョアが高級レストランで、シャトーブリアンを食べるなんてのは、あたりまえすぎてつまらない。むしろ、質素な食事をすることを楽しむのが、自然体だろう。
ここでいいたいのは、駅の立ち食い蕎麦屋で、疲れたサラリーマンに囲まれて、一緒にかけ蕎麦を食べるというのは、こいつらは稼ぎの少ないしがないサラリーマンでしかない、そんなやつらに比べたら、金に困っていない俺はなんて自由なんだろうという、他の人を見下したくだらない優越感ではない。
好きな事をやって、時間もお金も自由になっているという優越感だと思う。つまり、逆説的になるけれど、たとえ質素な生活、質素な食事であろうとも自然と心から感謝して、楽しめることができる、そういう人ならば、労せずして、お金が向こうからやってくるのだと思っている。
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お金も女性も同様で、ほしいほしいという執着が相手の心を冷めさせてしまう。容器に入れた水のように、引っ張ると水は向こうに逃げてしまうが、押しやると、こっちに近づいてくる。執着心はほんとうに曲者で、この執着と我を取り去ることが出来たなら、大したものらしい。
先ほど殺人犯かもしれないということを書いたが心配しないでほしい、後家殺しというやつだ。後家さんを何人か殺している。法に抵触するのはご法度だ。決められたルールの中で頑張らなければ、意味がない。しかし、世の中にはズルをして一等賞を取ってもつまらないだけだと思わない人が多いらしい。
自分さえ、或いは自分たちさえよければ、他の人はどうだっていいという人ばかりの世の中になったら、世界はすぐさま滅び去ってしまうだろう。だが、犯罪というのは、スリルを味わうためにやる輩も多いのではないだろうか。
広義の所謂フィルム・ノワールは大好きであり、犯罪モノばかり観ている気がするが、確かに現在のどうにもならない状況から脱出するためには、大金がいるのかもしれない。それも一気に大金を得たい。しかし、まんまと億単位のお金を手に入れたとしても、湯水の如く使ってしまい、瞬く間に元の木阿弥になってしまうのではないか。
もう疲れたので、これから所轄に出頭します。お読みいただきありがとうございました。
◇
以上は、バスの中でタロウがうつらうつら眠っている間にスマホに打ち込まれていたものだ。ナルミの他にも何人かタロウの中に確実にいるらしい。
丸っきりの私見だが、誰しもまさかとは思うだろうけれど、ひとりの脳の中にその主人格の他に何人かが存在しているが、その存在を普通は知らないだけであるとタロウ思っている。薄々だけれど、まったく異なる人格が一緒にいることをタロウは感じていた。
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