クリシェ

トリヤマケイ

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魔王編

1年A組

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   リカとオレはいつの間にか付き合いはじめてた。愛宕山にダブルデートで行った時から、気持ちが一気に盛り上がった。

   マ、マジにリカは可愛いかった。笑った時に見える八重歯もはにかむ様子も、リカのすべてが愛おしい。

   恋ってほんとうにすごい。世界のすべてがキラキラと輝いている。俺たちは、ふたりとも大人しくて、ふたりきりでデートなんてまだしたこともない。

   ただ、LINEで毎日会話するくらいだけど、今まで生きてきてこんなに多幸感に包まれたことはない。

   世界ってなんて素晴らしいんだろう。ほんとうにリカ大好きだよ。







   きょうは、社会科見学で工場に行くことになっているんだけど、ラノベが好きな担任の松本は、バスの中で「おまえらさ、今日は企業をいくつか見学しに行くけど、会社もいいけど異世界とか行ってみたいよな?」なんて冗談をいってた。

   最初に行ったその企業は、誰もが知っている様々な調味料を製造している大企業の工場だった。

   バスを降りて広大な敷地内を歩いていくと、なぜか駐車場のアスファルトの上に魔法陣が描かれてある一角があり、それを目ざとく見つけたやつがいて、みんなでワイワイ魔法陣の中に入っていって、異世界転生!  とかワチャワチャ騒いでいたら、お約束のように閃光が走ると共に、まばゆい光に包まれた。 


  マジか!!!


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