27 / 72
Side :ナオト5 自然淘汰
しおりを挟むバスから上がるとおねいさんは、打って変ってはしゃぎだした。
何か、開き直った感じがしたけれど、ナオトの方は、逆に意気消沈してしまっていたので敢えてはしゃいで自分を鼓舞させようとしてくれているのだろうと思った。
けれども、そこは若いナオト。ベッドの上でマッパのおねいさんと抱き合えば、ナーバスな気持ちなんてすぐ吹っ飛んでしまう。
そして、ふたりはひとつになった。揺籃のなかでゆるゆると夢を食む赤子のように、ナオトは自然に目を瞑り夢のなかを彷徨っていった。おねいさんのきれいな巻き毛がさらさらと揺れているのがわかる。
永遠にこのときが終わらなければいいのに、そうナオトは思った。だがやがて、くんずほぐれつしている内に、ひとかけらの快楽さえも逃さないように夢中になっているおねいさんの、その牝そのものの生態を見てしまったようで、ナオトは不意に醒めていく自分を感じた。
そして、なにやらサディスティックな気持ちになった。
本能のまま快感をむさぼり喰らう牝豚におねいさんが見えた。すると、自分でもわけがわからぬまま、おねいさんの首を後ろから絞めていた。
おねいさんは、少し咳き込んだものの、動きを止めなかった。そしてまた、暫くしてナオトは首を絞めた。
首を絞めるたびごとにおねいさんも一気に締まるのだった。更にナオトは今度は力を強めて、絞めてみた。
キューッと、おねいさんも締まってナオトを締め付けた。たまらないと思いながらも、おねいさんの動きがぴたりと止ってしまって、ナオトは驚いた。
おねいさんは、そのままゆっくりと前かがみに乱れたシーツのなかに倒れていった。
「大丈夫? ねえ!」
ナオトは、今更になって自分のやった事の重大さに焦りまくった。この女(ひと)を、この手で殺してしまった!!
「ごめんよー、そんなつもりなかったんだよー」
「ねー、なんか言ってくれよー」
客室にナオトの途方に暮れた声が木霊する。すすり泣きながら、ナオトは、後ろからおねいさんをきつく抱きしめた。
「好きだよ。好きだったんだよー!」
「愛してる。絶対愛してる。だから返事してくれよー」
すると、おねいさんは、今まさに蘇生したようにくるりとナオトを振り返った。
「今のホント? 絶対、絶対ホント?」
ナオトは、泣き笑いだ。
「馬鹿野郎、ざけんなよ! 嫌いだよ、おまえなんか大嫌いだ」
「あぁ。無理しちゃって。聞いたもんね。愛してるって泣きながら言ったもんね」
「うっせーよ」
「ね、じゃ、あなたの気持ちはわかったから、それを態度で示してちょうだい」
そう言いながら、おねいさんはナオトに抱きついて、キスを求めた。
ナオトは、キスをしながらおねいさんの頬を伝う涙に気づくと、やっぱ愛してるといったのは、まずかったかな、なんて思った……。
◇
こんな感じで、ナオトが『月明かりで本を読む会』という読書会終わりの恒例のロープのクジで引き当てたのは、妖艶なおばさまや、おねいさん、超絶美少女。そして中性的な美男子。
ナオトには全員が、かなり怪しいとしか思えなかった。そして、そのうちの何人かと交渉を持ったのだけれど、すべて当てが外れた。
もちろん、ナオトがただのやりたがりというわけではなく、ハンスにケットシーというネコの妖精を見つけ出してコンタクトを取るように言われていたのだった。
そして、むろんそのケットシーは人間に成りすましているということであり、判別はかなり難しいだろうことは容易に想像できた。
そして今夜も、また外れだった。ハズレはないはずなのに、相手の人が急遽欠席したらしい。
余談になるが、ナオトには、実姉なのか、腹違いなのかもわからないが綺麗な姉がいるらしい。
実はナオトが大病を患っていた時、週に一度お花を届けにきてくれる綺麗な女性がいた。
彼女は、看護師さんにナオトの姉ですと名乗ったという。ナオトはそれを聞いた時に、なぜかやっぱり自分には姉がいたのだということを確信したのだった。
いや、実際は、姉というものに憧れていたために、そう思い込むことが、ナオトにとっては快感だったのかもしれない。
ナオトは、幼い頃からお姉ちゃんがほしかったし、お姉ちゃんがいるという、そんな生活を考えるだけで楽しかった。
ラノベで妹が増殖し、人類と増殖し続ける『妹』との世界大戦にまで発展するお話があったけれど、なんなら、女はお母さんとお姉ちゃんだけでいいとさえナオトは思っている。
そして、さらに言えばナオトはこのごろよく思うのだが、あまりにもこの世は、女ばかりではないかと思うことしきりなのだった。
どこにいっても女、女、女。ほんとうにどこもかしこも若い女と、その昔若い女だった女と、女の子を連れた若いママと呼ばれる女ばかり、それこそ女の津波か、女の洪水やら、女の鉄砲水であるとか、女がうじゃうじゃそこらじゅうで溢れかえりこれから何年後かには、この地上には、オスであるヒトは、いなくなってしまうのではないだろうか。
むろん、それは数年や数十年先のことではなく、数千年、数万年先の出来事であるとは思うが、しかし、その前に一度この世界は、滅んでしまうのかもしれない。
つまり、それは、樹齢何百年もの五葉松などの盆栽が、なぜ、枯れずに美しい姿のまま生きているかを知ればよくわかるわけで、それは、二年か三年に一度は、鉢を変えて植え変えをするからであるらしい。
つまり、そういったことをやらずに長生きすることは、不可能なのだ。だから、必ず天災やら戦争やらでヒトは、歴史的に大量に死ぬことになっているようだ。それは、つまり地球の浄化なのかもしれない。
環境ホルモンやらの影響で、オスの精子自体の数が激減したり、海の生物であるメスのイボニシ貝に、ペニスと輸精管が形成されていたりと、もうかなりヤバイところまで地球は、来ているようなのだ。
だから、例えばの話だけれどヒトのメスに、ある日突然ペニスが生えてくる、つまり、そういったカオス、無秩序な世界とならないように、人類はさらに自然淘汰されながら進化していかなければならないのだろう。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
女尊男卑 ~女性ばかりが強いこの世界で、持たざる男が天を穿つ~
イノセス
ファンタジー
手から炎を出すパイロキネシス。一瞬で長距離を移動するテレポート。人や物の記憶を読むサイコメトリー。
そんな超能力と呼ばれる能力を、誰しも1つだけ授かった現代。その日本の片田舎に、主人公は転生しました。
転生してすぐに、この世界の異常さに驚きます。それは、女性ばかりが強力な超能力を授かり、男性は性能も威力も弱かったからです。
男の子として生まれた主人公も、授かった超能力は最低最弱と呼ばれる物でした。
しかし、彼は諦めません。最弱の能力と呼ばれようと、何とか使いこなそうと努力します。努力して工夫して、時に負けて、彼は己の能力をひたすら磨き続けます。
全ては、この世界の異常を直すため。
彼は己の限界すら突破して、この世界の壁を貫くため、今日も盾を回し続けます。
※小説家になろう にも投稿しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる