クリシェ

トリヤマケイ

文字の大きさ
上 下
25 / 72

Side :ケン 5 サキュバス

しおりを挟む
   そんなわけで、ケンのオナ禁生活が始まった。

   一説によると、というか小耳に挟んだだけだが、アイドルヲタクはオナ禁して精力を溜めに溜めて溜め尽くして推しメンに会いにゆくらしい。

   なんのこっちゃ、と思われてしまうだろうが、そういう都市伝説めいたウソみたいな夢みたいなことが昔から語り継がれているのだ。

   幽体離脱のことなのだが、オナ禁してドルヲタは幽体離脱し、推しメンに会いにいくらしい。ケンも知識としてそのことは知っていたので、幽体離脱を何度も試してみたが成功したためしは一度もない。

   だが、火のないところに煙は立たないのと同様に、まるっきりのでまかせならば、いつの間にか立ち消えてしまうはずだが、根強く何年も何十年もまことしやかに語られているのだから、自分ではできなかったが確かに何かそこにはあるのだろうとケンは思っている。

   オナ禁生活5日目。

   さして大きな変化もない。通常運転である。ムラムラもしてこない。元来、ケンはそれほど精力が強い方ではないのかもしれない。

  オナ禁8日目。

  そろそろかもしれない。通りすがりの見知らぬ女性の胸を我知らず見ていたりする。禁断症状か。

  オナ禁10日目。

  アラフォーとかアラ還とか関係なく胸を注視してしまう自分をどうにもできないケン。かなりきている。

  オナ禁11日目。

  ついに夢魔というのだろうか、淫夢を見はじめた。サキュバスというのだろうか、とてつもなくエロい。エロ過ぎる露出過多な綺麗なおねいさんが現われて、妖艶な笑みを浮かべながら近づいてくると、あっと言う間に裸に剥かれて乳首を吸われた。

  それからはもう夢心地。身体中をくまなく舐められまくり痛いほどビンビンに勃起しているのに、おねいさんは焦らしに焦らしまくるのだった。

  近づいてきたかと思うと、スッと離れまた近づいてきたかと思って高まっていると、また遠のいてしまう。ケンはもう涙ぐんでいたかもしれない。

  堪らなくなっておねいさんの頭を掴もうとするのだが、もう手にちからが入らない。たぶん口に含まれた途端に暴発してしまうだろう。

  いや、手ですら危うい。みこすり半でイッてしまう絶対に。おねいさん、おねいさん、もう勘弁してください。ぼくは、ぼくは、、、

  と、そこでおねいさんの唇がアレに触れそうなほど近づいてきて、もうそれを見ているだけで堪らなくて、早く早く!   咥えて !   と懇願すると、フーッと亀頭に熱い吐息を吹きかけるや、おねいさんは跡形もなく消えてしまうのだった。

  ケンは、もう気が狂いそうだった。ベッドの上で身悶えた。そして、知らない間に勃起しているアレを掴んでピストンしそうになったところで我に返って、寸止め。

  オナ禁オナ禁オナ禁オナ禁オナ禁と呪文のようにケンは唱えながら、ゆっくりとギンギンに屹立したアレからそうっと手を離す。

  アブナイアブナイ。ひと擦りでもしたら、爆発してしまうだろうことがわかっていた。そして、またぞろそこに綺麗な半裸のおねいさんが現われて、同じことを繰り返すのだった。

  ケンは、おねいさんの性奴隷の如くされるがままだったが、とにかく自分からは一切おねいさんには触れてはならないと思っていた。

  オナ禁ということは、つまり性行為全般が禁止ということなのだからだ。もっと具体的に言えば射精禁止か。といっても夢精は仕方ないだろう。

  自分から積極的に快楽に溺れているのではなく、これは強制的にやられいるだけで不可抗力なのであり、さらに自分からおねいさんに触れることを禁じているのだから、これはギリギリ性行為ではないと自分に言い聞かせていた。

  言うならば、気持ちがいい拷問みたいなものだ、ケンはそう思いたかった。俺は快楽に呑まれているのではなく、ギリギリのところで快楽を回避し続けているのだ。

  だから、これは婆羅門行者の苦行となんら変わるところはない。濡れた唇が触れるか触れないか、舌先がチロチロと触れそうで触れないギリギリのところで、寸止めされて息を吹きかけられる。

  こんな苦行もあるのだと思うことで、ケンはなんとか自分を保っていられたが、それもいつまで続くのかあてにはならない。

  とにかくもう気が狂いそうなほど射精したくてたまらないのだった。しかし、ギリギリのところで快楽を回避し続ける修行なのだからして、欲望のおもむくままに精子を放ってしまったなら、一巻の終わりなのだ。

  ただ、容易に予想できるのは、ケンがオナ禁しているからこそ、乳首を押し付けてきて無理矢理口に含ませたり、超至近距離でアソコをヌパーッと広げて見せたりエゲツないまねを平気でするどエロのおねいさんが登場してくるわけで、ケンがなりふり構わずに禁断を破って思いっ切りオナヌーしてしまったなら、もうサキュバスおねいさんは現われてはこないのではないか。

  そのことがケンの頭の片隅にあり、だから修行だからという名目で、とにかくオナ禁してはいるがなんらかの?   成果が得られたならオナ禁は終わってしまうのであり、となるとエロくて綺麗なおねいさんにも会えなくなってしまうと思うとイヤだなというのはあった。

  いや、逆に言えばおねいさんに来てほしいときには、オナ禁すればいいのか。そんな風にケンは考えたが、つまりもう完璧にケンはサキュバスおねいさんの性奴隷に成り下がってしまったようだった。

  もしかしたら、マリファナだか大麻だかヒロポンだかMDAだか知らないが、そんな麻薬のような悪魔にケンは取り憑かれてしまったのかもしれない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

入れ替わった恋人

廣瀬純一
ファンタジー
大学生の恋人同士の入れ替わりの話

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。 いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。 テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。 そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。 『強制フラグを、立てますか?』 その言葉自体を知らないわけじゃない。 だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ? 聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。 混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。 しかも、ちょっとだけ違うセリフで。 『強制フラグを立てますよ? いいですね?』 その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。 「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」 今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。 結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。 『強制フラグを立てました』 その声と、ほぼ同時に。 高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、 女子高生と禁断の恋愛? しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。 いやいや。俺、そんなセリフ言わないし! 甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって! 俺のイメージが崩れる一方なんだけど! ……でも、この娘、いい子なんだよな。 っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか? 「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」 このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい? 誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。

処理中です...