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Side : ケン 2 ディシプリン
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とにかく地味で詰まらないお決まりの○☆+◻︎〰︎のESPカードを使ってチマチマ透視や予知の訓練をしてても埒はあかないとしかケンには思えなかった。
それにナオトとつるんでバカやるのが楽しいのに、なぜまたひとりでこんなわけわからない不毛なことやってるんだろうと思うと、心底アホらしくなってきた。
なんかハガレンの等価交換的な、Hunter×Hunterの制約と誓約みたいな、一気に飛び級するシステムはないものだろうか。まあ、命と引き換えにとか言われても困ってしまうのだが。
そんな風に文句タラタラなケンだったが、やはり必要に迫られて是が非でもスキルを獲得したいといった何か途轍もないモチベーションがないと、こんなわけのわからない能力の開発だか鍛錬などできるはずもない。
というか、ケン自身潜在的な能力を秘めているのだから、そのパワーの制御こそが重要ではないかなんて思うのだった。何かのキッカケでリミッターが解除されてしまい、殺人的な能力が勝手に暴走してしまうということも、なきにしもあらずなのだから。
もしかしてオレは、とんでもないモンスターなのかもしれない。異世界ものの例えば冒険者ギルドで魔力を測定するくだりがあるが、あれで魔力が凄すぎて測定不可能とか、測定器自体を破壊してしまうとか、そんな風に破天荒すぎる、たぶんドラゴン級の強さとスキルの持ち主なのではないか。
あのハンスという人は、悪い人じゃないみたいだけれど、ただ敵対勢力にオレというモンスターを奪われてしまうことだけは回避したいというだけの話なのではないか。
最初は、お金もびっくりするくらいくれたし、訓練さえやっていれば何にも縛られることなく自由に時間も使えるので、最高だと思っていたが何にも言われないというのもツライものがあった。
まったくの放任主義なのが、かえって怖い。帯封のしてある百万円の束で頬を引っ叩かれているような気がした。甘い誘惑に負けて金を受けとってしまったなら、もう後戻りはできないのだ。
人間はやはり正直なもので、出来高払いとかではなく、お金をまず貰ってしまったからには、 やらざるを得ないとなって一生懸命やってしまう。
まあ、確かにわけのわからないなりに毎日同じことを繰り返し繰り返しやっていくとそれなりに成果が出るとまでは言わないが、少しはマシになったかなというのはあった。
ティッシュは浮くどころかピクリとも動かないし、風車も動いたり動かなかったりだが、人に対しては結構いい感じになってきたようだ。
遠いところ、といってもせいぜい10メートルくらいだが、視線だけでこちらに顔を向かせることができるようにはなってきた。まあ、だから集中力は少し上がってきたのかもしれない。
ハンスくんが前に言っていたことをケンは思い出していた。
「ヒトとして地球に生まれ肉体を有して地球に住んでいる以上、この地上の物理的な法則に従わざるをえないのですが、その法則は絶対のものではない。実はもっと高次の法則が存在しているんです。
なぜかというと、地球上の物理的な法則というものは、この私たちの肉体にのみ作用してくるものだからです。
しかし、知っての通りヒトは、肉体だけの存在ではない。
つまり、物理的な法則に精神は一切抵触しない。関係ない。なぜかと言えばまったく次元がちがうから。 しかし、肉体が常に物理的な既成概念に縛られているため、精神の方も同様に縛られていると、錯覚している」
確かにそれはそうかもしれないとケンも思うのだった。
「時間というものも絶対的なものと捉えるのが常識なのでしょうが、楽しくて仕方ないことをしている際に感じる時間経過の感覚と、つまらないことをしている際のそれとは、まったく異なる。
好きなことをやっている時は、あっという間に時間が過ぎてしまうものだが、つまらないと眠くなるわ、あくびが出るわで、まだ終わらないのかよ? ということになる。
つまり、絶対的な時間の流れの中にある個々の私の中には、別な時間があるということ。それは、楽しくてワクワクしている時には、私たちの精神が高次の存在になっているからではないか?
勘違いしがちだが、精神は、重力によってこの地上に縛りつけられてなどいない。行きたいところへ、好きな人のところへと気持ちだけは飛んでいける」
ただしかし、重力があるからこそヒトは地球に立っていられるわけであり、地球の回転速度時速1700kmは回転寿司のそれよりも断然早いはずなのに、地球が回っていることを実際に体感している人がいないのは、実にありがたいと思う。
回転寿司の廻るレーンを見て目がまわる人はなかなかそうはいないと思うけれど、地球の自転速度はハンパなく速いけれども24時間に一回転であり、地球の大きさに対して人は芥子粒みたいなものだから、地球が一秒たりとも停止することなく、また一定の速度で自転していることを感じさせないのだろうとケンは思った。
ちなみに目がまわるのは、三半規管の中のリンパ液が回転によって動き出すらしく、こちらが動いていないのに回転するものを見て目がまわると感じてしまうのは、三半規管のリンパ液が目からの情報によって自分が回転していると勘違いして動いてしまうからだろう。
引力から遠心力を引いた残りが重力ということらしいが、この重力のあるおかげで、ヒトも山も海もビルも宇宙へと振り飛ばされないらしいのだが、ヒトの精神は律儀に地上に縛り付けられている必要などない。
そして、こんな凄いシステムが偶然にも出来上がるわけもないとも思うのだった。
それにナオトとつるんでバカやるのが楽しいのに、なぜまたひとりでこんなわけわからない不毛なことやってるんだろうと思うと、心底アホらしくなってきた。
なんかハガレンの等価交換的な、Hunter×Hunterの制約と誓約みたいな、一気に飛び級するシステムはないものだろうか。まあ、命と引き換えにとか言われても困ってしまうのだが。
そんな風に文句タラタラなケンだったが、やはり必要に迫られて是が非でもスキルを獲得したいといった何か途轍もないモチベーションがないと、こんなわけのわからない能力の開発だか鍛錬などできるはずもない。
というか、ケン自身潜在的な能力を秘めているのだから、そのパワーの制御こそが重要ではないかなんて思うのだった。何かのキッカケでリミッターが解除されてしまい、殺人的な能力が勝手に暴走してしまうということも、なきにしもあらずなのだから。
もしかしてオレは、とんでもないモンスターなのかもしれない。異世界ものの例えば冒険者ギルドで魔力を測定するくだりがあるが、あれで魔力が凄すぎて測定不可能とか、測定器自体を破壊してしまうとか、そんな風に破天荒すぎる、たぶんドラゴン級の強さとスキルの持ち主なのではないか。
あのハンスという人は、悪い人じゃないみたいだけれど、ただ敵対勢力にオレというモンスターを奪われてしまうことだけは回避したいというだけの話なのではないか。
最初は、お金もびっくりするくらいくれたし、訓練さえやっていれば何にも縛られることなく自由に時間も使えるので、最高だと思っていたが何にも言われないというのもツライものがあった。
まったくの放任主義なのが、かえって怖い。帯封のしてある百万円の束で頬を引っ叩かれているような気がした。甘い誘惑に負けて金を受けとってしまったなら、もう後戻りはできないのだ。
人間はやはり正直なもので、出来高払いとかではなく、お金をまず貰ってしまったからには、 やらざるを得ないとなって一生懸命やってしまう。
まあ、確かにわけのわからないなりに毎日同じことを繰り返し繰り返しやっていくとそれなりに成果が出るとまでは言わないが、少しはマシになったかなというのはあった。
ティッシュは浮くどころかピクリとも動かないし、風車も動いたり動かなかったりだが、人に対しては結構いい感じになってきたようだ。
遠いところ、といってもせいぜい10メートルくらいだが、視線だけでこちらに顔を向かせることができるようにはなってきた。まあ、だから集中力は少し上がってきたのかもしれない。
ハンスくんが前に言っていたことをケンは思い出していた。
「ヒトとして地球に生まれ肉体を有して地球に住んでいる以上、この地上の物理的な法則に従わざるをえないのですが、その法則は絶対のものではない。実はもっと高次の法則が存在しているんです。
なぜかというと、地球上の物理的な法則というものは、この私たちの肉体にのみ作用してくるものだからです。
しかし、知っての通りヒトは、肉体だけの存在ではない。
つまり、物理的な法則に精神は一切抵触しない。関係ない。なぜかと言えばまったく次元がちがうから。 しかし、肉体が常に物理的な既成概念に縛られているため、精神の方も同様に縛られていると、錯覚している」
確かにそれはそうかもしれないとケンも思うのだった。
「時間というものも絶対的なものと捉えるのが常識なのでしょうが、楽しくて仕方ないことをしている際に感じる時間経過の感覚と、つまらないことをしている際のそれとは、まったく異なる。
好きなことをやっている時は、あっという間に時間が過ぎてしまうものだが、つまらないと眠くなるわ、あくびが出るわで、まだ終わらないのかよ? ということになる。
つまり、絶対的な時間の流れの中にある個々の私の中には、別な時間があるということ。それは、楽しくてワクワクしている時には、私たちの精神が高次の存在になっているからではないか?
勘違いしがちだが、精神は、重力によってこの地上に縛りつけられてなどいない。行きたいところへ、好きな人のところへと気持ちだけは飛んでいける」
ただしかし、重力があるからこそヒトは地球に立っていられるわけであり、地球の回転速度時速1700kmは回転寿司のそれよりも断然早いはずなのに、地球が回っていることを実際に体感している人がいないのは、実にありがたいと思う。
回転寿司の廻るレーンを見て目がまわる人はなかなかそうはいないと思うけれど、地球の自転速度はハンパなく速いけれども24時間に一回転であり、地球の大きさに対して人は芥子粒みたいなものだから、地球が一秒たりとも停止することなく、また一定の速度で自転していることを感じさせないのだろうとケンは思った。
ちなみに目がまわるのは、三半規管の中のリンパ液が回転によって動き出すらしく、こちらが動いていないのに回転するものを見て目がまわると感じてしまうのは、三半規管のリンパ液が目からの情報によって自分が回転していると勘違いして動いてしまうからだろう。
引力から遠心力を引いた残りが重力ということらしいが、この重力のあるおかげで、ヒトも山も海もビルも宇宙へと振り飛ばされないらしいのだが、ヒトの精神は律儀に地上に縛り付けられている必要などない。
そして、こんな凄いシステムが偶然にも出来上がるわけもないとも思うのだった。
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