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Side : ナオト1
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「ちょっと前、キミとケンくんが代々木公園で拉致られた日の話だけれど、君たちシブチカのカトレアにいたよね? じつはあのパーティにぼくはもたんだけど、実は、それはたまたまで、実はだいぶ前からケンくんはマークしてたんだ。あの後、ケンくんが今はもうない電力館の前で駄々をこねた際に、ふざけて呪術師だか忍者のように印を結んで何事かそれらしく呪文を唱えたんだけれど、実はその時たまたま近くにいたエスパーである仲間が、なにやら得体の知れないパワーを感じて、それがケンくんであることを突き止めた」
「マジで?」
「もちろんケンくんは、ネタで印を結ぶみたいなマネをしたにすぎないんだろうけれど、知らず知らずにサイキック的なパワーがダダ漏れしていたらしい。わかるやつにはわかるというわけ」
「ケンなら、まあ、驚かないかな、変人だから」
「そんなわけで、ぼくはケンくんとキミをストーカーよろしくつけていたんだけど、ケンくんが八つ墓村のコスプレをして鬼の如きそれこそ鬼気迫る形相でぐるぐる徘徊している際に、ぼくはケンくんが磨けば光る原石と確証したんだよ」
「そこ、笑うとこですかね?」
「いや。そこで、演習も兼ねてケンくんとキミを拉致ったんだけど、でいま、面談中」
「どういうことなんですか? わけがわからない」
「いやあ、お怒りはごもっとも。あ、ハンスです。ま、エージェントネームですけどね」
「てか、ケンは?」
「ケンくんは今、蒲田の町工場の床に転がされている、かな」
「は?」
「手荒なマネをしてしまい、申し訳ない。こちらの見立てだと、その、ケンくんはかなりの超能力者だと思われるんだけど、キミの場合、ナオトくんだっけ? 残念ながらそういった素質はないようだね」
「よくぼくの名前をご存知ですね? オレオレ詐欺の受け子のバイトなんてやりませんよ?」
「あははは。いや、ナオトくんおもろいなぁ。僕らはまあ、群れて活動することはあまりないんだけど、お察しの通りオレオレをやってる、わけではなく、いわゆる超能力と呼ばれてる能力を持つ者のチームのひとつなんだ」
「まあ、いつになっても信じてはもらえない能力ですね」
「ほう。じゃナオトくんは、サイキックとかテレパシー信じてる派か?」
「子どもの頃、ケンとスプーン曲げやってひとつも曲がりませんでした、ぼくは」
「それじゃ、話が早い。日本の中でもね、ケンくんみたいな能力を持つ者でも、そのことに自覚的でない人がたくさんいるんだ。つまり、潜在的超能力者とでもいう人たちだね。でね、これからが大事な事なんだけど」
「悪いエスパーもいるってやつ?」
「そうなんだ。だから、そっち系のチームに先に見つけられてしまうとマズイというのがある。だからいつもアンテナを張ってるんだけどね」
「なるほど。で、ケンにはその才能あるから受け子をやらせると?」
「あのね」
「じゃ、そういうことなら、あとはケン自身の問題ですね。ぼくには残念ながらその才能がなかったようですからね、ひとりでコツコツ壁抜けの練習続けます」
「壁抜け?」
「はい。まったくぼくには出来たためしはないんですけどね、スプーンの時もそうですけど、なぜか一緒にやる人は軽々とスプーン曲げちゃったり、壁抜け出来ちゃったりするんですよね」
「ふーん。興味深い話だね、まるでサイタマ氏とキングの関係みたいな?」
「なにそれ? アニメの話ですか?」
「知ってんじゃん」
「まあ、サイタマ氏みたいなわけないですよね、だったら嬉しいんだけど」
「じゃ、ナオトくんはこういった荒唐無稽的な話に対して肯定的なんだね」
「とりあえず、まあ、そうですね」
「じゃあ、どうだろう? ケンくんにはね、能力をコントロールするとか伸ばすとかの訓練を受けてもらうつもりなんだけど、ナオトくんには、別メニューでやってもらおうかな、どう?」
「ええ。ぼくとしても念話ですか? テレパシーみたいなのに憧れはありますね。あと瞬間移動なんて最高じゃないですか電車賃浮かせるし、いや、冗談です」
「そういうことなら。あとはナオトくんがそういう超常的な、ある意味とんでもないチートなスキルを習得したとしても、絶対悪いことには使わないと約束出来るならば、という話なんだけどね」
「もちろん、そんなつもりはありませんから。透視で女風呂覗くとか、物品引寄せでお金やら宝石やらガンガン引寄せたりしません。あとやろうと思ったらいくらでも犯罪できそうですね、考えてみると」
「そうなんだよね。毎月ランダムに他人の口座から毎月500円ずつ1万人分抜き取るとかね」
「少額ならバレないですもんね、それでも500万かい!」
「そういう輩が、実際いるんだよ。まあ、そいつらとうちらは戦っているわけだけれどね、そのことは、ま、おいおい話すけど、で、どう? 悪用しないと約束してもらえるかな?」
「わかりました。もちろん悪用などしないと誓います。もしそれを破ってしまったら、処罰はお任せします」
「そう。でも漫画やアニメの話じゃないんだよね、そこらへんしっかり理解してもらえてるかな? 異世界ならともかくリアルな世界で超常的なパワーを現前させるってことは、ある意味神になるってことなんだからね」
「は、はい。肝に命じます」
「わかった。じゃ、ナオトくんにもお願いするということで、また近いうち連絡しますから」
「マジで?」
「もちろんケンくんは、ネタで印を結ぶみたいなマネをしたにすぎないんだろうけれど、知らず知らずにサイキック的なパワーがダダ漏れしていたらしい。わかるやつにはわかるというわけ」
「ケンなら、まあ、驚かないかな、変人だから」
「そんなわけで、ぼくはケンくんとキミをストーカーよろしくつけていたんだけど、ケンくんが八つ墓村のコスプレをして鬼の如きそれこそ鬼気迫る形相でぐるぐる徘徊している際に、ぼくはケンくんが磨けば光る原石と確証したんだよ」
「そこ、笑うとこですかね?」
「いや。そこで、演習も兼ねてケンくんとキミを拉致ったんだけど、でいま、面談中」
「どういうことなんですか? わけがわからない」
「いやあ、お怒りはごもっとも。あ、ハンスです。ま、エージェントネームですけどね」
「てか、ケンは?」
「ケンくんは今、蒲田の町工場の床に転がされている、かな」
「は?」
「手荒なマネをしてしまい、申し訳ない。こちらの見立てだと、その、ケンくんはかなりの超能力者だと思われるんだけど、キミの場合、ナオトくんだっけ? 残念ながらそういった素質はないようだね」
「よくぼくの名前をご存知ですね? オレオレ詐欺の受け子のバイトなんてやりませんよ?」
「あははは。いや、ナオトくんおもろいなぁ。僕らはまあ、群れて活動することはあまりないんだけど、お察しの通りオレオレをやってる、わけではなく、いわゆる超能力と呼ばれてる能力を持つ者のチームのひとつなんだ」
「まあ、いつになっても信じてはもらえない能力ですね」
「ほう。じゃナオトくんは、サイキックとかテレパシー信じてる派か?」
「子どもの頃、ケンとスプーン曲げやってひとつも曲がりませんでした、ぼくは」
「それじゃ、話が早い。日本の中でもね、ケンくんみたいな能力を持つ者でも、そのことに自覚的でない人がたくさんいるんだ。つまり、潜在的超能力者とでもいう人たちだね。でね、これからが大事な事なんだけど」
「悪いエスパーもいるってやつ?」
「そうなんだ。だから、そっち系のチームに先に見つけられてしまうとマズイというのがある。だからいつもアンテナを張ってるんだけどね」
「なるほど。で、ケンにはその才能あるから受け子をやらせると?」
「あのね」
「じゃ、そういうことなら、あとはケン自身の問題ですね。ぼくには残念ながらその才能がなかったようですからね、ひとりでコツコツ壁抜けの練習続けます」
「壁抜け?」
「はい。まったくぼくには出来たためしはないんですけどね、スプーンの時もそうですけど、なぜか一緒にやる人は軽々とスプーン曲げちゃったり、壁抜け出来ちゃったりするんですよね」
「ふーん。興味深い話だね、まるでサイタマ氏とキングの関係みたいな?」
「なにそれ? アニメの話ですか?」
「知ってんじゃん」
「まあ、サイタマ氏みたいなわけないですよね、だったら嬉しいんだけど」
「じゃ、ナオトくんはこういった荒唐無稽的な話に対して肯定的なんだね」
「とりあえず、まあ、そうですね」
「じゃあ、どうだろう? ケンくんにはね、能力をコントロールするとか伸ばすとかの訓練を受けてもらうつもりなんだけど、ナオトくんには、別メニューでやってもらおうかな、どう?」
「ええ。ぼくとしても念話ですか? テレパシーみたいなのに憧れはありますね。あと瞬間移動なんて最高じゃないですか電車賃浮かせるし、いや、冗談です」
「そういうことなら。あとはナオトくんがそういう超常的な、ある意味とんでもないチートなスキルを習得したとしても、絶対悪いことには使わないと約束出来るならば、という話なんだけどね」
「もちろん、そんなつもりはありませんから。透視で女風呂覗くとか、物品引寄せでお金やら宝石やらガンガン引寄せたりしません。あとやろうと思ったらいくらでも犯罪できそうですね、考えてみると」
「そうなんだよね。毎月ランダムに他人の口座から毎月500円ずつ1万人分抜き取るとかね」
「少額ならバレないですもんね、それでも500万かい!」
「そういう輩が、実際いるんだよ。まあ、そいつらとうちらは戦っているわけだけれどね、そのことは、ま、おいおい話すけど、で、どう? 悪用しないと約束してもらえるかな?」
「わかりました。もちろん悪用などしないと誓います。もしそれを破ってしまったら、処罰はお任せします」
「そう。でも漫画やアニメの話じゃないんだよね、そこらへんしっかり理解してもらえてるかな? 異世界ならともかくリアルな世界で超常的なパワーを現前させるってことは、ある意味神になるってことなんだからね」
「は、はい。肝に命じます」
「わかった。じゃ、ナオトくんにもお願いするということで、また近いうち連絡しますから」
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