銀の魔術師の恩返し

喜々

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※魔術師、淫らになる

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 動かなくなってしまったアルを医務室に送り届けるついでにラズウェルも診てもらったところ、特に異常は無かったという。だが、毒薬を飲んだ後ということもあって安静にするように言われてしまった。ゼロはラズウェルが勝手に行動しないようにラズウェルの教師寮の部屋へ送り届けることにした。

「ねぇ、図書室に寄っていいかな?ゼロ先生」

「…あんなことがあったのにお前はどうしてそんな落ち着きが無いんだ。」

 長い廊下を二人は肩を並べてそう言いながら歩く。

「でも、このまま部屋に戻ってしまったら何もする事が無くてゼロ先生が僕を無事に送り届けてもその後部屋から出て行ってしまうかもよ」

 意地悪そうな笑顔を浮かべて話しかけるラズウェルをゼロはやれやれといった様子で

「図書室に寄ったら部屋に居てくれるんだな?」

 と言い、踵を返し来た道を戻り始める。

「え、いいの?」

「お前が言い出したんだろ…」

「優しいんだね。」

 今気づいたけど、どうやらゼロは僕の歩幅に合わせて歩いているようだった。確かに身長がこれだけ差があると歩く速さも変わって来るよね。

 暫く歩き続けると図書室に到着した。

「読みたい本を借りてこい。」

「一緒についてきてよ。僕の身長じゃ届かない所もあるしさ。」

「はぁ…俺はお前の召使いか何かか?」

 ゼロはそう言いながらも僕の後を付いてきてくれる。

 図書室はなかなかに広い。一階と二階に分かれており、真ん中が吹き抜けになっているため一階からも二階の様子が確認できる。

「何回来てもここはすごいよね!天井まで本がぎっしり詰まってるなんて夢みたいだよ。」

「それは良かったな。だが、天井近くの本を取れって言われても俺じゃ届かないと思うが。」

「確かに!」

「……」

 ゼロは疲れたような表情をして僕を見る。

「まぁ僕の読みたい本があそこまで高い所にあるとは限らないよ!」

 そう言ってラズウェルは読もうと決めていた本を探し始めた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 しばらくしてラズウェルの読みたい本リストに載っているほぼ全ての本を集めることに成功した。

 しかし、あと一冊が見つからない。図書室の司書さんはどうやら丁度席を外しているらしく、本の場所も聞くことができない。

「もーどこにあるのかな?」

「…今探している。図書室では静かにしろ。」

 ゼロは僕の前を歩きながら僕の本を探している。

「でもさあ……」

 そこまで言うと、僕は何か違和感を感じた。

 なんだろう身体が、こう…中から温まっていく感じ。

 だんだんとその熱が身体の先端まで広がってくる。

 熱の影響なのか意識がふわふわする。

 熱が全身に広がってくると自分のモノが熱を帯び始めた。

 あ、これ、ちょっと大変なことになりそう。

 「ドサッ」

 足の力が抜けて床に座り込んでしまう。

 その音に気がついたゼロが振り返る。

「おい大丈夫か!次は何をした!」

「なにも、してないよ…生徒が作った薬のどれかに…遅効性の媚薬があった、…みたい…」

「媚薬!?」

 ゼロは驚きながらもラズウェルの近くに寄ってきてラズウェルの背をさすり始めた。

「んっ!……すら、ないで…」

 敏感になった肌が衣服で擦れる度にびりびりとした感覚がして、はやく気持ちよくなりたいと思ってしまう。

 ゼロはようやく状況を理解したのかラズウェルの背から手を離し頬を赤く染め、ラズウェルを見つめる。

「っ…医務室に連れて行くべきだな。」

「…まって、このまま動い、…たら…っダメ…」

「だが、そうしないと君が、」

「おねがい…だから、」

「なら、医術師をここに呼ぶ」

 そう言ってゼロは立ち上がり、図書室の入口へ行こうとする。

「…ラズウェル」

「ねぇ…おねがい、だ」

 媚薬を無効化する方法なんて一つしか無い。そういうコトをするために媚薬があるのだから。

 僕はゼロの服を掴み、懇願する。辛い…はやく、はやく開放されたい。涙で視界がぼやける。

「ぅあ……んんっ!、ねぇはやく…おねがいっ、だから…」

「…その意味分かってるんだろうな?」

「分かっ、てる…からゼロ、ぼくを…たべて…」

 僕は笑顔を意識してゼロを見上げる。はやく触って欲しい。

「っ後悔しても遅いからな!」

 ゼロは耳まで赤く染め、ローブのフードを深々とラズウェルに被らせラズウェルを抱え図書室を走って出ていく。

 ゼロが走っている間、ラズウェルは身体に伝わる振動に耐えていた。ゼロが床に足を着く度に甘い痺れがラズウェルを襲う。

「ぅああ!……、っんん……ひぁっ!…」

 ゼロの腕の中で甘い声を上げてしまう。

 すると急に振動が止んだ。一分もしない内に部屋についたようだ。荒々しくドアが開けられ、部屋に入る。

 ゆっくりとベッドに降ろされるとゼロの匂いを強く感じる。

 視界は滲んでいるが、ゼロの顔はよく見えた。

 ギラギラと深い蒼の瞳で見つめられると自然に腰がヒクリと反応してしまう。

「本当に…いいんだな?」

「き、みに……抱かれたいっ、」

 そう言い切るとゼロが僕の上に被さってきた。

 




 
 

 







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