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レオの初恋(ギースside)

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「あれは本当にバネッサか?」


昨日、妹のバネッサと食事を共にしたと言うレオナルドに少し話題を振ると食いついて来た。

そう思うよな…

実の兄である俺だって信じられないさ。


うちの両親は婚約中から美男美女と言われていたらしい。
今だって、歳を取っても健在だ。

息子の俺も令嬢に騒がれる程度には見目が良い方だと思う。

つまりバネッサだって、普通に考えれば美女と呼ばれる類いのはずなのだ。
それにしてもだ…


今日のレオは朝から落ち付きが無い。
上手く隠しているつもりかも知れないが、長い付き合いの俺にはバレバレだ。

話を聞くと、バネッサに冷たくされて凹んでる様だ。
おいおい…


「レオ…お前それって」


続きを言おうとしてやめた…
まあ、今更だ。
俺は見守る事しかできないぞ…
バネッサが苦手なのは俺も同じだからな。


そう言えば、母親から手紙が来ていたと思い出す。
忙しくて後回しにしていたが、引き出しから手に取り封を開けて見た。


手紙の内容は予想通りバネッサの事だったが意味がわからない。

(領地に大雨が降った。)

これは報告を受けて知っている。

(ダムが壊されていた。)

は?まずいだろそれ!

(バネッサが教えてくれたから難をのがれた。)

教える?どうやって?

最後にはバネッサを宜しくと、娘大好きの母親らしい締めだった。

まあ、ギースも体に気をつけてとオマケの様に書いてはあったが…

それにしてもどう言う事だろう?
今までのバネッサは自分とレオの事しか興味が無かった。
領地や領民なんて気にもしないはずなのに…

ダムがなぜ壊れているとわかった?

バネッサは闇属性の後継者で、俺にもわからない能力があるのだろうか?

聞いて見たいが妹とは言え、我が国の王妃様だ。
そうそう簡単には会えない。
しかし、妹に会いたいと思う日が来るとは思わなかったな。

と、1人苦笑した。


それからと言えば…
嫌じゃ無いなら会いに行けと俺が言った事を実行している様子のレオ。

日に日に明るい顔をする様になり、バネッサやオスカーの話題が増える。

まあ、これで良かったのかもな…
俺達の様な立場でお互い愛し合って夫婦でいられるのは奇跡だろう。

ん?
愛し合って??
今のバネッサは…どうなんだ?

以前はこれでもかと押しかけて仕事の邪魔をしてたのにこの数ヶ月まるで来ないぞ?

逆にレオが押しかけてる状況だぞ…

立場が逆転しているのか?


俺は多分、レオにとってはじめての恋心を応援してやりたい気持ちと、相手があのバネッサだという複雑な気持ちをなんとも消化出来ずにいた。

が…

オスカー王子のお披露目パーティー
俺は4ヶ月振りにバネッサに会った。

前にあった時より更にスリムになり、レオナルドと揃いのドレスが良く似合っていた。

ちゃんと王妃としての気品があり、オスカー王子を見る目は母親の愛に溢れていた。

ああ…
きっとバネッサは相当な努力したのだろう。

そう認めざる得ない結果だった。

そう納得した俺はバネッサの肩に手を置いて


「お疲れ…」


と心から労った。
















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