上 下
28 / 77

護衛騎士が付きました。

しおりを挟む

なんとかオスカーのお披露目が終わって、私はまた可愛いオスカーを愛でるだけの毎日が始まるかと思っていたのに、そうは問屋がおろさなかった。

あのパーティーは貴族のみなさんには中々衝撃的だったようで、私の元に次々とお茶会のお誘いからお茶会のお誘いまで、つまり山の様にお茶会のお誘いの手紙が届く。

あーーめんどくさいっ!!

こんなに出席してたらオスカーとの時間が無くなるでしょうに!?


「バネッサ王妃がお茶会を開催したら良いと思いますよ。」


お茶会の誘いに投げやりな私にモーリスが教えてくれた。


「招待されてる方皆様お呼びして1回で済ませてしまえば良いのです。」


おおー!
なるほどっ!
1回くらいなら頑張れるかも…いや、頑張れるかな?
なんて言っても前世はホームワークの引きこもりだったし…


それから良い事もある。
お披露目が終わったのでオスカーは宮の敷地内であれば外に出れる事になった。

王妃宮のお庭をお散歩したり、レパール様の真珠宮に遊びに行く事も出来る。

これは嬉しい。
ところでこの世界にベビーカーってあるのかしら?


「バネッサ王妃もオスカー王子も行動範囲が広がりますので、今後は護衛騎士が付きます。」


ニヤニヤ喜んでいたらモーリスにそう付け加えられた。

ああー
そう言えばいたなそんなキャラも…

バネッサに付いた護衛騎士は何故か嫌われ者のバネッサ至上主義で、唯一の味方。
バネッサの悪巧みの片棒を担いでくれるのだ。
たしか名前は…


「本日より王妃様付きの護衛騎士を賜りました、ダーゲン=ドリュフと申します。」


そう!ダーゲン!

私に騎士の忠誠の礼をする緑色の髪に薄い茶色の瞳…


「バネッサ=クラウドよ。宜しくお願いするわ。」


忠誠を受け取ったと言う意味でダーゲンの肩に手を乗せる。
それで初めてダーゲンは頭を上げた。


ん?

あれ??

ダーゲンってもしかして…


「げ…元太?」


日本での容姿とはまるで違うし、そんなはず無いと思いながらもなぜかこの護衛騎士が前世での息子の元太であると思った。


ダーゲンも驚いたのだろう。
唖然とした顔はしているが、私の様にうっかり口に出す事は無かった。


いやどうして?
なんで元太がここにいるの?


実はなるべく考えない様にしてはいたが前世、日本での私は恐らく死んだのだろうと思っていた。

最後の記憶の頃は体調が良くなかったし、無理に仕事もしていた。

だからこの世界に来たのかと思ってたのに…
まさか元太も死んだ訳じゃないわよね?

聞きたい事はたくさんあるけど今ここにはモーリスがいる。

私はモーリスにお茶の用意を頼んだ。
挙動不審な私に探る様な目をして見ていたが、


「かしこまりました…」


と、モーリスは1度下がって行った。
多分すぐに戻るか、代わりの侍女が来るだろう。
時間がない、確認するなら今だ。


「ねぇ母さん、ここ(国王と聖女は月夜に誓う)だろ?」


え?
なに?
うちの息子元太ってば順応能力高すぎない?


「母さんがバネッサか…ヤバイじゃん。」


そう言えば、元太は私の作品を執筆中から読んでいて、時にはダメ出しもしてくる子だったわね。


「俺がなんでダーゲンなんだろう?って思ってたけど、そう言う事か…」


いやいや、どうゆう事?
お母さんサッパリわからないよ??


「とにかく、俺ら殺されない様に頑張るしかないな…」


確かに、ダーゲンは終盤にバネッサを庇ってレオナルド陛下に殺されてしまう。

その直後、バネッサも陛下と聖女に殺されてしまうのだからダーゲンは無駄死にだったわけだけど、そんな結末を一緒に回避してくれるらしい。


どうやら私は心強い味方を手に入れた様だ



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

元王妃は時間をさかのぼったため、今度は愛してもらえる様に、(殿下は論外)頑張るらしい。

あはははは
恋愛
本日わたくし、ユリア アーベントロートは、処刑されるそうです。 願わくは、来世は愛されて生きてみたいですね。 王妃になるために生まれ、王妃になるための血を吐くような教育にも耐えた、ユリアの真意はなんであっただろう。 わあああぁ  人々の歓声が上がる。そして王は言った。 「皆の者、悪女 ユリア アーベントロートは、処刑された!」 誰も知らない。知っていても誰も理解しない。しようとしない。彼女、ユリアの最後の言葉を。 「わたくしはただ、愛されたかっただけなのです。愛されたいと、思うことは、罪なのですか?愛されているのを見て、うらやましいと思うことは、いけないのですか?」 彼女が求めていたのは、権力でも地位でもなかった。彼女が本当に欲しかったのは、愛だった。

円満婚約破棄をしたらゆるい王妃様生活を送ることになりました

ごろごろみかん。
恋愛
死霊を祓うことのできる霊媒師・ミシェラは皇太子から婚約破棄を告げられた。だけどそれは皇太子の優しさだと知っているミシェラは彼に恩返しの手紙を送る。 そのまま新興国の王妃となったミシェラは夫となった皇帝が優しい人で安心する。しかもゆるい王妃様ライフを送ってもいいと言う。 破格の条件だとにこにこするミシェラはとてつもないポジティブ思考の持ち主だった。 勘違いものです ゆるゆる更新で気が向いた時に更新します

もう、あなたを愛することはないでしょう

春野オカリナ
恋愛
 第一章 完結番外編更新中  異母妹に嫉妬して修道院で孤独な死を迎えたベアトリーチェは、目覚めたら10才に戻っていた。過去の婚約者だったレイノルドに別れを告げ、新しい人生を歩もうとした矢先、レイノルドとフェリシア王女の身代わりに呪いを受けてしまう。呪い封じの魔術の所為で、ベアトリーチェは銀色翠眼の容姿が黒髪灰眼に変化した。しかも、回帰前の記憶も全て失くしてしまい。記憶に残っているのは数日間の出来事だけだった。  実の両親に愛されている記憶しか持たないベアトリーチェは、これから新しい思い出を作ればいいと両親に言われ、生まれ育ったアルカイドを後にする。  第二章   ベアトリーチェは15才になった。本来なら13才から通える魔法魔術学園の入学を数年遅らせる事になったのは、フロンティアの事を学ぶ必要があるからだった。  フロンティアはアルカイドとは比べ物にならないぐらい、高度な技術が発達していた。街には路面電車が走り、空にはエイが飛んでいる。そして、自動階段やエレベーター、冷蔵庫にエアコンというものまであるのだ。全て魔道具で魔石によって動いている先進技術帝国フロンティア。  護衛騎士デミオン・クレージュと共に新しい学園生活を始めるベアトリーチェ。学園で出会った新しい学友、変わった教授の授業。様々な出来事がベアトリーチェを大きく変えていく。  一方、国王の命でフロンティアの技術を学ぶためにレイノルドやジュリア、ルシーラ達も留学してきて楽しい学園生活は不穏な空気を孕みつつ進んでいく。  第二章は青春恋愛モード全開のシリアス&ラブコメディ風になる予定です。  ベアトリーチェを巡る新しい恋の予感もお楽しみに!  ※印は回帰前の物語です。

もう尽くして耐えるのは辞めます!!

月居 結深
恋愛
 国のために決められた婚約者。私は彼のことが好きだったけど、彼が恋したのは第二皇女殿下。振り向いて欲しくて努力したけど、無駄だったみたい。  婚約者に蔑ろにされて、それを令嬢達に蔑まれて。もう耐えられない。私は我慢してきた。国のため、身を粉にしてきた。  こんなにも報われないのなら、自由になってもいいでしょう?  小説家になろうの方でも公開しています。 2024/08/27  なろうと合わせるために、ちょこちょこいじりました。大筋は変わっていません。

【第二部連載中】あなたの愛なんて信じない

風見ゆうみ
恋愛
 シトロフ伯爵家の次女として生まれた私は、三つ年上の姉とはとても仲が良かった。 「ごめんなさい。彼のこと、昔から好きだったの」  大きくなったお腹を撫でながら、私の夫との子供を身ごもったと聞かされるまでは――  魔物との戦いで負傷した夫が、お姉様と戦地を去った時、別チームの後方支援のリーダーだった私は戦地に残った。  命懸けで戦っている間、夫は姉に誘惑され不倫していた。  しかも子供までできていた。 「別れてほしいの」 「アイミー、聞いてくれ。俺はエイミーに嘘をつかれていたんだ。大好きな弟にも軽蔑されて、愛する妻にまで捨てられるなんて可哀想なのは俺だろう? 考え直してくれ」 「絶対に嫌よ。考え直すことなんてできるわけない。お願いです。別れてください。そして、お姉様と生まれてくる子供を大事にしてあげてよ!」 「嫌だ。俺は君を愛してるんだ! エイミーのお腹にいる子は俺の子じゃない! たとえ、俺の子であっても認めない!」  別れを切り出した私に、夫はふざけたことを言い放った。    どんなに愛していると言われても、私はあなたの愛なんて信じない。 ※第二部を開始しています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

愛など初めからありませんが。

ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。 お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。 「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」 「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」 「……何を言っている?」 仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに? ✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

あなたが捨てた私は、もう二度と拾えませんよ?

AK
恋愛
「お前とはもうやっていけない。婚約を破棄しよう」 私の婚約者は、あっさりと私を捨てて王女殿下と結ばれる道を選んだ。 ありもしない噂を信じ込んで、私を悪女だと勘違いして突き放した。 でもいいの。それがあなたの選んだ道なら、見る目がなかった私のせい。 私が国一番の天才魔導技師でも貴女は王女殿下を望んだのだから。 だからせめて、私と復縁を望むような真似はしないでくださいね?

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

処理中です...