3 / 4
日本の神、登場!?
しおりを挟む
<第三話>
慌てて外へ出てみると、怪我をした住民が何人もいた。半獣だから、何人とは数えないかもしれないが、今はそんなことなど関係ない。
どうすればいいのだろうか?何かできることはないのか?そもそもこの村に何が起きたのか?
何かに襲われたような痕跡がいくつもあり、襲われて建物も崩れてしまったようだった。
恐らく、巨熊狼に襲われたのだろう。足跡が、日中に俺が襲われた時に見た足跡がここにも付いていたからだ。
それも大量に。
建物に関しては……まぁ、だいぶボロボロだったし、恐らく木の柱と磨かれた石が積まれたような壁だったから、崩れてしまうのも無理はないのかもしれない、と思った。
ちなみに、唯一残っていた建物は、俺が泊まっていたあの宿だけだ。
何故宿だけ残っていたのか。それは神様が言っていたように恐らく俺のスキルの影響で襲われなかったのだと思う。
とにかく、こんなことを考えていても何かしら行動を起こさないとどうしようもない。
怪我をした住民の手当はできないだろうか。
魔法とか使うことができればなぁ……。
ファンタジーマンガによく出てくる治癒魔法みたいなものは無いのか?
神様がいればそういうのも説明してもらえるんだけど……。
そういえば神様は?こんな大事な時にいないのかあのジジ……。と、とにかくどうにかしないとな。
もうできることであればなんでもいいんだが……。
「クウウゥン」
ん?なんの鳴き声だ?
俺は後ろをゆっくりと振り返る。すると、犬?がしっぱを振りながらこちらを見つめていた。
「ばぅばぅー、きゅんきゅん」
よくわからないが、襲って来たり、敵対するような様子ではない。どしたのだろうか?
もしや、仲間になってくれる……とか?いや、さすがにないか?
こう見るとめっちゃかわいいかも……柴犬の色が変わったような感じの見た目……。撫でても大丈夫なのか?
撫でちゃえ!
「………………。」
やべええええええ!かわいい!フッサフサ!お手できるかな?
「お手!」
「きゃんきゃん」
このかわいい犬の足と俺の手が触れた瞬間、この犬と俺周辺が謎の白い光で照らされた。
「え?何?どういうこと?めっちゃ光ってるんだけど」「ふむ。まさかお主と大口真神おおくちのまがみが契約するとは驚きじゃ」
「あっ、ジジイだ!」
「ああ?」
「なんでもございません、神様。と、ところで神様は今までどこにいらっしゃったのですか?」
「ああ、定時になったから退勤して家に帰ったのじゃ」
「神様業って定時とかあるんだ……」
「まぁ、そんなことはどうでもいいのじゃが、そちらさんについて詳しく聞かせてくれるかのぉ?」
「え?この子について聞きたいのは俺の方ですよ」
「お主、知らぬのか。?大口真神おおくちのまがみを」
「大口真神おおくちのまがみ……え、このかわいい犬って神様なの…………?」
大口真神おおくちのまがみってあれだよな?あの、日本の神社で祀られているあの狼の神様だよな?
それにしては見た目がなんというか……かわいい。
想像とだいぶかけはなれてる。
このふかふかモサモサのキレイな毛。かわいいんだけどどこか強く見えるような、かっこいいような。
まるで俺みたいだな。昔は母さんとかにもかわいいって言われてたし、それなりに俺ってかっこよかったし。
まあその魅力に気付く人がいなくて彼女できなかったり、友達もできなかったんだが、仕方ない。
まぁ、この子すごいかわいい。もう永遠と一緒にいたいよ。
というか日本の神がこんなところにいるんだな。
「そうじゃよ。そちらさんはお主が住んでいた世界の神ではないじゃろうか?」
「やっぱりそうですよね」
「お主、どうやってそちらさんと契約したのじゃ?何をしたんじゃ?」
「気が付いたら後ろにいて、お手させたら白く光って……。ただ、それだけですよ」
「ふむ。大口真神自らがお主に近寄ってきたようじゃが……。お主、神に好かれたんじゃろうな。わしにも何故かはわからぬのだが、何か縁があったのでないかの。ちなみに、大口真神は主に森を守る白い犬神なんじゃがな、聖獣として崇拝されてきたようじゃぞ」
「なるほど」
言われてみれば、昔ドライブで神社巡りしていた時に狼が祀られていた気がする。なんだっけ?埼玉県にある三○神社だったよな?
関東最強のパワースポットで、有名だったから行ったんだったよな。
"縁結びの木"とか特に印象に残ったな。
ま、元の世界の方でまた休みがとれたら行ってみようか。
「まぁ、このわしでもびっくりじゃよ。こんなすごい神と契約するとは珍しいんじゃよ?そもそも普通の神と契約するのも一苦労なのにこれはすごいんじゃよ」
「おお……!そんなにすごいのか……!」
だが、喜んでいる場合ではなかった。村のこの悲惨な状況をなんとかしなければならない。どうするべきなんだ?
「そうじゃな。お主じゃったらこの悲惨な状況からどうやって村を救うんじゃ?」
心の声と会話しないでくれ、神様……。
とにかく、どうするんだ。住民は治癒魔法で助けるか?使い方分からんけど……。
「そうじゃな。治癒魔法が最善策じゃの。ちょうど、そちらの大口真神おおくちのまがみは治癒魔法も持っておるようじゃから、手助けしてもらったらどうじゃ」
「そうなんですね。じゃあ、手伝ってもらおうかな」
「我輩が手伝い…………?」
「え!?喋った!?」
「ふむ。契約した時にお主と大口真神おおくちのまがみの強い魔力でできた見えない鎖のようなもので意識を通じさせて会話をしているようじゃ。それで、魔力の鎖から意識が少し飛散してわしにもそれが聞こえる、と。そういうことじゃな」
「我輩に手伝い、だと?」
ん?怒ってる!?
「か、神様に手伝いをしてもらうなんて図々しいですよねスミマセンほんとに」
「我輩にご主人様の手伝いをさせて頂けるなんて光栄です!」
……怒ってるんじゃないんかい!というか俺より神様の方が身分上でご主人様って。
「いえ!もうご主人様の強さは一度見ただけで分かってしまうくらい非常に強い魔力を感じます!我輩より強いですぞ!」
「えええ……。強いの……?いや、神様より強いなんてさすがに」
「そんなことより!とにかく急いで村を助けてやるんじゃ。ふう、わしはお家へ帰るとするかの」
「お前も手伝うんだよジジイ!」
「ジジイじゃと!?」
「……まぁとにかく手伝って神様」
「残業代出すんじゃぞ!」
残業代ってなんだよ……。
まぁ、そうして俺は、ジジイと大口真神様おおくちのまがみの3人で協力し、半獣の村を助ける……はずだったのだが──。
「な、なんじゃこりゃ!何この化け物!怖いんですけど!怖すぎてもう地球に戻りたいわ!」
俺達は、この村を襲ったであろう巨熊狼と遭遇してしまった。しかもビビりな俺が、めちゃ怖い見た目のでかい熊となんて遭遇してしまったら……逃げ出すしかないでしょ!
しかも、昼間噛んできたような巨熊狼ではなく、もっとやばいやつと、だ。
俺達は、そんな恐ろしいやつと戦うことになってしまうのだった。
<第三話 終>
続く
慌てて外へ出てみると、怪我をした住民が何人もいた。半獣だから、何人とは数えないかもしれないが、今はそんなことなど関係ない。
どうすればいいのだろうか?何かできることはないのか?そもそもこの村に何が起きたのか?
何かに襲われたような痕跡がいくつもあり、襲われて建物も崩れてしまったようだった。
恐らく、巨熊狼に襲われたのだろう。足跡が、日中に俺が襲われた時に見た足跡がここにも付いていたからだ。
それも大量に。
建物に関しては……まぁ、だいぶボロボロだったし、恐らく木の柱と磨かれた石が積まれたような壁だったから、崩れてしまうのも無理はないのかもしれない、と思った。
ちなみに、唯一残っていた建物は、俺が泊まっていたあの宿だけだ。
何故宿だけ残っていたのか。それは神様が言っていたように恐らく俺のスキルの影響で襲われなかったのだと思う。
とにかく、こんなことを考えていても何かしら行動を起こさないとどうしようもない。
怪我をした住民の手当はできないだろうか。
魔法とか使うことができればなぁ……。
ファンタジーマンガによく出てくる治癒魔法みたいなものは無いのか?
神様がいればそういうのも説明してもらえるんだけど……。
そういえば神様は?こんな大事な時にいないのかあのジジ……。と、とにかくどうにかしないとな。
もうできることであればなんでもいいんだが……。
「クウウゥン」
ん?なんの鳴き声だ?
俺は後ろをゆっくりと振り返る。すると、犬?がしっぱを振りながらこちらを見つめていた。
「ばぅばぅー、きゅんきゅん」
よくわからないが、襲って来たり、敵対するような様子ではない。どしたのだろうか?
もしや、仲間になってくれる……とか?いや、さすがにないか?
こう見るとめっちゃかわいいかも……柴犬の色が変わったような感じの見た目……。撫でても大丈夫なのか?
撫でちゃえ!
「………………。」
やべええええええ!かわいい!フッサフサ!お手できるかな?
「お手!」
「きゃんきゃん」
このかわいい犬の足と俺の手が触れた瞬間、この犬と俺周辺が謎の白い光で照らされた。
「え?何?どういうこと?めっちゃ光ってるんだけど」「ふむ。まさかお主と大口真神おおくちのまがみが契約するとは驚きじゃ」
「あっ、ジジイだ!」
「ああ?」
「なんでもございません、神様。と、ところで神様は今までどこにいらっしゃったのですか?」
「ああ、定時になったから退勤して家に帰ったのじゃ」
「神様業って定時とかあるんだ……」
「まぁ、そんなことはどうでもいいのじゃが、そちらさんについて詳しく聞かせてくれるかのぉ?」
「え?この子について聞きたいのは俺の方ですよ」
「お主、知らぬのか。?大口真神おおくちのまがみを」
「大口真神おおくちのまがみ……え、このかわいい犬って神様なの…………?」
大口真神おおくちのまがみってあれだよな?あの、日本の神社で祀られているあの狼の神様だよな?
それにしては見た目がなんというか……かわいい。
想像とだいぶかけはなれてる。
このふかふかモサモサのキレイな毛。かわいいんだけどどこか強く見えるような、かっこいいような。
まるで俺みたいだな。昔は母さんとかにもかわいいって言われてたし、それなりに俺ってかっこよかったし。
まあその魅力に気付く人がいなくて彼女できなかったり、友達もできなかったんだが、仕方ない。
まぁ、この子すごいかわいい。もう永遠と一緒にいたいよ。
というか日本の神がこんなところにいるんだな。
「そうじゃよ。そちらさんはお主が住んでいた世界の神ではないじゃろうか?」
「やっぱりそうですよね」
「お主、どうやってそちらさんと契約したのじゃ?何をしたんじゃ?」
「気が付いたら後ろにいて、お手させたら白く光って……。ただ、それだけですよ」
「ふむ。大口真神自らがお主に近寄ってきたようじゃが……。お主、神に好かれたんじゃろうな。わしにも何故かはわからぬのだが、何か縁があったのでないかの。ちなみに、大口真神は主に森を守る白い犬神なんじゃがな、聖獣として崇拝されてきたようじゃぞ」
「なるほど」
言われてみれば、昔ドライブで神社巡りしていた時に狼が祀られていた気がする。なんだっけ?埼玉県にある三○神社だったよな?
関東最強のパワースポットで、有名だったから行ったんだったよな。
"縁結びの木"とか特に印象に残ったな。
ま、元の世界の方でまた休みがとれたら行ってみようか。
「まぁ、このわしでもびっくりじゃよ。こんなすごい神と契約するとは珍しいんじゃよ?そもそも普通の神と契約するのも一苦労なのにこれはすごいんじゃよ」
「おお……!そんなにすごいのか……!」
だが、喜んでいる場合ではなかった。村のこの悲惨な状況をなんとかしなければならない。どうするべきなんだ?
「そうじゃな。お主じゃったらこの悲惨な状況からどうやって村を救うんじゃ?」
心の声と会話しないでくれ、神様……。
とにかく、どうするんだ。住民は治癒魔法で助けるか?使い方分からんけど……。
「そうじゃな。治癒魔法が最善策じゃの。ちょうど、そちらの大口真神おおくちのまがみは治癒魔法も持っておるようじゃから、手助けしてもらったらどうじゃ」
「そうなんですね。じゃあ、手伝ってもらおうかな」
「我輩が手伝い…………?」
「え!?喋った!?」
「ふむ。契約した時にお主と大口真神おおくちのまがみの強い魔力でできた見えない鎖のようなもので意識を通じさせて会話をしているようじゃ。それで、魔力の鎖から意識が少し飛散してわしにもそれが聞こえる、と。そういうことじゃな」
「我輩に手伝い、だと?」
ん?怒ってる!?
「か、神様に手伝いをしてもらうなんて図々しいですよねスミマセンほんとに」
「我輩にご主人様の手伝いをさせて頂けるなんて光栄です!」
……怒ってるんじゃないんかい!というか俺より神様の方が身分上でご主人様って。
「いえ!もうご主人様の強さは一度見ただけで分かってしまうくらい非常に強い魔力を感じます!我輩より強いですぞ!」
「えええ……。強いの……?いや、神様より強いなんてさすがに」
「そんなことより!とにかく急いで村を助けてやるんじゃ。ふう、わしはお家へ帰るとするかの」
「お前も手伝うんだよジジイ!」
「ジジイじゃと!?」
「……まぁとにかく手伝って神様」
「残業代出すんじゃぞ!」
残業代ってなんだよ……。
まぁ、そうして俺は、ジジイと大口真神様おおくちのまがみの3人で協力し、半獣の村を助ける……はずだったのだが──。
「な、なんじゃこりゃ!何この化け物!怖いんですけど!怖すぎてもう地球に戻りたいわ!」
俺達は、この村を襲ったであろう巨熊狼と遭遇してしまった。しかもビビりな俺が、めちゃ怖い見た目のでかい熊となんて遭遇してしまったら……逃げ出すしかないでしょ!
しかも、昼間噛んできたような巨熊狼ではなく、もっとやばいやつと、だ。
俺達は、そんな恐ろしいやつと戦うことになってしまうのだった。
<第三話 終>
続く
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが集団お漏らしする話
赤髪命
大衆娯楽
※この作品は「校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話」のifバージョンとして、もっと渋滞がひどくトイレ休憩云々の前に高速道路上でバスが立ち往生していた場合を描く公式2次創作です。
前作との文体、文章量の違いはありますがその分キャラクターを濃く描いていくのでお楽しみ下さい。(評判が良ければ彼女たちの日常編もいずれ連載するかもです)
【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
風月学園女子寮。
私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…!
R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。
おすすめする人
・百合/GL/ガールズラブが好きな人
・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人
・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人
※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。
※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる