坊主女子:スポーツ女子短編集[短編集]

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坊主頭の絆: 母と娘のソフトボール物語

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東京のある大学キャンパス、春の陽気が心地よい午後。

ソフトボール部のグラウンドでは、チームメイトたちが汗を流していた。中でも一際目を引くのは、岸田裕子。彼女の背中まで届く長い髪は、風になびくたびに注目の的となっていた。裕子のプレイは力強く、チームの中核として期待されていた。その日も、彼女のバットから放たれたヒットに、チームメイトからは拍手と歓声が上がっていた。

「ヒットだ!よくやった裕子!」
チームメイトの掛け声が飛ぶ。

裕子は笑顔で頷き、内心ではさらなる高みを目指していた。彼女の夢は、日本代表に選ばれること。そのためには、全国大会での輝かしい成績が不可欠だった。

練習後、厳しい表情の源田監督が裕子に近づいた。
「岸田、お前の髪、邪魔だろう。短くしろ。」
裕子は驚いた。彼女にとってその長い髪は、ただの髪型以上のものだった。自己表現の一つであり、彼女のアイデンティティの一部でもあった。


裕子は驚いた。彼女にとってその長い髪は自己表現の一部だった。
「でも監督、私の髪は…」裕子が言いかけると、源田監督は断固として言い切った。「ルールはルールだ。邪魔になるものは排除する。それがお前の、そしてチームのためだ。」と源田監督は断固として言い切った。

その晩、裕子は自室で自分の髪を見つめながら考え込んでいた。「日本代表…それが私の夢。でも、この髪を…」葛藤する裕子。彼女の髪は、幼い頃からの自己表現の手段であり、多くの時間をかけて大切に育ててきたものだった。それを切ることは、自分の一部を失うような感覚にも似ていた。

翌日、決意を固めた裕子は、田所幸一郎の床屋に向かう。店主の田所は、スポーツ選手には特別な髪型を提供することで知られていた。

裕子が田所幸一郎の床屋に足を踏み入れた。店内は古き良き時代の香りが漂い、裕子が店に入ると、田所は彼女の長い髪を見て微笑んだ。

「こんにちは、岸田さん。どういった髪型にしましょう?」田所が優しく尋ねる。

「スポーツ刈りでお願いします。日本代表を目指していますから」と裕子は静かに言った。

田所はにっこりと笑い、「わかった。それじゃあ、頑張るよ」と答えた。しかし、彼の心には別の計画があった。

裕子は少し緊張しながら、「スポーツ刈りにしてください。私、ソフトボールで日本代表を目指しているんです」と答えた。

田所は鏡を見ながら裕子の長い髪を手に取り、「なるほど、それは大変な決意ですね。じゃあ、しっかりサポートさせていただきますよ」と言い、ハサミを持ち上げた。

カチン、カチンと鋏が鳴り、一束、また一束と裕子の髪が床に落ちていく。裕子は鏡の中の自分を見つめ、心の中で葛藤していた。「さよなら、私の髪…でも、これで一歩、夢に近づけるはず」

田所は裕子の表情を見て、更に短くすることを決意する。「これで、あなたはもっと自由に、もっと強くプレイできるはずですよ」と彼は言いながら、思い切って裕子の髪を刈り上げた。

最終的に、裕子の髪は坊主頭になってしまった。鏡に映る自分の姿に、裕子は驚愕し、涙がこぼれた。「こんなはずじゃ…」

田所は慌てて、「すみません、少し手が滑って…でも、これはこれで新しいスタートですよ」とフォローした。

裕子は深呼吸をして、涙を拭い、「わかりました。これで私は新しい私になれる…ありがとうございます」と、固い決意を新たにした。


その日から、裕子は新しい自分として練習に励んだ。坊主頭になって数日が経ったある日、源田監督が裕子の自宅を訪れた。リビングのテーブルには裕子、彼女の母、そして源田監督が向き合って座り、三者面談が始まった。

源田監督は真剣な表情で話し始めた。「裕子の坊主頭には驚かれたことでしょう。しかし、これもすべては日本代表という大きな目標達成のためです。裕子の決意と努力には、監督として全力でサポートしたいと思っています。」

裕子の母は、懸念が色濃く残る表情で娘を見つめた。「裕子がそう決めたのなら、私も支持はするわ。でも、こんなに大きく変わってしまって…心配だわ。」彼女の声には、娘への深い愛情と、変化への不安が混じり合っていた。

そんな母親の心情を察したかのように、源田監督は意外な提案をした。「実は、もう一つ提案があります。少々唐突かもしれませんが、お母様にも髪を短くしていただくことをお勧めします。これは裕子を精神的に支え、団結力を高める意味も含まれています。」

裕子の母は驚きの表情を隠せなかった。「私もですか?でも、そんな…」彼女は言葉を濁しながらも、源田監督の提案の意図を理解し始めていた。

源田監督は優しく説得を続けた。「はい、お母様。裕子がこの道を選んだのも、きっとお母様の強さを受け継いでいるからでしょう。お母様がこの決断をしてくださることで、裕子はさらに強い心を持って日本代表への道を歩めると私は信じています。」

裕子の母は、これまでずっと長い髪を身にまとっていた。彼女にとってその髪は、女性としての美しさや優雅さの象徴であり、また家族を支える母親としての温かみや優しさを感じさせるものだった。彼女の髪型はいつもきれいにまとめられ、どこか慈悲深い母親の象徴のように周囲からは見られていた。

源田監督からの提案を受け、裕子の母は一瞬戸惑った。自分の長い髪を切るということは、ただの外見上の変化を超え、自分自身の一部を手放すような感覚に襲われた。しかし、娘のため、そして娘の夢を支えるためならばと考え直した。母親の愛情は、自己の犠牲をも厭わない強さを秘めていた。

深いため息の後、彼女は決意を固めた。「裕子がこんなにも強い決断をしたのなら、母としてそれを支えることが私の役目ね。私の髪なんて、裕子の夢に比べたら些細なことよ。」そう心の中でつぶやきながら、彼女は娘と同じ道を選ぶ覚悟を決めた。

彼女は源田監督に向かって静かに言った。「裕子が強くなるためなら、私は何でもします。私の髪を短くすることで、裕子が一層の勇気を持てるのなら、喜んで。」その言葉には、娘への無条件の愛と支援が込められていた。

彼女の決意に、裕子も源田監督も心から感謝し、この家族の絆がさらに強くなった瞬間だった。裕子の母は、自分の新しい髪型に対する具体的なイメージはまだ持っていなかったが、娘と一緒に新たなスタートを切ることに、不安よりも期待と希望を感じていた。

裕子は母の決意に感動し、涙がにじむ目で母を見つめた。「母さん、ありがとう。一緒にがんばろうね。」裕子と母は、新たな決意を胸に、お互いを強く支え合うことを誓ったのだった。

翌日、裕子の母は田所の床屋を訪れる。「私、娘と同じチームに入れるわけじゃないけど、襟足を刈り上げたショートカットにしてもらえますか?」と母は注文する。

田所は笑顔で「もちろんです。岸田さんのお母さんですよね。お嬢さんのこと、よく聞いていますよ」と言いながらハサミを手に取る。

母は髪が落ちていくのを眺めながら、「少し若返りの気分ですね」と笑いながら言った。「裕子が坊主になって、最初は驚いたけれど、彼女の夢には全力で応援したいの。それに、私も新しい挑戦ってわけね」と笑う。

田所はカットを進めながら、「それは素晴らしいことです。娘さんの情熱に、母親がこうして寄り添う。感動しますね」と感心していた。

田所の床屋での一幕は、裕子の母にとって忘れられない経験となった。田所は「ちょっとだけ、勇気を出してみませんか?」と優しく提案し、母は何となくその意図を察しながらも、彼を信頼してうなずいた。その信頼が、まさかの展開を迎えるとは、その時の彼女には想像もつかなかった。

田所はまず、襟足を丁寧に刈り上げることから始めた。彼の手つきは確かで、母は鏡を通して自分の変化する姿を見守っていた。最初はただのショートカットになるだろうと思っていたが、田所のバリカンは次第に上部へと移動し、彼女の髪を短く刈り上げていった。

バリカンの音は均一で、その振動が頭皮に心地よいマッサージのように感じられた。床に落ちる髪の束を見るたびに、母は自分が新しい何かへと変わっていくのを感じた。しかし、田所の動きにはある種の流れがあり、それが彼女を安心させていた。彼女は、自分がただ襟足を刈り上げただけのショートカットになると信じて疑わなかった。

田所の手は慣れた動きでバリカンを操り、母の髪を次第に刈り上げていく。彼は時折髪を梳かしながら、均等に刈り上げられているか確認していた。母は鏡の中で自分の変わりゆく姿を見つめ、変化の速さに少しずつ気づき始めたが、田所の落ち着いた様子と手際の良さに安心していた。

しかし、バリカンの刃が頭の上部を通るとき、母は突然、何かがおかしいことに気づいた。田所は慎重にバリカンを動かし、母の頭を坊主に近づけていった。髪の束が次々と床に落ち、彼女の頭は徐々に髪のない状態になっていった。

仕上げに鏡を手渡され、自分の新しい姿を見た瞬間、母は衝撃を受けた。「え、これって…」鏡に映るのは、坊主頭になった自分の姿だった。彼女は思わず涙を流し、「これは…いいえ、私はこれを…」と言葉を詰まらせた。

田所は慌ててフォローし、「本当に申し訳ございません。でも、これは新しいスタートです。裕子さんをしっかりとサポートできる強さを持つことになります」と語りかけた。

母は混乱と衝撃の中で、新しい自分の姿を受け入れ始めた。彼女は家に帰り、裕子にこの出来事を話した。裕子は驚いたが、すぐに母を抱きしめ、「母さん、大丈夫。私たちは一緒だよ」と慰めた。母は「そうね、これで私たちはもっと強い絆で結ばれたわ」と涙を拭い、新しい姿を受け入れ始めたのだった。

この新しい母の姿に、裕子は驚くと共に、家族の絆を強く感じることになる。母と監督のサポートを背に、裕子は全国大会に向けて更に力を入れて練習に励むのだった。

全国大会の朝、裕子は早くからグラウンドに立っていた。坊主頭になった自分を鏡で見て、心の中でつぶやく。「これが、私の新しい強さ…」

「裕子、坊主頭が似合ってるよ」とチームメイトが声をかける。

裕子は笑顔で応える。「ありがとう。最初は違和感があったけど、今はこれが私の戦闘モードだと思ってる」。

試合が始まると、裕子のプレイはいつも以上に鋭く、集中力も増していた。ヒットを打った後、ベースに向かう裕子は監督に向かって、「坊主頭のおかげで風を切って走れます!」と叫ぶ。

試合の間、観客席からは「坊主頭の岸田!」という声援が飛び、裕子はその声に力をもらう。

試合のハイライトである裕子のホームランの瞬間、彼女はバットを振り抜き、力強く走り出す。「私の坊主頭、見てて!」と内心で叫ぶ。ホームベースを踏んだ後、彼女はチームメイトと抱き合い、「坊主頭パワーだ!」と笑い合う。

試合後、監督は裕子を呼び、「岸田、お前の坊主頭、チームに新しい風を吹き込んだ。お前の決断が、今日の勝利をもたらした」とねぎらう。

裕子は感激して、「監督、ありがとうございます。坊主頭、最初は不安でしたけど、今は私の誇りです」と答える。

全国大会の勝利から数週間後、裕子は部室で特別な手紙を手にしていた。それは日本代表の選考委員会からのものだった。

「これ、本当かな…?」裕子は手紙を開き、目を通す。そこには彼女が待ち望んだ言葉が書かれていた。「岸田裕子選手、日本代表に選出されました」。

裕子は驚きと喜びで声を上げた。「やった!私、日本代表に選ばれた!」

チームメイトたちが駆け寄り、祝福の声を上げる。「すごいよ裕子!」「おめでとう!本当に本当におめでとう!」

源田監督も笑顔で近づき、「岸田、よくやった。お前の努力と決意が報われたな」と言い、彼女の肩をたたいた。

裕子は家に帰り、母にも喜びの報告をした。「母さん、私、日本代表に選ばれたよ!」

母は涙を浮かべながら裕子を抱きしめ、「裕子、本当によく頑張ったわ。あなたの努力と強さにはいつも感動しているの。これからも全力で応援するわ」と言った。

裕子が日本代表に選ばれた日、母と裕子は家で特別な儀式を行っていた。二人はお互いの坊主頭をバリカンで刈りあっていた。

「裕子、少し左側が長いわね」と母が笑いながら言う。

裕子はバリカンを手に取り、「大丈夫、母さん。私がきれいに整えるから」と応える。バリカンの音が静かな部屋に響く。

「こうしてお互いの髪を刈るなんて、変わった絆ね」と母が微笑みながら言った。

「うん、でもこれも一つの絆だよね。母さんが坊主頭になったおかげで、私も勇気が出たんだから」と裕子は優しく言い、母の髪を丁寧に整える。

その夜、裕子は自室で一人、これまでの道のりを振り返っていた。「坊主頭になって、最初は戸惑ったけど、それが私の強さになったんだ」と自分自身に語りかける。

裕子は窓から星空を見上げ、「これからの戦いはもっと厳しいだろうけど、私は諦めない。日本代表としての新たなスタートだ!」と心に誓った。

その後の日々、裕子は日本代表のトレーニングに励み、母は家で彼女を支え続けた。坊主頭の母娘は、地域でも話題となり、多くの人々から応援された。

ある日の夕方、裕子は母に向かって言った。「母さん、日本代表として戦う私を見ていてね。母さんの支えがあったからこそ、ここまで来れたんだから」。

母は涙を浮かべながら、「裕子、いつでも全力で応援してるわ。あなたの強さと勇気が、私にも力をくれるの」と答えた。

裕子は日本代表としての新たな道を歩み始めた。彼女の坊主頭は、自らの決意と母との強い絆を象徴していた。そして、母と裕子の物語は、互いに支え合いながら夢に向かって進む、力強い家族の物語として多くの人々に感動を与えた。

数日後、裕子は日本代表のユニフォームを手に取り、胸を張った。「これからは、日本を背負って戦う。私の挑戦は、まだまだこれからだ!」と意気込む。

裕子の坊主頭は、彼女の決意と強さの象徴となり、周りからも尊敬の眼差しで見られるようになった。彼女の新しい章が、ここから始まるのだった。
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