黄龍漫遊記

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成長編 南へ

朱雀の新生

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小朱雀達はルーンの側から一時たりと離れようとしない
それぞれに世話をしたいらしい
ピーチクパーチク鳴きながらルーンの一挙手一投足を見ている

だが、そんな小朱雀の中でもルーンの側に来ない個体が存在した

最初はルーンも気にしてなかったのだが
その近寄らない30cmくらいの小朱雀が、ルーンの側に来たそうにチラチラ見てくるのが気になりだし

『こっちこないの?』

小朱雀はフルフルと横に頭を振る

『るーんがきらい?』

小朱雀はブンブンと横に頭を振る

『どーしたの?』
ルーンが近寄ろうとすると
サササーっと離れる

『ねー ぽぇねー』
と、困った様にポェニクスを見る

『あぁ、あの子はもう直ぐ生まれ変わるから体が安定してないのよ。』
と、朱雀形態の自分の炎と見比べさせながら

『ほら、妾と違って炎が強くなったり弱くなったりしてるでしょう?』

『ほんとだー どうするの?』

『崑崙の火口に飛び込んで身を燃やし、新しく生まれるのじゃ。そうやって朱雀は100年に1度、身体を新しくするのえ』

『あの子は初めて生まれ変わるから、どうして良いのか分からぬのであろ』

『生まれ変わるという事は、1度死ぬという事じゃからの。怖いであろうしの』

『はー たいへんだー すざく たいへんだねー?』

『そうじゃの…しかし、あの子の状態は酷いのう…早く生まれ変われば楽になろうに』

『ぽぇねー いかせないの?』

『アレは無理矢理すると生まれ変われないのじゃ。自分で生まれ変わろうとする強い気持ちでないと燃えて消えてしまうだけじゃ』

『じゃから、妾には見ている事しか出来ぬな…』

小朱雀に向き直り
『ねー だいじょーぶ?うまれかわりしないの?』

小朱雀は悲しそうに頭を振って
「怖いの…」
小さな声で呟く

『そっかー こわいんだー』

『うーーーん』

『あ!? ぼくもいっしょにいったげる!』

『それならいーでしょ!(フンス!)』

小朱雀が小さい翼を前に突き出し
頭と一緒にブンブン振る
「いけません!わたくしの為にそんな危ない事はさせられません!」

『ルーン、無茶をお言いでないよ。それは流石にやらせられぬえ?』

『だいじょーぶ!』

『よーがんの ひ さんも だいじょーぶっていってるの!』

『え?……え?あの灼熱の炎と言葉を交わしたのかえ?』
思わずルーンを2度見した

『うん  みてて』
と、ルーンが溶岩を指差すと

グググっと溶岩が持ち上がり、おいでおいでをするかの様にてっぺんから垂れ下がり崩れ落ちた

『ね?だいじょーぶだから おいでってしたでしょ』

流石のポェニクスと小朱雀一同も
目をパチクリしている

突然、ポェニクスが
『おほほほほほほ…規格外もここまで行くと流石じゃの、やはりルーンは特別じゃ』

フワリとルーンを抱きしめる
『えへへ…』


『じゃあ こっちにおいで?いっしょにいくよ!』

おずおずと小朱雀が近付いてくる

『うまれかわるって おもってね?』

コクコクと頷く

小刻みに震える小朱雀の小さな翼の端っこを持って
『いくよー』

っと溶岩に飛び込む

一瞬にして小朱雀が消滅する
しかし、ルーンは溶岩に沈む事無く
溶岩の表面でポヨンポヨンしている

ルーンは溶岩の表面をトテトテトテーっと走って戻ると
溶岩に向き直り真剣な顔をして、小朱雀の消滅した場所を見つめる

5分、10分と経つが溶岩に変化はない

ルーンが不安そうにポェニクスを見ると
『大丈夫じゃ、もう少し…』

更に15分ほど経つと小朱雀の消滅した場所が輝きだし
50cmぐらいに成長した
金がかった緋色の朱雀がゆっくりと翔びあがる

(おや?)
ポェニクスが首を傾げる

『わー おめでとー!』
ルーンがパチパチと拍手する

(あの子は次代の朱雀かえ?しかし朱雀に次代?でも、あの緋色は妾と同じ…)
ウーンと悩み出すポェニクス

生まれたばりの小朱雀がルーンの側までパタパタと翔んでくる
「ルーン様、ありがとうございました!」

(ルーンが一緒に飛び込んだせいかえ?妾がここを出て行くのかえ?そうでなければ、あの緋色は説明出来ぬな…)

『うん おめでとー だいじょーぶ?』


(ルーンの昇天と共に妾も天界へ?)


「はい!とても気持ちが良いです。先程までとは全然違います♪」


(それはそれで美味しいのではないかえ?くふふふふ…)
黒い考えに行きついた



『ぽぇねー どうしたの?なんかこわい』

『へ?あ?ぐ+°\^<%€ほ#…な、なんでも無いわえ(ドキドキ…)』
しどろもどろになるポェニクス
と、小朱雀以外の視線を感じる
(はっ!?そうであった!水鏡で視られている!)

(ああぁぁー、失敗したーーー!)
頭を抱えうずくまる

(そうだ!視られてなかった事にしよう!そうしよう!)


『そんな訳あるか!』
青龍の声が聞こえた気がした


    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ブラック ポェさん爆誕!
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