従順な俺を壊して

川崎葵

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第三章 出会い

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先ほど仕事だからと言ったおかげか、今度は呼び止められなかったが、アイツに対しては不審な点があまりにも多すぎる。

ここで俺が働いていると知らずにきた割には、今日は裏方もするのかとか、今日の上がりは22時かとか、あまりにも質問が具体的過ぎる。
俺はあいつにバイトを始めたことすらも言っていないし、場所は当然、時間や頻度、内容なども一切喋っていない。

京介と多田には俺の家で告げたため他に聞かれることはないし、あの2人は俺のことを周りに喋ったりなどしない。
にも関わらず、今店内でご飯を食べているあいつは、今日”は”とか、今日”の”と他の事例があるのを知っているかのように聞いてきた。

あまりにも不気味すぎる。
俺が上がるまでに帰ってほしいのだが、時間も閉店間際なので、普通に食事をしていてもそれなりにかかるのではないだろうか。

嫌気がさしつつも閉店業務へと取り掛かり、粗方の業務を終えたぐらいに柿原は席を立った。
残りの客は柿原のみであり、ちょうど閉店時間である。

「美味しかったよ。ありがと。」

「店長に言っとくよ。じゃあね。」

俺は柿原を店内から出たのを確認し、表の鍵を閉めてブラインドを落とす。

「亀城君、今日はもう上がっていいよ。後は私がやっておくから。」

「あー、もうちょっといさせてもらっていいですか?ついでなんでやって帰ります。」

「遅くなるよ?それに、雨が振り出しそうだし。」

「傘、持ってきてるんで大丈夫ですよ。」

「いつもごめんね。本当に助かるよ。」

「楽しいんで。気にしないでください。」

俺はそう話しつつ残りの業務へと取り掛かった。
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