25 / 40
第二章 最強の男
25
しおりを挟む
「そういや今日河原に何しに行ってたの?」
食事も中盤に差し掛かった時、俺はふと思い出してそう尋ねる。
「今日は、クラスの渡辺からタイマンの申し込みがあったから。それに応えに。」
「聞くまでもないけど、結果は?」
「勝ったに決まってんだろ。あんな雑魚相手にもなんねぇよ。」
俺の渡辺に対する知識はあまりなく、強いて言うなら毎日制服の着こなしで注意をされているぐらいの認識しかない。
授業中もほぼ寝ており、顔すらあまり覚えていないのが現状だ。
「だよね。渡辺ってその筋には有名なの?」
「別にそこまで?まぁ前の中学ではトップの取り巻きしてたから、顔ぐらいは知ってるけど。」
「そのトップの人はどこ行ったの?」
「さぁな。鷹山にいねぇのは確かだよ。来たところでクラスのトップすらも狙えるような奴じゃない。」
「じゃあ、渡辺は何で鷹山に来たの?そのトップより弱いんでしょ?」
「宝くじみたいなもんだよ。当たらないと分かってても夢見て買う。勝てないと分かっててももしかしたら勝てるかもしれないという夢を見て挑む。まぁ、そんなの宝くじ当てるより無謀なことだけど。」
「負けた人ってこれからどうするの?」
「俺の下につこうと思えば俺の傘下に入るし、出直そうと思えばまた申し込めばいつでもやりあえる。ただ、一度負ければ相手が受け入れなければ相手にもされねぇがな。」
「傘下に入ったら何するの?」
「それは人それぞれだな。親玉がそいつらを手足のように使うような奴だったらパシリみたいに扱うだろうし、俺みたいに群れるのが好きじゃなければ、ほっといて勝手に取り巻きみたいになるだろうし。取り巻きになったとして、そいつがどうするかも人それぞれだ。媚を売りたくて貢ぐ奴もいれば、情報収集して情報屋みたいになるやつもいるし。」
「渡辺に関して言えば、元々取り巻きになって虎の威を借りるタイプだから、京介の腰巾着にでもなるんじゃないかな。情報を持ってくるようになるだろうけど、俺がいたら無意味だよね。」
「多田って物知りだもんね。」
「こいつを物知り程度で片付けるのはお前だけだぞ。」
「え?何で?」
「俺、一応情報屋だから。拳よりは情報で相手を掌握してる。見合ったお金くれればどんな情報でも売るよ。流石に仲間は売らないけどね。」
「この辺じゃ、情報量は1位2位を争うぐらいに情報通だからな。何か知りたいことがあったらこいつに聞きゃ、大抵のことは分かるぜ。」
そう言われて、多田を見かけるときは常に誰かと話していたことを思い出す。
多田の隣にいる人物はいつも違う人であり、怖がられているのは京介だけなんだなと思っていたが、多田はきっとその日常生活から情報を得る為に常にニコニコして親しみやすさを出して、京介の友達というオプションを掻き消して交友関係を広げているのだろう。
大人っぽい雰囲気も、高身長だけでなく、その情報量の多さから来る余裕のせいもあるに違いない。
俺が出会った2人は思った以上に敵に回すと怖い人物だったようだ。
食事も中盤に差し掛かった時、俺はふと思い出してそう尋ねる。
「今日は、クラスの渡辺からタイマンの申し込みがあったから。それに応えに。」
「聞くまでもないけど、結果は?」
「勝ったに決まってんだろ。あんな雑魚相手にもなんねぇよ。」
俺の渡辺に対する知識はあまりなく、強いて言うなら毎日制服の着こなしで注意をされているぐらいの認識しかない。
授業中もほぼ寝ており、顔すらあまり覚えていないのが現状だ。
「だよね。渡辺ってその筋には有名なの?」
「別にそこまで?まぁ前の中学ではトップの取り巻きしてたから、顔ぐらいは知ってるけど。」
「そのトップの人はどこ行ったの?」
「さぁな。鷹山にいねぇのは確かだよ。来たところでクラスのトップすらも狙えるような奴じゃない。」
「じゃあ、渡辺は何で鷹山に来たの?そのトップより弱いんでしょ?」
「宝くじみたいなもんだよ。当たらないと分かってても夢見て買う。勝てないと分かっててももしかしたら勝てるかもしれないという夢を見て挑む。まぁ、そんなの宝くじ当てるより無謀なことだけど。」
「負けた人ってこれからどうするの?」
「俺の下につこうと思えば俺の傘下に入るし、出直そうと思えばまた申し込めばいつでもやりあえる。ただ、一度負ければ相手が受け入れなければ相手にもされねぇがな。」
「傘下に入ったら何するの?」
「それは人それぞれだな。親玉がそいつらを手足のように使うような奴だったらパシリみたいに扱うだろうし、俺みたいに群れるのが好きじゃなければ、ほっといて勝手に取り巻きみたいになるだろうし。取り巻きになったとして、そいつがどうするかも人それぞれだ。媚を売りたくて貢ぐ奴もいれば、情報収集して情報屋みたいになるやつもいるし。」
「渡辺に関して言えば、元々取り巻きになって虎の威を借りるタイプだから、京介の腰巾着にでもなるんじゃないかな。情報を持ってくるようになるだろうけど、俺がいたら無意味だよね。」
「多田って物知りだもんね。」
「こいつを物知り程度で片付けるのはお前だけだぞ。」
「え?何で?」
「俺、一応情報屋だから。拳よりは情報で相手を掌握してる。見合ったお金くれればどんな情報でも売るよ。流石に仲間は売らないけどね。」
「この辺じゃ、情報量は1位2位を争うぐらいに情報通だからな。何か知りたいことがあったらこいつに聞きゃ、大抵のことは分かるぜ。」
そう言われて、多田を見かけるときは常に誰かと話していたことを思い出す。
多田の隣にいる人物はいつも違う人であり、怖がられているのは京介だけなんだなと思っていたが、多田はきっとその日常生活から情報を得る為に常にニコニコして親しみやすさを出して、京介の友達というオプションを掻き消して交友関係を広げているのだろう。
大人っぽい雰囲気も、高身長だけでなく、その情報量の多さから来る余裕のせいもあるに違いない。
俺が出会った2人は思った以上に敵に回すと怖い人物だったようだ。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件
水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて──
※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。
※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。
※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。
組長と俺の話
性癖詰め込みおばけ
BL
その名の通り、組長と主人公の話
え、主人公のキャラ変が激しい?誤字がある?
( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )それはホントにごめんなさい
1日1話かけたらいいな〜(他人事)
面白かったら、是非コメントをお願いします!
王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。
聖也と千尋の深い事情
フロイライン
BL
中学二年の奥田聖也と一条千尋はクラス替えで同じ組になる。
取り柄もなく凡庸な聖也と、イケメンで勉強もスポーツも出来て女子にモテモテの千尋という、まさに対照的な二人だったが、何故か気が合い、あっという間に仲良しになるが…
選択的ぼっちの俺たちは丁度いい距離を模索中!
きよひ
BL
ぼっち無愛想エリート×ぼっちファッションヤンキー
蓮は会話が苦手すぎて、不良のような格好で周りを牽制している高校生だ。
下校中におじいさんを助けたことをきっかけに、その孫でエリート高校生の大和と出会う。
蓮に負けず劣らず無表情で無愛想な大和とはもう関わることはないと思っていたが、一度認識してしまうと下校中に妙に目に入ってくるようになってしまう。
少しずつ接する内に、大和も蓮と同じく意図的に他人と距離をとっているんだと気づいていく。
ひょんなことから大和の服を着る羽目になったり、一緒にバイトすることになったり、大和の部屋で寝ることになったり。
一進一退を繰り返して、二人が少しずつ落ち着く距離を模索していく。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
嘔吐依存
()
BL
⚠️
・嘔吐表現あり
・リョナあり
・汚い
ー何でもOKな方、ご覧ください。
小説初作成なのでクオリティが低いです。
おかしな点があるかもしれませんが温かい目で見逃してください。ー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる