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第一章 鷹山高校
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給食だった小中学校みたいに自分の席で食べなさいというものはなく、学食はないけれど購買部でパンを売っていることからそれを買いに出かけたものもいるし、クラスの分かれてしまった友達の教室に行って食べたりと、皆が様々な場所で食事を始める。
俺は京介が隣の席のためその場で食べ始めたが、弁当をあけたぐらいに多田がEクラスからやってきて人のいなくなった京介の前の席に座った。
「お前向こうにダチいるだろ。」
「昼ぐらいいいじゃん。そんなに俺を除け者にしないでよ。」
「別に除け者にしてねぇけど、逆にクラスで除け者にされんぞ。」
「俺はそういうの気にしないタイプだから。それに京介たちといるほうが楽しいし。」
「そんなことばっか言ってっからお前一部に嫌われんだよ。ヘラヘラ笑って気味悪いし。」
「酷いなぁ。」
「嫌われてたって、何で?」
俺は今朝買ってきたパンをかじりつつ二人にそう問いかける。
不思議な雰囲気をまとってはいるが、嫌われるようなタイプだとは到底思えない。
「付き合い悪ぃからだよ。すーぐ俺と遊ぶからって誘い断るし、別のクラスになってもこうやってしょっちゅう来るし、でもこんな見てくれで目に留まりやすいから周りはほっとかねぇし、京介ばっかかよ気色悪ぃって、まぁ逆恨みだよな。別に俺がそこに混じってもいいつっても俺と二人がいいとかほざきやがるからこの有様だよ。」
「何、多田って京介のこと好きなの?」
「もちろん。大好きだよ。」
「それも気色悪ぃからやめろつってんだろ。だからホモだなんて言われんだよ。」
「だって本当だから仕方ないじゃん。」
それに京介は適当にあしらっているが、目の前のやり取りに親友としてなのか恋愛としてなのかはどうも計り知れなかった。
LGBTに偏見を持っているわけではないから気にはしないが、京介は友達としてしか思っていないのは十分に分かったが、多田はいまいち本心が見えてこない。
こういうところも他の人が嫌う原因のひとつなのかもしれないと勝手に推測する。
そのとき、隣のクラスから机が数脚倒れたような派手な音が聞こえ、何やら怒鳴り声がし始めた。
俺は何事かと周囲の人たちと同じように廊下のほうへと目を向ける。
かといって隣の教室で行われている何かが見えるはずもないのだが、周囲の人も同じように廊下に視線を向けている。
俺は京介が隣の席のためその場で食べ始めたが、弁当をあけたぐらいに多田がEクラスからやってきて人のいなくなった京介の前の席に座った。
「お前向こうにダチいるだろ。」
「昼ぐらいいいじゃん。そんなに俺を除け者にしないでよ。」
「別に除け者にしてねぇけど、逆にクラスで除け者にされんぞ。」
「俺はそういうの気にしないタイプだから。それに京介たちといるほうが楽しいし。」
「そんなことばっか言ってっからお前一部に嫌われんだよ。ヘラヘラ笑って気味悪いし。」
「酷いなぁ。」
「嫌われてたって、何で?」
俺は今朝買ってきたパンをかじりつつ二人にそう問いかける。
不思議な雰囲気をまとってはいるが、嫌われるようなタイプだとは到底思えない。
「付き合い悪ぃからだよ。すーぐ俺と遊ぶからって誘い断るし、別のクラスになってもこうやってしょっちゅう来るし、でもこんな見てくれで目に留まりやすいから周りはほっとかねぇし、京介ばっかかよ気色悪ぃって、まぁ逆恨みだよな。別に俺がそこに混じってもいいつっても俺と二人がいいとかほざきやがるからこの有様だよ。」
「何、多田って京介のこと好きなの?」
「もちろん。大好きだよ。」
「それも気色悪ぃからやめろつってんだろ。だからホモだなんて言われんだよ。」
「だって本当だから仕方ないじゃん。」
それに京介は適当にあしらっているが、目の前のやり取りに親友としてなのか恋愛としてなのかはどうも計り知れなかった。
LGBTに偏見を持っているわけではないから気にはしないが、京介は友達としてしか思っていないのは十分に分かったが、多田はいまいち本心が見えてこない。
こういうところも他の人が嫌う原因のひとつなのかもしれないと勝手に推測する。
そのとき、隣のクラスから机が数脚倒れたような派手な音が聞こえ、何やら怒鳴り声がし始めた。
俺は何事かと周囲の人たちと同じように廊下のほうへと目を向ける。
かといって隣の教室で行われている何かが見えるはずもないのだが、周囲の人も同じように廊下に視線を向けている。
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