2 / 4
02 栗栖 慧の場合。
しおりを挟む
僕には好きな人がいる。
だけど、それは叶わないと思ってた。
男の僕が、男の城田くんに好かれるはずがないと、ましてや付き合えるなんて思ってもいなかった。
同性愛が認められて、法律的にも同性婚が許されてる時代だけど、それでも全ての人がそれに理解があるわけじゃないし、僕がそうだとしても相手の人が受け入れてくれるかはまた別の問題だって自分でもわかってる。
叶わない恋だけど、気付いたときには彼を目で追っていた。僕が見ていることに気がついてほしいような気づいて欲しくないような複雑な心境のなかで
いつも目で追っていたからこそ気が付いた。
もともといろんな女の子を侍らせて手をつけていたけど、いつも城田くんの傍にいた澤村くんが一人の女の子と仲良くなるにつれて、どんどん女性関係が激しくなっている城田くんに……
僕は高校受験のとき同じ教室に格好よくて背の高い人がいた。その人が城田くんだった。多分この時に僕は城田くんに一目惚れしていた。それほど見た目から僕のストライクゾーンど真ん中だったから、入学式のときに同じ学校に通える事が分かり嬉しかった。同じクラスにはなれなかったのは残念だったけど。
廊下ですれ違ったり、外で体育の授業をしている姿を見ると胸が高鳴った。
僕が城田くんのとこが好きだと気が付いたときには、もう澤村くんが城田くんの傍にいた。
澤村くんは幼馴染だから一緒にいることは普通のことなんだけど……。
その場所が羨ましくて、澤村くんに嫉妬していた。
僕が城田くんを見てるように、城田くんはいつも澤村くんを見てた。
僕を見てほしくて、僕の存在に気が付いてほしくて、勇気を出して城田くんに告白することを決意した。
もし、これで断られたら諦める覚悟で……
もう苦しそうな城田くんを見るのも辛くて……
その日城田くんはずっと一人でいて、すれ違ったりして見かけるたびに覇気がなさそうな雰囲気を出していた。
一人で裏庭の方に向かっているのを見て、今日が告白するチャンスだと思って、僕もその後を着いて行った。
僕はズルいと思う、朝から澤村くんと秋山さんが付き合ってるっていう噂が流れてて、それで城田くんは元気がないんだと思った。今日が最初で最後のチャンスだって……
そこまで、気落ちするならもしかして城田くんは僕が告白しても受け入れてくれるかも知れないと思ったから……
ここまで考えて告白すると決意して、裏庭まで来たものなかなか声をかけることが出来なかった。
もしかしたら城田くんはホモでもなくて、ただいつも側にいた澤村くんが居なくなったことにただ寂しい思いをしていただけかも知れない……
だけど、今日を逃すともうチャンスはない……
そんな思いだけが頭の中で渦巻いていて、結局正面から言う勇気がなくて、後ろから声をかけていた。
「ねぇ、城田くん。僕、城田くんの事が好きなんだ…。だからその…」
覚悟を決めたはずなのに、振られるのが怖くてその場を去ろうとしていたのに、城田くんに腕を掴まえられて、僕の想像を上回る行動力だった。
ただ城田くんがしてくれたキスの虜になっただけかもしれない
だけど、僕は城田くんが僕を見てくれるなら、なんでもよかった。それが僕を通して他の誰かを見ていたとしても
家に連れていかれた後の事は童貞の僕でも理解していて、男の僕でも相手をしてくれることが分かって嬉しかった。僕も澤村くんのように呼び捨てにしてほしかった。だから慧と呼んでもらえることになって、嬉しかった。
だけど、僕に城田くんを縛ることは出来なくて、嫌われたくもなくて
「急に誰にも手を出さなかったら、変に誤解されちゃうよ?僕は城田くんを束縛しないし、女の人を相手にするんだったら何も言わないよ?」
それでも、僕以外の男の人には触れてほしくなくて、釘を刺していた。
その日から城田くんは月1くらいで女性を相手にして、それ以外は僕の相手をしてくれた。
そらから、城田くんの隣には僕がいるようになった。
たまに、澤村くんが僕らのことを見ていると気が付いているけど、それを僕が城田くんに言うことはしない。僕はそんなに優しくないし、やっと手に入ったのに簡単に手放すことはできない。
城田くん、僕嫉妬深くてごめんね? それでも、君が好きなんだ。だから、簡単に返すこともできないし、城田くんの隣を譲りたくないんだ。
けどね? 最初は僕を見てなかった城田くんも最近はちゃんと僕を見てくれてるんだよ? 僕はそれだけでも幸せなんだ。傍にいることさえ叶わないと思ってた頃に比べて、僕には嬉しい限りなんだ。
澤村くんが城田くんを失ってどんなに後悔してても、先に手放したのは彼なんだから。僕がどんなにほしくてほしくてしょうがなかった城田くんの隣を簡単にも手放した澤村くんが悪いんだよ?
「慧。行くぞ」
「うん。……あ、ちょっと待ってよ!早いよー」
「わりぃ」
「にひひ」
「何か嬉しいことあったのか?」
「城田くんの傍にいること~」
「そか、俺のそばを離れんなよ?」
「うん!」
城田くんの隣は僕のものだよ?
少しの時間は女性に渡せても、他の時間は僕のものだからね
絶対に他の人に城田くんは渡せないから
だけど、それは叶わないと思ってた。
男の僕が、男の城田くんに好かれるはずがないと、ましてや付き合えるなんて思ってもいなかった。
同性愛が認められて、法律的にも同性婚が許されてる時代だけど、それでも全ての人がそれに理解があるわけじゃないし、僕がそうだとしても相手の人が受け入れてくれるかはまた別の問題だって自分でもわかってる。
叶わない恋だけど、気付いたときには彼を目で追っていた。僕が見ていることに気がついてほしいような気づいて欲しくないような複雑な心境のなかで
いつも目で追っていたからこそ気が付いた。
もともといろんな女の子を侍らせて手をつけていたけど、いつも城田くんの傍にいた澤村くんが一人の女の子と仲良くなるにつれて、どんどん女性関係が激しくなっている城田くんに……
僕は高校受験のとき同じ教室に格好よくて背の高い人がいた。その人が城田くんだった。多分この時に僕は城田くんに一目惚れしていた。それほど見た目から僕のストライクゾーンど真ん中だったから、入学式のときに同じ学校に通える事が分かり嬉しかった。同じクラスにはなれなかったのは残念だったけど。
廊下ですれ違ったり、外で体育の授業をしている姿を見ると胸が高鳴った。
僕が城田くんのとこが好きだと気が付いたときには、もう澤村くんが城田くんの傍にいた。
澤村くんは幼馴染だから一緒にいることは普通のことなんだけど……。
その場所が羨ましくて、澤村くんに嫉妬していた。
僕が城田くんを見てるように、城田くんはいつも澤村くんを見てた。
僕を見てほしくて、僕の存在に気が付いてほしくて、勇気を出して城田くんに告白することを決意した。
もし、これで断られたら諦める覚悟で……
もう苦しそうな城田くんを見るのも辛くて……
その日城田くんはずっと一人でいて、すれ違ったりして見かけるたびに覇気がなさそうな雰囲気を出していた。
一人で裏庭の方に向かっているのを見て、今日が告白するチャンスだと思って、僕もその後を着いて行った。
僕はズルいと思う、朝から澤村くんと秋山さんが付き合ってるっていう噂が流れてて、それで城田くんは元気がないんだと思った。今日が最初で最後のチャンスだって……
そこまで、気落ちするならもしかして城田くんは僕が告白しても受け入れてくれるかも知れないと思ったから……
ここまで考えて告白すると決意して、裏庭まで来たものなかなか声をかけることが出来なかった。
もしかしたら城田くんはホモでもなくて、ただいつも側にいた澤村くんが居なくなったことにただ寂しい思いをしていただけかも知れない……
だけど、今日を逃すともうチャンスはない……
そんな思いだけが頭の中で渦巻いていて、結局正面から言う勇気がなくて、後ろから声をかけていた。
「ねぇ、城田くん。僕、城田くんの事が好きなんだ…。だからその…」
覚悟を決めたはずなのに、振られるのが怖くてその場を去ろうとしていたのに、城田くんに腕を掴まえられて、僕の想像を上回る行動力だった。
ただ城田くんがしてくれたキスの虜になっただけかもしれない
だけど、僕は城田くんが僕を見てくれるなら、なんでもよかった。それが僕を通して他の誰かを見ていたとしても
家に連れていかれた後の事は童貞の僕でも理解していて、男の僕でも相手をしてくれることが分かって嬉しかった。僕も澤村くんのように呼び捨てにしてほしかった。だから慧と呼んでもらえることになって、嬉しかった。
だけど、僕に城田くんを縛ることは出来なくて、嫌われたくもなくて
「急に誰にも手を出さなかったら、変に誤解されちゃうよ?僕は城田くんを束縛しないし、女の人を相手にするんだったら何も言わないよ?」
それでも、僕以外の男の人には触れてほしくなくて、釘を刺していた。
その日から城田くんは月1くらいで女性を相手にして、それ以外は僕の相手をしてくれた。
そらから、城田くんの隣には僕がいるようになった。
たまに、澤村くんが僕らのことを見ていると気が付いているけど、それを僕が城田くんに言うことはしない。僕はそんなに優しくないし、やっと手に入ったのに簡単に手放すことはできない。
城田くん、僕嫉妬深くてごめんね? それでも、君が好きなんだ。だから、簡単に返すこともできないし、城田くんの隣を譲りたくないんだ。
けどね? 最初は僕を見てなかった城田くんも最近はちゃんと僕を見てくれてるんだよ? 僕はそれだけでも幸せなんだ。傍にいることさえ叶わないと思ってた頃に比べて、僕には嬉しい限りなんだ。
澤村くんが城田くんを失ってどんなに後悔してても、先に手放したのは彼なんだから。僕がどんなにほしくてほしくてしょうがなかった城田くんの隣を簡単にも手放した澤村くんが悪いんだよ?
「慧。行くぞ」
「うん。……あ、ちょっと待ってよ!早いよー」
「わりぃ」
「にひひ」
「何か嬉しいことあったのか?」
「城田くんの傍にいること~」
「そか、俺のそばを離れんなよ?」
「うん!」
城田くんの隣は僕のものだよ?
少しの時間は女性に渡せても、他の時間は僕のものだからね
絶対に他の人に城田くんは渡せないから
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。
鏑木 うりこ
恋愛
クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!
茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。
ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?
(´・ω・`)普通……。
でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
会うたびに、貴方が嫌いになる
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
長身の王女レオーネは、侯爵家令息のアリエスに会うたびに惹かれた。だが、守り役に徹している彼が応えてくれたことはない。彼女が聖獣の力を持つために発情期を迎えた時も、身体を差し出して鎮めてくれこそしたが、その後も変わらず塩対応だ。悩むレオーネは、彼が自分とは正反対の可愛らしい令嬢と親しくしているのを目撃してしまう。優しく笑いかけ、「小さい方が良い」と褒めているのも聞いた。失恋という現実を受け入れるしかなかったレオーネは、二人の妨げになるまいと決意した。
アリエスは嫌そうに自分を遠ざけ始めたレオーネに、動揺を隠せなくなった。彼女が演技などではなく、本気でそう思っていると分かったからだ。
もう一度だけ。
しらす
恋愛
私の一番の願いは、貴方の幸せ。
最期に、うまく笑えたかな。
**タグご注意下さい。
***ギャグが上手く書けなくてシリアスを書きたくなったので書きました。
****ありきたりなお話です。
*****小説家になろう様にても掲載しています。
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる