報われない恋

文字の大きさ
上 下
1 / 4

01 城田隆之の場合。

しおりを挟む
 自分で言うのもあれだけど、俺はそれなりにいい顔をしてると思うし逆ナンされることもある。誘われれば抱く、それを俺は繰り返していた。

 そんな俺にも好きな人はいる。
 そいつは小学生の時に出逢った。

 「たぁーかちゃん♪」

 出逢った時から俺ーー城田隆之ーーのことを“たかちゃん”と呼ぶ。

 コイツは俺に懐いているし、いつも俺の後を追いかけてくるようなヤツだった。そんなコイツだから俺は好きになった……


 例え、それは叶わない恋だとしても……




 ある日、コイツは俺に爆弾を落とした。

 「隆ちゃん……」

 真剣な顔をしつつ、どこか頬を紅くさせ俺の名前を呼びながら近付いてきた。

 「何だ?そんなに真剣な顔して」
 「僕さ……好きなひとできた」
 「そ、そっか」

 最初から覚悟は出来ていた。男の俺に男の澤村友紀が好きになるはずがないから

 「隆ちゃん……。僕どーしよ……」
 「ゆき、お前なら大丈夫だって」
 「そーかな?」

 首を傾げながらこちらを見上げてくるゆきはどっから見ても可愛い。

 「あぁ。で、誰なの?」
 「えっとね……そのぉー……。秋山神奈ちゃん」
 「秋山か…。お前なら大丈夫だろ、思いきって告白でもしろよ…」

 秋山神奈。高校一年のとき席が隣同士になって以来、ゆきと一緒の所を何度か見かけた。二人を端からみても恋人同士に見えるし、美男美女でゆかにはあってると思う。多分秋山もゆきに気があるようにも見えるから、ゆきが行動するだけで、多分すぐ恋人同士になると思う。

 「じゃー、僕頑張ってみるね」
 「頑張れよ、ゆき……」
 「うん! 隆ちゃんに相談してよかった! 勇気もらえた!」

 ゆきはそれからも俺に相談しにきていた。そのたびにゆきが幸せになるんならと、自分の気持ちを押し殺しながら相談にのっていた。ゆきの笑顔とは、反対に俺は今まで以上に荒れていた。ひっきりなしに色んな女をひっかけ抱いていた。ところ構わず……

 数日たった頃

 「隆ちゃん! 彼女出来た」

 ゆきに恋人が出来た。ゆきのヘタレぶりはすごかった。ヘタレぶりのために数日もの時間がたったのだ。

 いい加減コイツの事を諦めないとな……
 最初から叶わない恋だとは分かっていたけど、なんでゆきを好きになったんだろうな……。そのために最初から諦めるなんて……

 「ねぇ、城田くん。僕、城田くんの事が好きなんだ……。だからその……」

 学校の裏庭で、色んなことを考えていたら、後から声をかけられていた。

 「なに? 俺と、付き合いたいの? それとも、抱かれたいわけ?」
 「えっ、その……」
 「……」
 「……。やっぱダメだよね? 男同士とか気持ち悪いよね……。ごめんねっ」

 そいつは言い逃げするかのように反対方向に向いて走って去っていこうとした。

 それを俺は……

 「待って」
 「え?」

 そいつの腕を掴み、逃がさなかった。

 「なぁ、俺と付き合いたいのか?」
 「う、うん!」

 頷いたのを確認するとその腕をひっぱり、何もかも考えることを止め、無理やりそいつのくちびるを貪るようにキスした。そのあとは、そのまま腕を引いて俺の家に連れ込んだ。
 男同士のセックスは初めてでは無かったけど、自分から行動したのはそいつがゆきに似ていたから、もうゆきが手に入らないのなら……と、多分俺は自棄になってたから俺はそいつの腕をつかんで家まで連れ込んだ。

 俺と慧ーー呼んでほしいと言われて呼んでいるーーが身体を重ねているように、俺は、ゆきとこんなことをしたかったのかと考えながらその日は慧と一つになった。


 その日を境に、俺の隣には慧がいるようになった。
 そして、ほぼ毎日慧と身体を重ねるようになった。月一は誘われた女にそのまま流されてる。
 慧が、「急に誰にも手を出さなかったら、変に誤解されちゃうよ? 僕は城田くんを束縛しないし、女の人を相手にするんだったら何も言わないよ?」って、言ったから。

 だけど、もう最初から慧にはまっていたのかもしれない。慧と一線を越えたあの日から……
 他の女にも手を出すのは『俺はホモじゃない』って否定したかったのもあるのかもない


 俺の隣には慧が、ゆきの隣にはその彼女がいる。この関係が変わる日なんて来ないんだろうな、それほど俺は慧にはまってるし、もう慧を離すことはできない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

会うたびに、貴方が嫌いになる

黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
長身の王女レオーネは、侯爵家令息のアリエスに会うたびに惹かれた。だが、守り役に徹している彼が応えてくれたことはない。彼女が聖獣の力を持つために発情期を迎えた時も、身体を差し出して鎮めてくれこそしたが、その後も変わらず塩対応だ。悩むレオーネは、彼が自分とは正反対の可愛らしい令嬢と親しくしているのを目撃してしまう。優しく笑いかけ、「小さい方が良い」と褒めているのも聞いた。失恋という現実を受け入れるしかなかったレオーネは、二人の妨げになるまいと決意した。 アリエスは嫌そうに自分を遠ざけ始めたレオーネに、動揺を隠せなくなった。彼女が演技などではなく、本気でそう思っていると分かったからだ。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

夫の様子がおかしいです

ララ
恋愛
夫の様子がおかしいです。

私だけが赤の他人

有沢真尋
恋愛
 私は母の不倫により、愛人との間に生まれた不義の子だ。  この家で、私だけが赤の他人。そんな私に、家族は優しくしてくれるけれど……。 (他サイトにも公開しています)

伝える前に振られてしまった私の恋

メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。 そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

不倫をしている私ですが、妻を愛しています。

ふまさ
恋愛
「──それをあなたが言うの?」

処理中です...