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獣化
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「アル、さっきアリスさんと話してたその…リアさん?って誰?」
「ああ……やたらと俺に近づいてくる女だ。アリスはリアがソラに何かするんじゃないかと心配してるみたいだったな」
「何がするって…そんなに危ない人なの?」
「勝手に俺の家に入り込もうとしたり待ち伏せしてたりな…めんどくさいから放っておいたんだが、こんなことになるなら対処しておくべきだった」
「す、すごいね……」
アリスさんさんとアルのお話しからアルのことが好きな人なのかな?くらいに思っていたけれどどうやら思っていたより凄そうだ。
「どこに現れるか分からない。俺から離れるなよ」
「うん、分かった。それで…僕が冒険者になるかって話、どうするの?」
「ソラがやりたいなら俺はそれを優先するが…ソラはどうしたいんだ?」
「僕は…ちょっと興味はあるかな。でも魔法の使い方とか分からないし、知ってると思うけど戦えないから…」
「ソラに戦闘をさせるつもりはないし、俺が戦う。そうだ、不安なら少し離れた街まで試しに行ってみるか?」
「行きたい!」
アルと相談して、まずは近くの街に行ってみることにした。それでどうしてもダメだったら諦める。大丈夫そうだったらアルと一緒に冒険者になるってことかな?
大変そうだけどちょっと憧れる。アルと一緒に色んな国を回れたら楽しいだろうな。
守られているだけっていうのも嫌だから、武器が無理でも魔法を使えるようになって少しでもアルの役に立ちたい。 せっかく魔力が多いみたいだし。
「それじゃあ、明日ソラの装備と食料を買いに行こう」
「分かった!あ、でも僕お金持ってないよ?」
「俺が買うから大丈夫だ。Sランク冒険者だし、稼ぎはそれなりにある」
「そっか。ありがとう、アル。僕が何かで稼げるようになったらいつか…プレゼントとかでお返しするから!」
ニコニコしている僕の顔を見て、アルがよしよしと頭を撫でてくれる。ごきげんそうに揺れているしっぽを見て思い出した。
「そういえば、アルってなんの獣人なの?」
「ん?俺は狼の獣人だぞ」
「狼…!カッコイイね」
「そうか?それならよかった」
狼ってカッコイイ。犬だと思ってたことは内緒にしておこう。なんか怒られそうだ。
「獣化してやろうか?」
「獣化?」
「ああ、ほら」
「うわぁ!すごい!」
一瞬でアルの居た場所には大きな犬……じゃなくて狼が。
綺麗な毛並みでとっても凛々しい。
「触ってもいい?」
「ああ」
僕がそう言うとアルは頭を下げて撫でやすいようにしてくれる。
その姿でも喋れるんだ。どうなってるんだろう…
お言葉に甘えてアタマをそっと撫でてみる。少し固めの毛だけど、サラサラで気持ちいい。
「アルが着てた服はどこに行っちゃったの?」
「俺が耳につけてた小さなピアスのようなものがあるだろ?それが小さなマジックバックにのようになっていて、獣化する時には服が吸い込まれて、人化する時には元と同じ状態に戻るんだ。結構昔に開発されて、今では獣人のほとんどが持っているぞ」
「すごいね!」
「これが開発される前の獣人は自分で服を着たり脱いだりしなくてはならなかったそうだ……獣人しか使わない道具だが、本当に開発をしたやつは天才だと思う。身体能力が高いのは獣化した方の姿だし、ソラを森で助けた時も途中まで獣化して走っていたんだ」
自分で服を脱がなくちゃいけなかったのか…想像してみるとかなり大変だ。僕だったらなるべく獣化しないように生活するかも。
そう考えると今の獣人は昔と比べてかなり獣化しやすくなったみたいだ。
そうやって2人でゆっくりおしゃべりをしていたら、すっかり外が暗くなってしまった。
ご飯を食べてお風呂にも入った後、僕がひどく喜んだからか、アルは寝る時にまた獣化して狼の姿で一緒に寝てくれた。
「ああ……やたらと俺に近づいてくる女だ。アリスはリアがソラに何かするんじゃないかと心配してるみたいだったな」
「何がするって…そんなに危ない人なの?」
「勝手に俺の家に入り込もうとしたり待ち伏せしてたりな…めんどくさいから放っておいたんだが、こんなことになるなら対処しておくべきだった」
「す、すごいね……」
アリスさんさんとアルのお話しからアルのことが好きな人なのかな?くらいに思っていたけれどどうやら思っていたより凄そうだ。
「どこに現れるか分からない。俺から離れるなよ」
「うん、分かった。それで…僕が冒険者になるかって話、どうするの?」
「ソラがやりたいなら俺はそれを優先するが…ソラはどうしたいんだ?」
「僕は…ちょっと興味はあるかな。でも魔法の使い方とか分からないし、知ってると思うけど戦えないから…」
「ソラに戦闘をさせるつもりはないし、俺が戦う。そうだ、不安なら少し離れた街まで試しに行ってみるか?」
「行きたい!」
アルと相談して、まずは近くの街に行ってみることにした。それでどうしてもダメだったら諦める。大丈夫そうだったらアルと一緒に冒険者になるってことかな?
大変そうだけどちょっと憧れる。アルと一緒に色んな国を回れたら楽しいだろうな。
守られているだけっていうのも嫌だから、武器が無理でも魔法を使えるようになって少しでもアルの役に立ちたい。 せっかく魔力が多いみたいだし。
「それじゃあ、明日ソラの装備と食料を買いに行こう」
「分かった!あ、でも僕お金持ってないよ?」
「俺が買うから大丈夫だ。Sランク冒険者だし、稼ぎはそれなりにある」
「そっか。ありがとう、アル。僕が何かで稼げるようになったらいつか…プレゼントとかでお返しするから!」
ニコニコしている僕の顔を見て、アルがよしよしと頭を撫でてくれる。ごきげんそうに揺れているしっぽを見て思い出した。
「そういえば、アルってなんの獣人なの?」
「ん?俺は狼の獣人だぞ」
「狼…!カッコイイね」
「そうか?それならよかった」
狼ってカッコイイ。犬だと思ってたことは内緒にしておこう。なんか怒られそうだ。
「獣化してやろうか?」
「獣化?」
「ああ、ほら」
「うわぁ!すごい!」
一瞬でアルの居た場所には大きな犬……じゃなくて狼が。
綺麗な毛並みでとっても凛々しい。
「触ってもいい?」
「ああ」
僕がそう言うとアルは頭を下げて撫でやすいようにしてくれる。
その姿でも喋れるんだ。どうなってるんだろう…
お言葉に甘えてアタマをそっと撫でてみる。少し固めの毛だけど、サラサラで気持ちいい。
「アルが着てた服はどこに行っちゃったの?」
「俺が耳につけてた小さなピアスのようなものがあるだろ?それが小さなマジックバックにのようになっていて、獣化する時には服が吸い込まれて、人化する時には元と同じ状態に戻るんだ。結構昔に開発されて、今では獣人のほとんどが持っているぞ」
「すごいね!」
「これが開発される前の獣人は自分で服を着たり脱いだりしなくてはならなかったそうだ……獣人しか使わない道具だが、本当に開発をしたやつは天才だと思う。身体能力が高いのは獣化した方の姿だし、ソラを森で助けた時も途中まで獣化して走っていたんだ」
自分で服を脱がなくちゃいけなかったのか…想像してみるとかなり大変だ。僕だったらなるべく獣化しないように生活するかも。
そう考えると今の獣人は昔と比べてかなり獣化しやすくなったみたいだ。
そうやって2人でゆっくりおしゃべりをしていたら、すっかり外が暗くなってしまった。
ご飯を食べてお風呂にも入った後、僕がひどく喜んだからか、アルは寝る時にまた獣化して狼の姿で一緒に寝てくれた。
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