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第7章 告白

室町の気持ち

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翔子はドキドキワクワクしながら室町を待っていた。

場所は例の洋風居酒屋の前である。大学の近くということもあり仲間同士がちょっと飲みに行く時などは大変便利なところだ。

翔子が待ち合わせ場所に着いてから10分としないうちに室町はやってきた。

「先に入ってくれて良かったのに。」

室町はわざわざ表で待っていた翔子にちょっとびっくりして声をかけた。

「いえ、なんだか一人でお店の中にいるのも変かな?と思って……」

「そう?じゃあ、さっそく中に入ろうか?」

翔子は一瞬、お店に入るのを躊躇したように見えたが室町は気付かなかった。

とりあえずお酒と軽い料理を頼み二人はお喋りをはじめる。

そして室町は告白のタイミングをうかがっていた。

別に翔子が自分の事を好きだろうと好きじゃなかろうとかまわない。自分の気持ちを伝えたかったのだ。

すると、翔子が申し訳なさそうに言う。

「先輩、すいません。場所を変えませんか?ここにいると田上先輩に告白された時のことを思い出してしまって……」

迂闊にも室町は田上の告白した場所を知らなかった。

田上に場所は聞いていなかったのだ。

これは翔子に可哀想なことをしたと思い、室町は場所を移すことにした。

室町は考えた。やはり田上を傷つけたことは石原もショックだったのだろう。

以前は石原も田上が好きだったのだから、断るのもつらかったはずだ……

室町は翔子に伝えてあげたかった。田上のことはもう大丈夫だと。

田上の石原に対する恋心は完全に消えてしまったのだ。

室町は昼間のことを思い出していた。
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