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第59話
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紫の服の女性の名前はレイラと言った。
表世界出身だが、今は裏世界のこの村で占い師として生計を立てながら暮らしているらしい。
「1年ほど前、シスタ様とはこの村で出会いました」
アスカは顔を覆っていた布を取る。黒い髪がパサりと落ちる。
「その時もこの様にお店を開いていました。その時に、お客様として来たのです」
「いらっしゃいませ」
「ここは何を占ってもらえるのかしら?」
「はい。なんでも大丈夫ですよ」
レイラはにっこりと笑いながら話すが、椅子に座る女性を見て戸惑っていた。
服装は庶民のありきたりな服を着ているがオーラが凄い。明らかに一般の民衆ではない。
「それじゃ、私の悩みを聞いてもらおうかしら」
「悩み・・・ですか?」
「そう・・・私の悩み。あなたなら言い当てられるでしょう?」
私の目を真っ直ぐ見て言うその人の言葉にはなぜか説得力があった。
「で、では少し見させてもらいます」
そう言ってレイラはタロットカードを取り出して占い始めた。
1枚1枚並べ、めくっていく。
「これは・・・」
私は、カードから女性へ目線を移す。
女性は落ち着いた笑顔でこちらを見ている。
「あなたは何に追われているんですか?」
「・・・」
女性は笑顔を崩さないがレイラへの視線は外さない。
何かに追われているのはわかるけど・・・何に追われているのかモヤがかかったようになってて見えない。
「流石のあなたでも見えないかしら・・・」
「えっと・・・少し待てください」
レイラは水晶を取り出し魔力を込める。
何やら赤い色が見えた。
なんだろう・・・この強い光と魔力・・・赤い・・・動物?いや・・・魔族?
レイラはもっと鮮明に見ようと魔力を込めた。
すると。
ピキッと水晶にヒビが入った。
「え・・・これは特別な水晶玉なのに・・・」
「それだけやばい相手ってことね」
女性に先程の笑顔はなく真剣な表情をいていた。
「え・・・っと・・・これは一体・・・」
「ありがとう。お金はここに置いておくわ。これ以上見てもらうとあなたまで巻き込んでしまうわ」
「それってどう言う・・・」
「ありがとう。この件が片付いたらまた伺うわ」
そう言い残し、女性は姿を消した。
紋章の入ったブレスレットを残して・・・。
「それがこのブレスレットですか・・・」
「はい。このブレスレットを通じて彼女の存在は感知できていたのですが・・・ここ最近感じなくなったので。感じれなくなった原因は2つ考えられます。亡くなったか表世界に行ったか・・・」
「!?では、なぜ亡くなったのではなく表世界に行ったと断言できるのですか?」
「亡くなったら感じられなくなったと同時に亡くなった感覚も感知できるのです。詳しく説明できませんが、それが感知できていないので亡くなっているわけではないと思います」
「・・・そうですか」
「でも、なんでこのブレスレット僕にくれたの?」
「彼女の存在が感じれなくなったと同時に銀色の狼の映像が流れてきました。そして君が現れた・・・これは偶然ではありません。きっと彼女があなたに会わせるように見せたのでしょう」
「シスタ様が・・・?あぁ、やっと掴んだ手がかりなのに・・・表世界だなんてなんて遠いところに・・・。そういえばサクラ様も表世界に行くためにパルスに向かっている途中だって行ってました。何か関係あるんでしょうか・・・サクラ様の容態が治れば聞けるんですけど・・・」
「そうだね・・・この国の王がなんとかしてくれるといいけど」
「王に用があってこの国に来たのですか?」
「そうなんだけど、女の人しか入れないって。でも、魔法使いの討伐師の仲間が一緒に入れたから心配はしてないんだけど・・・」
「魔法使いの討伐師・・・」
レイラは少し考え込みながら水晶玉を眺めている。
しばらく経つと、レイラはネルとチェインに向かって「明日またここで会いましょう。同じ時間に」と言いどこかへ行ってしまった。
ネルとチェインは呆気にとられながらも唯一の手がかりのレイラの言葉を今は信じるしかなかった。
表世界出身だが、今は裏世界のこの村で占い師として生計を立てながら暮らしているらしい。
「1年ほど前、シスタ様とはこの村で出会いました」
アスカは顔を覆っていた布を取る。黒い髪がパサりと落ちる。
「その時もこの様にお店を開いていました。その時に、お客様として来たのです」
「いらっしゃいませ」
「ここは何を占ってもらえるのかしら?」
「はい。なんでも大丈夫ですよ」
レイラはにっこりと笑いながら話すが、椅子に座る女性を見て戸惑っていた。
服装は庶民のありきたりな服を着ているがオーラが凄い。明らかに一般の民衆ではない。
「それじゃ、私の悩みを聞いてもらおうかしら」
「悩み・・・ですか?」
「そう・・・私の悩み。あなたなら言い当てられるでしょう?」
私の目を真っ直ぐ見て言うその人の言葉にはなぜか説得力があった。
「で、では少し見させてもらいます」
そう言ってレイラはタロットカードを取り出して占い始めた。
1枚1枚並べ、めくっていく。
「これは・・・」
私は、カードから女性へ目線を移す。
女性は落ち着いた笑顔でこちらを見ている。
「あなたは何に追われているんですか?」
「・・・」
女性は笑顔を崩さないがレイラへの視線は外さない。
何かに追われているのはわかるけど・・・何に追われているのかモヤがかかったようになってて見えない。
「流石のあなたでも見えないかしら・・・」
「えっと・・・少し待てください」
レイラは水晶を取り出し魔力を込める。
何やら赤い色が見えた。
なんだろう・・・この強い光と魔力・・・赤い・・・動物?いや・・・魔族?
レイラはもっと鮮明に見ようと魔力を込めた。
すると。
ピキッと水晶にヒビが入った。
「え・・・これは特別な水晶玉なのに・・・」
「それだけやばい相手ってことね」
女性に先程の笑顔はなく真剣な表情をいていた。
「え・・・っと・・・これは一体・・・」
「ありがとう。お金はここに置いておくわ。これ以上見てもらうとあなたまで巻き込んでしまうわ」
「それってどう言う・・・」
「ありがとう。この件が片付いたらまた伺うわ」
そう言い残し、女性は姿を消した。
紋章の入ったブレスレットを残して・・・。
「それがこのブレスレットですか・・・」
「はい。このブレスレットを通じて彼女の存在は感知できていたのですが・・・ここ最近感じなくなったので。感じれなくなった原因は2つ考えられます。亡くなったか表世界に行ったか・・・」
「!?では、なぜ亡くなったのではなく表世界に行ったと断言できるのですか?」
「亡くなったら感じられなくなったと同時に亡くなった感覚も感知できるのです。詳しく説明できませんが、それが感知できていないので亡くなっているわけではないと思います」
「・・・そうですか」
「でも、なんでこのブレスレット僕にくれたの?」
「彼女の存在が感じれなくなったと同時に銀色の狼の映像が流れてきました。そして君が現れた・・・これは偶然ではありません。きっと彼女があなたに会わせるように見せたのでしょう」
「シスタ様が・・・?あぁ、やっと掴んだ手がかりなのに・・・表世界だなんてなんて遠いところに・・・。そういえばサクラ様も表世界に行くためにパルスに向かっている途中だって行ってました。何か関係あるんでしょうか・・・サクラ様の容態が治れば聞けるんですけど・・・」
「そうだね・・・この国の王がなんとかしてくれるといいけど」
「王に用があってこの国に来たのですか?」
「そうなんだけど、女の人しか入れないって。でも、魔法使いの討伐師の仲間が一緒に入れたから心配はしてないんだけど・・・」
「魔法使いの討伐師・・・」
レイラは少し考え込みながら水晶玉を眺めている。
しばらく経つと、レイラはネルとチェインに向かって「明日またここで会いましょう。同じ時間に」と言いどこかへ行ってしまった。
ネルとチェインは呆気にとられながらも唯一の手がかりのレイラの言葉を今は信じるしかなかった。
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