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第56話
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カイトがサクラの隷の印を抑えるためにラトビア王国に行っている頃。
ネルとチェインは王国の近くの村に来ていた。
ラトビア王国の近くというのもあり、村を訪れている人も多かった。王国に入れない男性がこの村でラトビア王国にしかない武器や防具、食料などを買い求めているのだ。
「小さい村なのに栄えてるね」
「ラトビア王国の恩恵でしょうね。見て回るのは後にして、先に宿屋を見つけましょう」
落ち着きのなくキョロキョロしているチェインにネルは落ち着いて言う。
それをわかっていたのか、チェインが近くの男性に宿屋の場所を聞く。チェインの行動力には時々驚かされる。
「宿屋あっちだって。行こう」
「あ、あぁ・・・行きましょうか」
ネルはチェインに手を引かれ、人混みの道の中に入った。
「部屋空いててよかったねぇ~。いつも満室だけどちょうどキャンセルがあったって。野宿にならなくてよかったよ」
「これだけ人がいるので、空いているか不安だったのですがよかったです。さ、部屋も無事に取れましたし村の探索してきてもいいですよ」
「本当!?ネルは行かないの?」
「私は・・・少し調べたいことがあるので別行動でもいいですか?」
「別にいいけど・・・手伝えることがあるなら手伝うよ?」
「ありがとうございます。とりあえず、私1人で少し調べてみます。チェインは今日は好きなところ回ってきてください。でも、村からは出ないでくださいね」
「うん!わかったよ」
ネルはチェインに少しのお金を渡した。
嬉しそうに部屋を出て行ったチェインを見送り、ネルは自分のカバンから顔が描かれた一枚の紙を取り出した。
「女王様・・・」
チェインは両手に食べ物を持ちながら村に出ている屋台を回っていた。
「たくさんお店があって飽きないや」
ご機嫌な様子で歩くチェインが歩いていると、占い師の格好をした女性が隅に小さなテーブルを囲んでポツンと座っていた。
こんなところで占い?
なんだかその人が気になって近づいてみる。
「そんなにたくさん食べて、若いっていいわね」
急にチェインの方に女性が話しかけてきた。
驚いたチェインは手に持っていた食べ物を落としそうになる。
「え?僕??」
「そうよ。1人でどうしたの?迷子?」
「ち、違うよ。一緒に来ている人が用事あるっていうから1人で村を回っているの!」
迷子の子どもと勘違いされてムッとしたチェインは女性の向かい側にある椅子に座る。
「なんでこんなところでお店出してるの?もっと人通りがあるところの方がいいんじゃない?」
チェインは手に持っていた食べ物を食べながら聞く。
女性はクスッと笑いないがらチェインを見る。
「人通りが多いと言えないこともあるからかしら」
口元は布で隠れて見えないが何かを喋りながら手に持ったタロットをテーブルに並べる。
「何してるの?」
チェインは興味津々にタロットカードを見る。
女性がゆっくりとタロットカードを並べてめくっていく。
女性はチラリとチェインをもう一度見る。
「あなた・・・何かに縛られてるわね。しかも、とても強力な・・・縛り」
「え・・・」
「銀色の・・・狼?」
チェインは自分の姿を確認する。
手も足も人間のままだ。
チェインはホッと胸を撫で下ろした。
「いつ姿が変わるのかビクビクしているのね。大丈夫よ」
女性は銀色のブレスレットをチェインの腕につける。
「え?これ・・・」
「このブレスレットをつけている間は変身することはないわ」
女性はチェインの頭を撫でる。とても優しい目をチェインに向ける。
「なんで、僕に?」
「・・・昔、君と同じくらいの男の子に出会ったことを思い出したからかしら」
チェインは銀のブレスレットを見る。
なんの変哲のないブレスレットに見える。
「・・・じゃあね。気をつけるのよ」
「え?お金・・・」
チェインがブレスレットから女性が座っていた方に目を向けるとすでに女性は姿を消していた。
「ただいま~」
「おかえり」
チェインは元気よく宿屋に戻ってきた。
ネルは部屋のベッドに大量の紙を広げていた。
「何これ?」
チェインは一枚の紙を見る。
誰かが立ち寄った情報がびっしりと書かれているみたいだった。
「あぁ、話していませんでしたね。人を探しているんです。最初は2人でしたが1人見つかったので。もう1人の・・・」
「大変だね。聞き込みなら明日手伝うよ?」
「もうこの辺の聞き込みは終わりました」
「本当?さすが、仕事が早いね」
チェインは見ていた紙を戻すと、腕につけていたブレスレットがカチャリと音を立てた。
「朝、そんなのつけてました?」
ネルはチェインのブレスレットを見る。
「んー・・・村でお店を回ってたら女の人に貰ったんだ」
「え!知らない人から物貰っちゃだめでしょう。タダより怖いものはないんですよ?」
「お金払おうと思ったらいなくなっちゃったんだもん。仕方ないじゃん・・・あれ?」
チェインはブレスレットをマジマジと見る。
「どうしたんです?」
「このブレスレットに、小さくマークがついてる。なんだろ・・・鷹のような」
「鷹ですって?!」
ネルは驚き、チェインの腕を掴みブレスレットを見る。
「・・・どうしたの?」
「このマーク・・・スノーヴァ王国の王家の紋章です。どこでこれを貰ったんです?どんな人だったんですか?!」
「ネル・・・落ち着いてよ。腕痛い・・・」
「はっ!・・・すみません、つい。やっと掴んだ手がかりなんです。・・・スノーヴァ王国の女王・・・サクラさんのお母様の情報・・・!」
「え?」
チェインはこれをくれた占い師の女性を思い出した。
もしかしたらあの人が?
ネルとチェインは王国の近くの村に来ていた。
ラトビア王国の近くというのもあり、村を訪れている人も多かった。王国に入れない男性がこの村でラトビア王国にしかない武器や防具、食料などを買い求めているのだ。
「小さい村なのに栄えてるね」
「ラトビア王国の恩恵でしょうね。見て回るのは後にして、先に宿屋を見つけましょう」
落ち着きのなくキョロキョロしているチェインにネルは落ち着いて言う。
それをわかっていたのか、チェインが近くの男性に宿屋の場所を聞く。チェインの行動力には時々驚かされる。
「宿屋あっちだって。行こう」
「あ、あぁ・・・行きましょうか」
ネルはチェインに手を引かれ、人混みの道の中に入った。
「部屋空いててよかったねぇ~。いつも満室だけどちょうどキャンセルがあったって。野宿にならなくてよかったよ」
「これだけ人がいるので、空いているか不安だったのですがよかったです。さ、部屋も無事に取れましたし村の探索してきてもいいですよ」
「本当!?ネルは行かないの?」
「私は・・・少し調べたいことがあるので別行動でもいいですか?」
「別にいいけど・・・手伝えることがあるなら手伝うよ?」
「ありがとうございます。とりあえず、私1人で少し調べてみます。チェインは今日は好きなところ回ってきてください。でも、村からは出ないでくださいね」
「うん!わかったよ」
ネルはチェインに少しのお金を渡した。
嬉しそうに部屋を出て行ったチェインを見送り、ネルは自分のカバンから顔が描かれた一枚の紙を取り出した。
「女王様・・・」
チェインは両手に食べ物を持ちながら村に出ている屋台を回っていた。
「たくさんお店があって飽きないや」
ご機嫌な様子で歩くチェインが歩いていると、占い師の格好をした女性が隅に小さなテーブルを囲んでポツンと座っていた。
こんなところで占い?
なんだかその人が気になって近づいてみる。
「そんなにたくさん食べて、若いっていいわね」
急にチェインの方に女性が話しかけてきた。
驚いたチェインは手に持っていた食べ物を落としそうになる。
「え?僕??」
「そうよ。1人でどうしたの?迷子?」
「ち、違うよ。一緒に来ている人が用事あるっていうから1人で村を回っているの!」
迷子の子どもと勘違いされてムッとしたチェインは女性の向かい側にある椅子に座る。
「なんでこんなところでお店出してるの?もっと人通りがあるところの方がいいんじゃない?」
チェインは手に持っていた食べ物を食べながら聞く。
女性はクスッと笑いないがらチェインを見る。
「人通りが多いと言えないこともあるからかしら」
口元は布で隠れて見えないが何かを喋りながら手に持ったタロットをテーブルに並べる。
「何してるの?」
チェインは興味津々にタロットカードを見る。
女性がゆっくりとタロットカードを並べてめくっていく。
女性はチラリとチェインをもう一度見る。
「あなた・・・何かに縛られてるわね。しかも、とても強力な・・・縛り」
「え・・・」
「銀色の・・・狼?」
チェインは自分の姿を確認する。
手も足も人間のままだ。
チェインはホッと胸を撫で下ろした。
「いつ姿が変わるのかビクビクしているのね。大丈夫よ」
女性は銀色のブレスレットをチェインの腕につける。
「え?これ・・・」
「このブレスレットをつけている間は変身することはないわ」
女性はチェインの頭を撫でる。とても優しい目をチェインに向ける。
「なんで、僕に?」
「・・・昔、君と同じくらいの男の子に出会ったことを思い出したからかしら」
チェインは銀のブレスレットを見る。
なんの変哲のないブレスレットに見える。
「・・・じゃあね。気をつけるのよ」
「え?お金・・・」
チェインがブレスレットから女性が座っていた方に目を向けるとすでに女性は姿を消していた。
「ただいま~」
「おかえり」
チェインは元気よく宿屋に戻ってきた。
ネルは部屋のベッドに大量の紙を広げていた。
「何これ?」
チェインは一枚の紙を見る。
誰かが立ち寄った情報がびっしりと書かれているみたいだった。
「あぁ、話していませんでしたね。人を探しているんです。最初は2人でしたが1人見つかったので。もう1人の・・・」
「大変だね。聞き込みなら明日手伝うよ?」
「もうこの辺の聞き込みは終わりました」
「本当?さすが、仕事が早いね」
チェインは見ていた紙を戻すと、腕につけていたブレスレットがカチャリと音を立てた。
「朝、そんなのつけてました?」
ネルはチェインのブレスレットを見る。
「んー・・・村でお店を回ってたら女の人に貰ったんだ」
「え!知らない人から物貰っちゃだめでしょう。タダより怖いものはないんですよ?」
「お金払おうと思ったらいなくなっちゃったんだもん。仕方ないじゃん・・・あれ?」
チェインはブレスレットをマジマジと見る。
「どうしたんです?」
「このブレスレットに、小さくマークがついてる。なんだろ・・・鷹のような」
「鷹ですって?!」
ネルは驚き、チェインの腕を掴みブレスレットを見る。
「・・・どうしたの?」
「このマーク・・・スノーヴァ王国の王家の紋章です。どこでこれを貰ったんです?どんな人だったんですか?!」
「ネル・・・落ち着いてよ。腕痛い・・・」
「はっ!・・・すみません、つい。やっと掴んだ手がかりなんです。・・・スノーヴァ王国の女王・・・サクラさんのお母様の情報・・・!」
「え?」
チェインはこれをくれた占い師の女性を思い出した。
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