討伐師〜ハンター〜

夏目 涼

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第27話

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「街だ・・・ここで今日は泊ろう」
「そうですね・・・サクラ様も少しお疲れのようですし・・・」

ネルの言葉でサクラを見ると額にはうっすらと汗がにじみ、息も少し上がっていた。
もう日も落ち真っ暗になっていた。一日中ほとんど休憩せずに歩いていたんだから仕方ない。

「じゃ、ネルは先にサクラと宿に行っててくれ。俺は道具と装備を少しそろえてくる」
「わかりました」

ネルはサクラの手を取り、宿屋に向かって行った。

「さてと・・・道具屋と武器屋はどこだ・・・」

ここまでは順調に来ている。
サクラの治癒能力がないことに最初は少し不安だったのだが考え過ぎだったみたいだ。
ネルの戦闘能力がかなり強いと俺は思っていた。
流石一国の王女の付き人に選ばれるわけだ。

もっと俺もレベルをあげないと。

街を一通り廻り、まずは武器屋に入った。

「いらっしゃい」

人の良さそうなおばちゃんが営業スマイルで出迎えてくれる。

「杖が見たいんですけど・・・」
「あらま!魔法使いさんかい!珍しいね・・・・杖はこっちだよ」

おばちゃんはよほど嬉しいのか杖が置いてあるスペースまで案内してくれた。

「何年ぶりだろうねぇ。30年この店をしてるけれど魔法使いさんを見たのはあんたで二回目だよ!」
「そうなんですか・・・よほど珍しいんですね」
「そうだねぇ・・魔法使いがこの周辺に来ると変な出来事が起こるって噂が出回ってからめっきり来なくなったからねぇ」
「え?変な出来事ですか?」

俺が変な出来事について食いつくとおばちゃんの目がひかり、顔を俺の耳元に近づけてきた。
どうやら他のお客に聞かれるとやばい話みたいだ。

「今はそんな噂薄れてきているんだけどね・・・・魔法使いの人が来ると町の周辺に狼が出るんだよ・・・大きな狼」
「狼?」
「この周辺に狼が住んでいる気配はないし、出るのは本当に魔法使いが訪れた時だけなんだよ・・・不思議な事に」

狼ねぇ・・・・。

「襲ったりするってことですか?」
「いや、それがね・・・気味が悪い事に何もしないんだよ・・・魔法使いの人に近づいて頬を摺り寄せるんだ。まるでご主人様に甘えるみたいに」

確かに不思議な出来事ではあるが、特に害がないのなら問題ないか。

「そうですか」
「もし見かけても何もしないと思うけど、気をつけて」
「ありがとう」

おばちゃんはそういい残し、店の奥に姿を消した。

そんな出来事が起こっているのか。
まぁ、おばちゃんが言うには襲ってこないみたいだからそんなに深く考えなくてもいいとは思うが用心するに越した事はないな。
宿に戻ってネルにも一応報告しておくか。
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