15 / 60
第15話
しおりを挟む
「はぁ…はぁ…」
俺は必死に険しい山道を走る。
くそっ…油断した…こんなつもりじゃなかった。
誰だ…あいつ。
3年間、武良久の元で修行をしてそれぞれ独り立ちをした俺たち。
各自新しく仲間を集めるのもよし。
一人で行動するのもよし。
ただ武良久の出した条件は同級生で一緒に行動することは禁止ということだった。
俺は最初は一人で行動する事に決めた。
ずっと夜に一人で個人練習をしていた実力を確かめたかったからだ。
宿屋でベースから討伐の依頼を受け、町の近くの漆黒山ダークマウンテンへと向かった。
依頼内容のキャットフェアリー5体の討伐は何事もなく無事完了し、俺は討伐した証拠にキャットフェアリーの角を捕って山を下りた。
その途中のことだった。
「…っ!?」
ものすごい殺気が俺の全身を包んだ。
一瞬で俺の身体中から冷や汗が吹き出た。
俺は直感で感じた。
これはヤバイ…
今の俺じゃ勝てない。
そう思って俺は全力で走り出した。
殺気はまだまだ俺の背後から追いかけてくる。
くそっ…
なんだこれ。誰なんだよ。
いろいろ考えるが、思い当たる奴はいない。
後ろからおそらく殺気の主だろう奴の足音が聞こえる。
振り返るべきか…しかし。
戦う意志かあると思われるか…?
今の俺の実力じゃ確実に勝てない。
「ふふふ…いい読みしてるなぁ。実力もある…君が欲しいなぁ」
ゾクリと俺の背筋に冷たいものがはしる。
ヤバイ…
振り向くなんて無理だ。
本気マジで逃げないと殺される。
俺は魔力で電気を発生させ、それを足元に集中させた。電気を足元に集めると普段の2倍の速さで走れるのだ。
そして俺は一気に山を駆け下りた。
「あーあ…逃げられちゃった…………ま、いいか。簡単に手に入れれないほど欲しくなるし、すぐ手に入ったら楽しくないもんね。うーん…いいねぇ」
ニヤニヤと楽しそうに笑いながらその人物はスッと消えるように漆黒山ダークマウンテンを去っていった。
「はぁっ…はぁっ…ゴホゴホッ…はぁ…」
息を切らしてベースの宿屋に駆け込んだ。
何だったんだ…。
気持ちを落ち着かせながらさっきの出来事を思い返す。
が、今はまだ冷静に考えれなかった。
ただヤバイ奴と出会ってしまった事だけは身体が分かっていた。
震えが止らねぇ…。
「…なんじゃお前さんかい。バタバタと騒々しい。依頼は終わったのか?」
ベースがカウンターの奥から出てきて俺の顔を見るなりガッカリしたような感じだった。
きっと客だと思って慌てて来たんだろう。
「…ッ…はぁ…はぁ…ッ…はい。依頼は終了しました。これがキャットフェアリーの角です」
俺は袋に入れていた角をベースの目の前に差し出した。
「ふむ…正真正銘キャットフェアリーの角じゃ。ではこれが報酬じゃ」
そう言ってベースはお金が入った袋を俺に渡した。
「まだ何個か仕事あるが、今日はどうするんじゃ?」
俺はまだ整わない息で
「今日はもう・・・だいじょうぶ・・・です」
と答えた。まだ昼過ぎでいつもならもう一つくらい依頼をこなすのだが、魔法を使っての全力疾走をほぼ初めてしたので足に力が入らなくなっていた。
「そうか。ま、また気が変わったら言うんじゃな」
そう言ってベースはまた店の奥へと入っていった。
なんだか今日は疲れた。
休もう。
俺はやっと動く足を引きずりながら自分の部屋へと戻って一休みすることにした。
俺は必死に険しい山道を走る。
くそっ…油断した…こんなつもりじゃなかった。
誰だ…あいつ。
3年間、武良久の元で修行をしてそれぞれ独り立ちをした俺たち。
各自新しく仲間を集めるのもよし。
一人で行動するのもよし。
ただ武良久の出した条件は同級生で一緒に行動することは禁止ということだった。
俺は最初は一人で行動する事に決めた。
ずっと夜に一人で個人練習をしていた実力を確かめたかったからだ。
宿屋でベースから討伐の依頼を受け、町の近くの漆黒山ダークマウンテンへと向かった。
依頼内容のキャットフェアリー5体の討伐は何事もなく無事完了し、俺は討伐した証拠にキャットフェアリーの角を捕って山を下りた。
その途中のことだった。
「…っ!?」
ものすごい殺気が俺の全身を包んだ。
一瞬で俺の身体中から冷や汗が吹き出た。
俺は直感で感じた。
これはヤバイ…
今の俺じゃ勝てない。
そう思って俺は全力で走り出した。
殺気はまだまだ俺の背後から追いかけてくる。
くそっ…
なんだこれ。誰なんだよ。
いろいろ考えるが、思い当たる奴はいない。
後ろからおそらく殺気の主だろう奴の足音が聞こえる。
振り返るべきか…しかし。
戦う意志かあると思われるか…?
今の俺の実力じゃ確実に勝てない。
「ふふふ…いい読みしてるなぁ。実力もある…君が欲しいなぁ」
ゾクリと俺の背筋に冷たいものがはしる。
ヤバイ…
振り向くなんて無理だ。
本気マジで逃げないと殺される。
俺は魔力で電気を発生させ、それを足元に集中させた。電気を足元に集めると普段の2倍の速さで走れるのだ。
そして俺は一気に山を駆け下りた。
「あーあ…逃げられちゃった…………ま、いいか。簡単に手に入れれないほど欲しくなるし、すぐ手に入ったら楽しくないもんね。うーん…いいねぇ」
ニヤニヤと楽しそうに笑いながらその人物はスッと消えるように漆黒山ダークマウンテンを去っていった。
「はぁっ…はぁっ…ゴホゴホッ…はぁ…」
息を切らしてベースの宿屋に駆け込んだ。
何だったんだ…。
気持ちを落ち着かせながらさっきの出来事を思い返す。
が、今はまだ冷静に考えれなかった。
ただヤバイ奴と出会ってしまった事だけは身体が分かっていた。
震えが止らねぇ…。
「…なんじゃお前さんかい。バタバタと騒々しい。依頼は終わったのか?」
ベースがカウンターの奥から出てきて俺の顔を見るなりガッカリしたような感じだった。
きっと客だと思って慌てて来たんだろう。
「…ッ…はぁ…はぁ…ッ…はい。依頼は終了しました。これがキャットフェアリーの角です」
俺は袋に入れていた角をベースの目の前に差し出した。
「ふむ…正真正銘キャットフェアリーの角じゃ。ではこれが報酬じゃ」
そう言ってベースはお金が入った袋を俺に渡した。
「まだ何個か仕事あるが、今日はどうするんじゃ?」
俺はまだ整わない息で
「今日はもう・・・だいじょうぶ・・・です」
と答えた。まだ昼過ぎでいつもならもう一つくらい依頼をこなすのだが、魔法を使っての全力疾走をほぼ初めてしたので足に力が入らなくなっていた。
「そうか。ま、また気が変わったら言うんじゃな」
そう言ってベースはまた店の奥へと入っていった。
なんだか今日は疲れた。
休もう。
俺はやっと動く足を引きずりながら自分の部屋へと戻って一休みすることにした。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
公爵令嬢のRe.START
鮨海
ファンタジー
絶大な権力を持ち社交界を牛耳ってきたアドネス公爵家。その一人娘であるフェリシア公爵令嬢は第二王子であるライオルと婚約を結んでいたが、あるとき異世界からの聖女の登場により、フェリシアの生活は一変してしまう。
自分より聖女を優先する家族に婚約者、フェリシアは聖女に嫉妬し傷つきながらも懸命にどうにかこの状況を打破しようとするが、あるとき王子の婚約破棄を聞き、フェリシアは公爵家を出ることを決意した。
捕まってしまわないようにするため、途中王城の宝物庫に入ったフェリシアは運命を変える出会いをする。
契約を交わしたフェリシアによる第二の人生が幕を開ける。
※ファンタジーがメインの作品です
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる