108 / 109
第百八話 カノンの作戦
しおりを挟む
「随分久しぶりね」
小百合が触れてはいけない疑問を口にした。
「それは9月にライトノベル大賞があって、この作品がエントリーされていなかったからだよ」
芽依がこれまた触れてはいけないような域にまでツッコんで答えた。
「それにしても更新されなさ過ぎじゃない? もう12月よ!」
「それはそうだけど」
「作者の手抜きよね。これだからWEB大賞に選ばれ・・・・ウウモゴモゴ」
「どうしたの百合さん?」
「プッハー! 急に声が出せなくなったわ」
「作者が触れて欲しくないことを口にするからだよ」
「それで何を見たの?」
「多分読者の方も前のストリーを忘れていると思うから説明するね。芽依が夜中に目を覚ませたとき見ちゃったんだよ」
「読者に気を遣ってないで早く言いなさいよ」
「カノンさんが何やら怪しげなことをやってたんだよ」
「怪しげなこと?」
「何かたき火に粉のような物を入れて呪文を唱えていたよ」
「何それ?」
「きっと芽依達に呪いをかけてるんだよ」
「あの娘ならやりかねないわね。わかったわ。今夜は私も起きて様子を見ることにするわね」
そしてその夜、小百合達はそっと起き上がると気付かれないようにカノンの元へと移動しようとした。
「何なの? こんな夜遅く」
何も聞かされていない菫が起き上がってきた。
「シー。気付かれたらどうするのよ」
「どういうこと?」
「余分なのが起きちゃったわね」
「余分とは何よ!」
「いいから静かにして。今から私達はカノンの様子を見に行くのよ」
「カノンがどうかしたの?」
「怪しいんだよ。夜中に起きて何かしているみたい」
「何なの? どうせくだらない趣味にでもはまってるんじゃないの? 私は眠いから寝るわ」
「そうしなさい。そうしなさい」
「やっぱり私も行く」
「どうしてそうなるのよ!」
「小百合さんが『そうしなさい』って言うからだよ」
大きな木の根本付近に夕食の調理に使ったたき火がある。寝る前に火を消したがカノンはそのたき火に再び火を付け、黒いローブを羽織り火に向かった。
「何してるの?」
「それがわからないから見に来てるんじゃない」
「小百合さん、声が大きいよ」
奇跡的にも小百合の声に気付かなかったカノンは火に白い粉を円を描くように巻くと呪文を唱え始めた。
「何かの儀式かしら?」
「きっと芽依達を呪い殺そうとしてるんだよ」
「確かに私達がいなくなれば四郎くんを独占できるわよね。でも殺ろうと思えば簡単に殺せそうだけど。魔力は私達より上なんだし。それに警察があまり機能してない異世界だし」
「いくら何でも私達を殺せば四郎君がカノンのことを嫌いになるでしょ」
「なるほど」
呪文が終わった時カノンがそっと呟いた。
「これで四郎さんは益々私のことを好きになるわ」
「ああー!!」
大きな声を上げた小百合の口を慌てて芽依と菫が押さえた。
「誰かいるの?」
「まずい気付かれたわ!」
「ニャー」
「そんなことで誤魔化せるわけないでしょ!」
「何だ猫か」
「誤魔化せたわ」
カノンがいなくなるのを見届けると小百合が話し始めた。
「そうか。カノンは惚れ魔術を四郎君にかけてたのよ」
「なるほど。それでお兄ちゃんは異様にカノンさんのことが好きになってたんだね」
「その通りよ。出なきゃあそこまで好きになるわけないわ」
「となるとこれからの作戦を立てなきゃだよね」
こうして小百合達はカノンがみんなが寝ているところに戻ったら小百合達がいないことに気付くということをすっかり忘れて作戦を立てるのであった。
小百合が触れてはいけない疑問を口にした。
「それは9月にライトノベル大賞があって、この作品がエントリーされていなかったからだよ」
芽依がこれまた触れてはいけないような域にまでツッコんで答えた。
「それにしても更新されなさ過ぎじゃない? もう12月よ!」
「それはそうだけど」
「作者の手抜きよね。これだからWEB大賞に選ばれ・・・・ウウモゴモゴ」
「どうしたの百合さん?」
「プッハー! 急に声が出せなくなったわ」
「作者が触れて欲しくないことを口にするからだよ」
「それで何を見たの?」
「多分読者の方も前のストリーを忘れていると思うから説明するね。芽依が夜中に目を覚ませたとき見ちゃったんだよ」
「読者に気を遣ってないで早く言いなさいよ」
「カノンさんが何やら怪しげなことをやってたんだよ」
「怪しげなこと?」
「何かたき火に粉のような物を入れて呪文を唱えていたよ」
「何それ?」
「きっと芽依達に呪いをかけてるんだよ」
「あの娘ならやりかねないわね。わかったわ。今夜は私も起きて様子を見ることにするわね」
そしてその夜、小百合達はそっと起き上がると気付かれないようにカノンの元へと移動しようとした。
「何なの? こんな夜遅く」
何も聞かされていない菫が起き上がってきた。
「シー。気付かれたらどうするのよ」
「どういうこと?」
「余分なのが起きちゃったわね」
「余分とは何よ!」
「いいから静かにして。今から私達はカノンの様子を見に行くのよ」
「カノンがどうかしたの?」
「怪しいんだよ。夜中に起きて何かしているみたい」
「何なの? どうせくだらない趣味にでもはまってるんじゃないの? 私は眠いから寝るわ」
「そうしなさい。そうしなさい」
「やっぱり私も行く」
「どうしてそうなるのよ!」
「小百合さんが『そうしなさい』って言うからだよ」
大きな木の根本付近に夕食の調理に使ったたき火がある。寝る前に火を消したがカノンはそのたき火に再び火を付け、黒いローブを羽織り火に向かった。
「何してるの?」
「それがわからないから見に来てるんじゃない」
「小百合さん、声が大きいよ」
奇跡的にも小百合の声に気付かなかったカノンは火に白い粉を円を描くように巻くと呪文を唱え始めた。
「何かの儀式かしら?」
「きっと芽依達を呪い殺そうとしてるんだよ」
「確かに私達がいなくなれば四郎くんを独占できるわよね。でも殺ろうと思えば簡単に殺せそうだけど。魔力は私達より上なんだし。それに警察があまり機能してない異世界だし」
「いくら何でも私達を殺せば四郎君がカノンのことを嫌いになるでしょ」
「なるほど」
呪文が終わった時カノンがそっと呟いた。
「これで四郎さんは益々私のことを好きになるわ」
「ああー!!」
大きな声を上げた小百合の口を慌てて芽依と菫が押さえた。
「誰かいるの?」
「まずい気付かれたわ!」
「ニャー」
「そんなことで誤魔化せるわけないでしょ!」
「何だ猫か」
「誤魔化せたわ」
カノンがいなくなるのを見届けると小百合が話し始めた。
「そうか。カノンは惚れ魔術を四郎君にかけてたのよ」
「なるほど。それでお兄ちゃんは異様にカノンさんのことが好きになってたんだね」
「その通りよ。出なきゃあそこまで好きになるわけないわ」
「となるとこれからの作戦を立てなきゃだよね」
こうして小百合達はカノンがみんなが寝ているところに戻ったら小百合達がいないことに気付くということをすっかり忘れて作戦を立てるのであった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)
チート転生~チートって本当にあるものですね~
水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!!
そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。
亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。
幼馴染みとの間に子どもをつくった夫に、離縁を言い渡されました。
ふまさ
恋愛
「シンディーのことは、恋愛対象としては見てないよ。それだけは信じてくれ」
夫のランドルは、そう言って笑った。けれどある日、ランドルの幼馴染みであるシンディーが、ランドルの子を妊娠したと知ってしまうセシリア。それを問うと、ランドルは急に激怒した。そして、離縁を言い渡されると同時に、屋敷を追い出されてしまう。
──数年後。
ランドルの一言にぷつんとキレてしまったセシリアは、殺意を宿した双眸で、ランドルにこう言いはなった。
「あなたの息の根は、わたしが止めます」
聖女に巻き込まれた、愛されなかった彼女の話
下菊みこと
恋愛
転生聖女に嵌められた現地主人公が幸せになるだけ。
主人公は誰にも愛されなかった。そんな彼女が幸せになるためには過去彼女を愛さなかった人々への制裁が必要なのである。
小説家になろう様でも投稿しています。
小林結城は奇妙な縁を持っている
木林 裕四郎
ファンタジー
「谷崎町の山奥にある古屋敷に行けば、奇妙な事件を解決してくれる」
そんな噂を耳にした人々が、今日も古屋敷の前へとやって来る。
だが本当に奇妙なのは、そこに住まう者たちだった。
小林結城と、彼の持つ不思議な縁に引き寄せられて集まった仲間たち。
妹の事を偏愛されている伯爵様。だから私はいらないのですね?
新野乃花(大舟)
恋愛
クライス伯爵はサテラとの婚約関係を結んでいたものの、彼が優先するのは常に自身の妹であるルミアだった。その愛情は非常に偏っており、偏愛と呼ぶにふさわしかった。ある日の事、ルミアはサテラの事が気に入らないためにありもしない嫌がらせを受けたとクライスに訴え、ルミアの事をすべて信頼するクライスはその言葉のままにサテラの事を婚約破棄してしまう。自分の思惑通りになったことで有頂天になるルミアだったものの、その後サテラの過去を知った時、取り返しの使いことをしてしまったと深く後悔することとなるのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる