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第八十二話 ライバル関係

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 アリアがフルーツを持ってやって来た。
「マリー様。美味しいフルーツが入りましたのでお持ちしました」
「ゴールデンプリンセスじゃない。これ大好物なのよ。ありがとう。早速いただくわ」
私の声でみんなが集まってきた。『美味しい』のキーワードに弱い連中ね。
「本当に美味しい! 芽依こんな美味しいフルーツ食べたの初めてだよ! 芽依のお家では最高級のフルーツが梨なんだよ」
「芽依、お願いだから貧乏を暴露するのは止めてくれ」
四郎が俯いたまま何か言ってるわ。

 そこへホワイティーが何かを持ってやって来た。
「マリー様、ブルードラゴンフルーツを持って参りました」
ホワイティーは私達がすでにフルーツを食べているのを見て、
「このフルーツはどうされましたか?」
と不思議そうに聞いてきた。

「さっきアリアが持ってきてくれたわ」
「アイアが?」
「そうよ。それがどうかした?」
「いえ、別に」
ホワイティーはそのままブルードラゴンフルーツを持って帰っていった。

 とまあ、ここまではよくある光景なのだが。そして、その夕方・・・・
「失礼します。ベッドメイキングをさせていただきます」
「あら、ホワイティー。今アリアがやってるわよ」
「どうしてアリアが?」
そう言うとホワイティーは寝室へと入っていった。

 中から話し声が聞こえてくる。何を話しているのかはよく聞こえなかったが、やがて誰にでも聞こえる大きな声がした。
「アリア、これは私の仕事なの。余計なことはしないで!」
え? 何何?
「私の任務はマリー様に使えることです。マリー様のことは私がするのが当たり前です」
「それは前線での話でしょ? 城内では私の仕事です」

 こ、これは凄いことになってきたわね。ホワイティーが怒る姿なんて初めて見たわ。ちょっと興味あるかも? 当然、みんなも興味津々に聞いていたが、ホワイティーが寝室から出てくると一斉に元の場所に戻って何も聞こえてなかったふりをした。こいつら役者ね。

「これって面白そうじゃない」
ホワイティーが部屋から出て行くのを待って小百合が切り出す。
「メイドにも派閥とかあるの?」
「多分あると思うわ」
「女性社会なら当然のことよ」
菫が自信たっぷりに答える。

「ねえ、ホワイティーさんとアリアさんて、どちらが偉いの?」
芽依が目を輝かせて聞いてくる。
「ホワイティーはこの城ではトップクラスのメイドよ。それに対してアリアは実力ナンバーワンのメイドと言っていいわ」
「実力って何のよ?」
「魔力よ。つまりこの城で一番強いメイドってわけ?」
「これは見ものね。分野が違うメイドがぶつかり合ったってことでしょ?」

 その日からホワイティーとアリアの『マリーお世話合戦』が始まった。
「マリー様。最高級のタオルに変えさせていただきす」
「マリー様、最高級のマッサージチェアーを取り寄せました。この部屋の隅に設置させていただきます」

 これって私にとっては最高じゃない? どんどん生活がグレードアップしていくわ。この後も二人はせっせと私の世話に来た。ただ不思議なのは二人が同時に部屋へ来ないことよね。片方が様子を窺っているのかしら?

 次話に続く。
「ああ! またしても一話読み切りがー!!」
「小百合、大丈夫? しっかりして!」
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