82 / 109
第八十二話 ライバル関係
しおりを挟む
アリアがフルーツを持ってやって来た。
「マリー様。美味しいフルーツが入りましたのでお持ちしました」
「ゴールデンプリンセスじゃない。これ大好物なのよ。ありがとう。早速いただくわ」
私の声でみんなが集まってきた。『美味しい』のキーワードに弱い連中ね。
「本当に美味しい! 芽依こんな美味しいフルーツ食べたの初めてだよ! 芽依のお家では最高級のフルーツが梨なんだよ」
「芽依、お願いだから貧乏を暴露するのは止めてくれ」
四郎が俯いたまま何か言ってるわ。
そこへホワイティーが何かを持ってやって来た。
「マリー様、ブルードラゴンフルーツを持って参りました」
ホワイティーは私達がすでにフルーツを食べているのを見て、
「このフルーツはどうされましたか?」
と不思議そうに聞いてきた。
「さっきアリアが持ってきてくれたわ」
「アイアが?」
「そうよ。それがどうかした?」
「いえ、別に」
ホワイティーはそのままブルードラゴンフルーツを持って帰っていった。
とまあ、ここまではよくある光景なのだが。そして、その夕方・・・・
「失礼します。ベッドメイキングをさせていただきます」
「あら、ホワイティー。今アリアがやってるわよ」
「どうしてアリアが?」
そう言うとホワイティーは寝室へと入っていった。
中から話し声が聞こえてくる。何を話しているのかはよく聞こえなかったが、やがて誰にでも聞こえる大きな声がした。
「アリア、これは私の仕事なの。余計なことはしないで!」
え? 何何?
「私の任務はマリー様に使えることです。マリー様のことは私がするのが当たり前です」
「それは前線での話でしょ? 城内では私の仕事です」
こ、これは凄いことになってきたわね。ホワイティーが怒る姿なんて初めて見たわ。ちょっと興味あるかも? 当然、みんなも興味津々に聞いていたが、ホワイティーが寝室から出てくると一斉に元の場所に戻って何も聞こえてなかったふりをした。こいつら役者ね。
「これって面白そうじゃない」
ホワイティーが部屋から出て行くのを待って小百合が切り出す。
「メイドにも派閥とかあるの?」
「多分あると思うわ」
「女性社会なら当然のことよ」
菫が自信たっぷりに答える。
「ねえ、ホワイティーさんとアリアさんて、どちらが偉いの?」
芽依が目を輝かせて聞いてくる。
「ホワイティーはこの城ではトップクラスのメイドよ。それに対してアリアは実力ナンバーワンのメイドと言っていいわ」
「実力って何のよ?」
「魔力よ。つまりこの城で一番強いメイドってわけ?」
「これは見ものね。分野が違うメイドがぶつかり合ったってことでしょ?」
その日からホワイティーとアリアの『マリーお世話合戦』が始まった。
「マリー様。最高級のタオルに変えさせていただきす」
「マリー様、最高級のマッサージチェアーを取り寄せました。この部屋の隅に設置させていただきます」
これって私にとっては最高じゃない? どんどん生活がグレードアップしていくわ。この後も二人はせっせと私の世話に来た。ただ不思議なのは二人が同時に部屋へ来ないことよね。片方が様子を窺っているのかしら?
次話に続く。
「ああ! またしても一話読み切りがー!!」
「小百合、大丈夫? しっかりして!」
「マリー様。美味しいフルーツが入りましたのでお持ちしました」
「ゴールデンプリンセスじゃない。これ大好物なのよ。ありがとう。早速いただくわ」
私の声でみんなが集まってきた。『美味しい』のキーワードに弱い連中ね。
「本当に美味しい! 芽依こんな美味しいフルーツ食べたの初めてだよ! 芽依のお家では最高級のフルーツが梨なんだよ」
「芽依、お願いだから貧乏を暴露するのは止めてくれ」
四郎が俯いたまま何か言ってるわ。
そこへホワイティーが何かを持ってやって来た。
「マリー様、ブルードラゴンフルーツを持って参りました」
ホワイティーは私達がすでにフルーツを食べているのを見て、
「このフルーツはどうされましたか?」
と不思議そうに聞いてきた。
「さっきアリアが持ってきてくれたわ」
「アイアが?」
「そうよ。それがどうかした?」
「いえ、別に」
ホワイティーはそのままブルードラゴンフルーツを持って帰っていった。
とまあ、ここまではよくある光景なのだが。そして、その夕方・・・・
「失礼します。ベッドメイキングをさせていただきます」
「あら、ホワイティー。今アリアがやってるわよ」
「どうしてアリアが?」
そう言うとホワイティーは寝室へと入っていった。
中から話し声が聞こえてくる。何を話しているのかはよく聞こえなかったが、やがて誰にでも聞こえる大きな声がした。
「アリア、これは私の仕事なの。余計なことはしないで!」
え? 何何?
「私の任務はマリー様に使えることです。マリー様のことは私がするのが当たり前です」
「それは前線での話でしょ? 城内では私の仕事です」
こ、これは凄いことになってきたわね。ホワイティーが怒る姿なんて初めて見たわ。ちょっと興味あるかも? 当然、みんなも興味津々に聞いていたが、ホワイティーが寝室から出てくると一斉に元の場所に戻って何も聞こえてなかったふりをした。こいつら役者ね。
「これって面白そうじゃない」
ホワイティーが部屋から出て行くのを待って小百合が切り出す。
「メイドにも派閥とかあるの?」
「多分あると思うわ」
「女性社会なら当然のことよ」
菫が自信たっぷりに答える。
「ねえ、ホワイティーさんとアリアさんて、どちらが偉いの?」
芽依が目を輝かせて聞いてくる。
「ホワイティーはこの城ではトップクラスのメイドよ。それに対してアリアは実力ナンバーワンのメイドと言っていいわ」
「実力って何のよ?」
「魔力よ。つまりこの城で一番強いメイドってわけ?」
「これは見ものね。分野が違うメイドがぶつかり合ったってことでしょ?」
その日からホワイティーとアリアの『マリーお世話合戦』が始まった。
「マリー様。最高級のタオルに変えさせていただきす」
「マリー様、最高級のマッサージチェアーを取り寄せました。この部屋の隅に設置させていただきます」
これって私にとっては最高じゃない? どんどん生活がグレードアップしていくわ。この後も二人はせっせと私の世話に来た。ただ不思議なのは二人が同時に部屋へ来ないことよね。片方が様子を窺っているのかしら?
次話に続く。
「ああ! またしても一話読み切りがー!!」
「小百合、大丈夫? しっかりして!」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
悪役令嬢な眠り姫は王子のキスで目を覚ます
永江寧々
恋愛
五歳の頃、父親に言われた『お前は今日から悪役令嬢になりなさい」という命令で決まったティファニーの人生。
幼馴染である公爵令嬢のマリエットが『ヒロインになりたい」と言い出した事で『ヒロインには悪役令嬢が必要なの』という余計な言葉を付け足したせいでティファニーがその犠牲となった。
あれから十年間、ティファニーはずっとマリエットのために悪役令嬢を貫き通してきた。
すぐに眠ってしまう奇病を持つティファニーが学校でお咎めなしでいられるのは莫大な寄付をするマリエットの父親の後ろ盾あってのこと。拒否権などなかった。
高校に入ってマリエットが遊び人と名高いグレンフェル家の次男、コンラッド王子と婚約するという噂が流れた事でティファニーは解放も近いと歓喜していたのだが、休憩がてら眠っていたティファニーにキスをした男がいた。
コンラッド・グレンフェル王子だ
ファーストキスだったのにとショックを受けるティファニーに『責任でも取ろうか?」と無責任な言葉を吐き、キスをした理由について『寝顔が好みだった」と言う王子に怒り狂うティファニーは二度と関わりたくないと願うが王子から迫ってきて……
自分の人生を取り戻すためにマリエット専属の悪役令嬢を貫きたいティファニーだが、何故か王子にキスをされると必ず目を覚ましてしまう謎に頭を抱えるもあまりにも理不尽なマリエットに我慢ならず、反応を窺いながらの悪役令嬢ではなく相手の事などおかまいなしの本物の悪役令嬢になることを決めた。
「お望み通りやってやりますわ。本物の悪役令嬢をね」
※小説家になろう様にも投稿しています。
11月4日、完結致しました。
足を運んでくださいました皆様、温かいコメントをくださいました皆様、本当にありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
もし次の作品を見かけました時は、気まぐれに足をお運びいただけたら光栄です。
本当にありがとうございました。
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
妹の事を偏愛されている伯爵様。だから私はいらないのですね?
新野乃花(大舟)
恋愛
クライス伯爵はサテラとの婚約関係を結んでいたものの、彼が優先するのは常に自身の妹であるルミアだった。その愛情は非常に偏っており、偏愛と呼ぶにふさわしかった。ある日の事、ルミアはサテラの事が気に入らないためにありもしない嫌がらせを受けたとクライスに訴え、ルミアの事をすべて信頼するクライスはその言葉のままにサテラの事を婚約破棄してしまう。自分の思惑通りになったことで有頂天になるルミアだったものの、その後サテラの過去を知った時、取り返しの使いことをしてしまったと深く後悔することとなるのだった…。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。
「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」
と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎
って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!
何故こうなった…
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
そして死亡する原因には不可解な点が…
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる