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第七十八話 四郎はどこに
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「今日も魔術の訓練を行います」
「ええー! 白の国は攻撃する気がないみたいだし、もう訓練しなくてもいいじゃない?」
「そういうわけにはいきません。いつ攻撃されるかわかりませんから、常に有事に備えておくべきです」
私達は渋々椅子から立ち上がった。アリアの訓練て厳しすぎるのよ。四郎なんか何度死にかけたことか。
「今日の順番はマリー様、芽依様、菫様、小百合様、四郎様です。よろしいでしょうか?」
「どうして私が一番なのよ! 真打ちは最後って決まってるでしょ!」
最初に訓練を受けたくない私は言いがかりを付けてみた。
「では始めましょう。マリー様行きますよ」
完全無視ね!
「あれ? 四郎君がいないわ」
私達は小百合の言葉で四郎がいないことに気がついた。
「どこに行ったのかしら? 四郎が単独行動するなんて珍しいわね」
私達は前線基地中を探し回った。
「どこにもいないよー」
芽依が心配そうな声を上げる。
「まさか・・・・」
「どうしたの? 小百合」
「前にもこんなことがあったわよね?」
「どういうこと?」
「四郎君が突然いなくなったことよ」
「そうだよ。お兄ちゃんがいきなり一人で白の国へ行っちゃったんだよ」
私の脳裏には悪夢のような思い出が鮮明に蘇った。
「ということは、またホワイティアに脅されて?」
「可能性はあるわね」
「アリア、今すぐホワイティアにホットラインを繋いで! 一刻を争うわ」
「はい、かしこまりました」
アリアが呪文を唱えると目の前に巨大なスクリーンが現れ、そこにホワイティアの顔が映し出された。
「久しぶりねピピプル妹。ようやく返事をする気になったというわけね」
「ホワイティア! 四郎を返して!」
「何のこと?」
「とぼけても無駄よ! また四郎を拉致したのはわかってるわ。今回は絶対に許さないんだから」
「???一体何を言ってるの?」
「これ以上とぼけると私にも考えがあるわ。覚悟なさい」
「よくわからないけど。どういう考えがあるのかしら? あなたが何をしようが私には全く響かないと思うけど?」
「キー! 私が本気になればあなたなんか一瞬で消し去ることもできるのよ!」
「それは初耳ね。せいぜい鍋を降らせることしかできないと思ってたわ」
「何ですってー!!!」
私とホワイティアの言い争いは二時間にも上った。
「今からそちらに行くわ。覚悟なさい!」
「自ら滅びに来るとは立派なものね。一対一で戦ってあげるわ」
「いい度胸ね。決闘よ!」
「馬鹿だとは聞いていたがここまでとは思わなかったわ。いいでしょうどこで戦うの?」
「そちらが決めなさい」
この言葉にみんなが慌てた。
「ダメだよ。マリーさんではホワイティアさんには勝てないよ」
「芽依、本気でそんなこと思ってないわよね」
「でも、この展開はホワイティアさんに好都合すぎだよ」
その頃、アリアの猛訓練が怖くてタンスの中に隠れていた四郎は完全に出て行く機会を失っていたのだった。
「ええー! 白の国は攻撃する気がないみたいだし、もう訓練しなくてもいいじゃない?」
「そういうわけにはいきません。いつ攻撃されるかわかりませんから、常に有事に備えておくべきです」
私達は渋々椅子から立ち上がった。アリアの訓練て厳しすぎるのよ。四郎なんか何度死にかけたことか。
「今日の順番はマリー様、芽依様、菫様、小百合様、四郎様です。よろしいでしょうか?」
「どうして私が一番なのよ! 真打ちは最後って決まってるでしょ!」
最初に訓練を受けたくない私は言いがかりを付けてみた。
「では始めましょう。マリー様行きますよ」
完全無視ね!
「あれ? 四郎君がいないわ」
私達は小百合の言葉で四郎がいないことに気がついた。
「どこに行ったのかしら? 四郎が単独行動するなんて珍しいわね」
私達は前線基地中を探し回った。
「どこにもいないよー」
芽依が心配そうな声を上げる。
「まさか・・・・」
「どうしたの? 小百合」
「前にもこんなことがあったわよね?」
「どういうこと?」
「四郎君が突然いなくなったことよ」
「そうだよ。お兄ちゃんがいきなり一人で白の国へ行っちゃったんだよ」
私の脳裏には悪夢のような思い出が鮮明に蘇った。
「ということは、またホワイティアに脅されて?」
「可能性はあるわね」
「アリア、今すぐホワイティアにホットラインを繋いで! 一刻を争うわ」
「はい、かしこまりました」
アリアが呪文を唱えると目の前に巨大なスクリーンが現れ、そこにホワイティアの顔が映し出された。
「久しぶりねピピプル妹。ようやく返事をする気になったというわけね」
「ホワイティア! 四郎を返して!」
「何のこと?」
「とぼけても無駄よ! また四郎を拉致したのはわかってるわ。今回は絶対に許さないんだから」
「???一体何を言ってるの?」
「これ以上とぼけると私にも考えがあるわ。覚悟なさい」
「よくわからないけど。どういう考えがあるのかしら? あなたが何をしようが私には全く響かないと思うけど?」
「キー! 私が本気になればあなたなんか一瞬で消し去ることもできるのよ!」
「それは初耳ね。せいぜい鍋を降らせることしかできないと思ってたわ」
「何ですってー!!!」
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「今からそちらに行くわ。覚悟なさい!」
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「馬鹿だとは聞いていたがここまでとは思わなかったわ。いいでしょうどこで戦うの?」
「そちらが決めなさい」
この言葉にみんなが慌てた。
「ダメだよ。マリーさんではホワイティアさんには勝てないよ」
「芽依、本気でそんなこと思ってないわよね」
「でも、この展開はホワイティアさんに好都合すぎだよ」
その頃、アリアの猛訓練が怖くてタンスの中に隠れていた四郎は完全に出て行く機会を失っていたのだった。
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