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第六十七話 みんなで仲良くトランプ

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 珍しく私達はみんなで仲良くトランプをしていた。もちろん『珍しく』はトランプをすることではなく仲良くの方に決まってるわ。種目は定番のババ抜き。これなら誰でもできるはずよ。
「もう、何で私ばかり負けるの~」
この嘆き声は菫ね。さっきから負けてばかりだわ。いい気味ね。

「菫ちゃんはすぐ顔に出るからわかりやすいんだよ」
芽依がもっともなアドバイスをする。
「どこがわかりやすいのよ」
「ババを取りそうになったらにっこり笑うし、ババを取らせようとババだけ少し上に出して置いたら必ず引くでしょ」
「う、嘘?」

「要するに単純てことね」
相変わらず小百合がきつい一言を菫に浴びせる。
「もう何よ。どうして純粋で心がきれいって言えないの!」
これは無理があるわね。
「ねえ、四郎君。ババ抜きが強い人にいい人はいないって言うよね」
「そんなの聞いたことないけど」

「もっと簡単なルールのものにしたら? それなら菫でもできるわよ」
「ちょっと小百合。私をバカだと思ってないでしょうね」
「日本の首都は?」
「何よ急に。そんなの今は関係ないでしょ!」
「わからないの?」
「わかるわよ! バカにしないで!」
「ふーん。じゃあどこ?」

 菫は暫く考えてようやく口を開いた。
「一つだけ質問していい?」
「いいわよ」
「首都って何よ?」
これはダメだわ。そんなの異世界人の私でも知ってるわよ。

「ねえ知ってる? 四郎君は頭の悪い人は嫌いなのよ」
「ええー! 嘘よそんなの!」
頭が悪いという自覚はあるみたいね。
「四郎君、私はバカじゃないからね」
こんな言葉は言えば言うほ泥沼にはまっていくことがわかってないみたいね。

「ねえ、頭がいいんだったら次はブラックジャックをしましょう」
小百合ってばここぞとばかりに責めるわね。計算が必要不可欠なブラックジャックをやらせるとはつくづく陰険な性格だわ。
「トランプの合計が二十一に近い人が勝つゲームだよ。ただし二十一より大きくなったら負けだよ」
芽依が説明をする。

 四郎が親をすることになった。もちろん異世界人の私は初めてやるけど、こんなの楽勝だわ。
「私はもういいわ」
十九だから勝ちね。
「私もこれでいいわ」
小百合が自信たっぷりに言った。まさか私より上なんてことないわよね。もう一枚貰った方がよかったかしら。でも確率的に十九からもう一枚引くのは無謀よね。

「芽依と菫は?」
「芽依はもう一枚だよ」
「私ももう一枚ちょうだい」
こうして芽依と菫は八枚のカードを引いた。この人たちルールを分かってるの?

「オープンね。私は十九よ。小百合は?」
「私は21よ」
何ですってー! 私より上なの?
「菫は?」
「私はこれよ」
「何よこれ。絵札だが三枚もあるじゃない」
「それがどうかした?」
やはりこの二人はルールを把握してなかったわね。

「芽依は?」
「A、A、2、2、3、3、4、5で21だよ」
嘘! カードを八枚も取るからてっきり分かってないと思ったら何なのこれは。芽依はババ抜きも全部勝ってたし、まさかギャンブルの天才じゃないでしょうね。

「四郎、あなたの手は何なの?」
四郎が18以下だったら一応私の勝ちね。四郎は自分の前に裏向けに置かれているトランプをゆっくり開いた。Qと8。やったー! 18じゃない。私の勝ちね。しかし、四郎はさらにトランプを引こうとしている。嘘でしょ。トランプは十三種類カードがあるのよ。ここから21以内にするカードってA、2、3の三種類しかないじゃない。しかも芽依がこのカードを六枚も持ってるのよ。

 四郎が引いたカードは3だった。嘘でしょ。21じゃない。四郎もギャンブラーだったなんて。だが、四郎の手は止まらない。もう一枚カードを引くと27になった。
「え?」
呆然とする私達。(菫を除く)
「これって誰が勝ったの?」
ここにもルールがわかってない奴がいたんかーい!

注:このブラックジャックはよくわかっていないメンバーの集まりですので正式なルールでやっていません。
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