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第六十話 危険な菫
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「そうっと音を立てないようにと。お邪魔しまーす。うふふ四郎君寝てる💛」
ムギュッ。
「え? 床が柔らかい? 何で? ジェル状になってないこの床」
ギュッギュッガシ!
「キャー手のようなものに足首を掴まれた! ちょっと歩けないじゃない」
ピュー。
「何? 今の弓矢じゃない! 顔のすぐ横を通っていったわ!」
ガシャ。
「今度は何?」
ズキュンズキュン!
「ギャー! ピ、ピストル!」
ガラガラドシャン!
「何で檻が上から降りてくるのよ!!」
「やっぱりね」
「マリー! これはあなたの仕業なの!?」
「当然じゃない。あなたが夜中に四郎の部屋に忍び込むといけないと思って仕掛けておいたのよ」
菫は檻の手すりを持って大きな声で続ける。もう、四郎への気遣いはなくなっているようだ。
「私を捕まえるのが目的なんでしょ?」
「そうよ」
「だったら弓矢とかピストルは必要ないじゃない! 危うく死にかけたわ」
「これくらいしておいた方がいいって話がまとまったのよ」
「話がまとまった?」
「そう三人で決めたの」
入り口には小百合と芽依が腕組みをして立っている。
「ピストルのアイデアは芽依が考えたんだよ」
「殺す気か!」
「こんな夜中に四郎の部屋に来て何をするつもりだったのかしら?」
「一緒に寝ようと思っただけよ。昔のようにね」
それを聞いた私は小百合と芽依の方を向いた。
「どうしやす親分」
「これはいっそのこと殺っちゃった方がいいんじゃないですか?」
「それなら芽依にお任せくだせい。このチャカでイチコロですぜ」
「何の相談をしてるのよ!」
「とにかくあなたは危険すぎるわ」
小百合が菫に向かって言う。
「何が危険なのよ。四郎君は十五年前から私の物なの。後から手を出したあなたたちが悪いんじゃない」
「あなたの恋は引っ越した段階で終わってるの」
「じゃあ、四郎君に聞いてみなさいよ。私を選ぶに決まってるわ」
「それはどうかしら?」
突然芽依も参戦してきた。
「そうだよ。お兄ちゃんは菫ちゃんを選ばないって芽依知ってるもん」
「ねえ、四郎。菫を選ぶの? それとも私たちの誰かを選ぶの?」
マリーが聞くと四郎は座ったまま気絶していた。本当にだらしないわね。まあ、目の前で弓矢が飛んでピストルを発砲されたら仕方ないかしら。
「どうでもいいけど私をこの檻から出しなさい!」
「断るといったら?」
「ふざけないで!」
「四郎に二度と手を出さないと誓ったら出してあげてもいいわよ」
「嫌よ!」
「ふうん?」
「何よ。早く出しなさいよ」
「部屋に帰ってもう一度寝ましょうか?」
「そうね」
「わかったわよ。もう四郎君の部屋には忍び込んだりしないわよ」
私は菫を檻から出していると急に外が騒がしくなった。
「強盗が立てこもってるのはこの部屋ですか!?」
「強盗?」
「犯人に告ぐ! バカな真似はやめて自首しなさい」
「どうしてこうなるわけ?」
「それは夜中に銃声が聞こえたらこうなるわよ」
菫は呆れたという顔で両手を肩の横まで上げた。
その後王家の紋章を見せて何とか許してもらったが、その間も四郎の意識は戻ることはないのだった。本当に肝の小さい男ね。まあ、そこが『守ってあげなきゃって』思えていいんだけどね。
ムギュッ。
「え? 床が柔らかい? 何で? ジェル状になってないこの床」
ギュッギュッガシ!
「キャー手のようなものに足首を掴まれた! ちょっと歩けないじゃない」
ピュー。
「何? 今の弓矢じゃない! 顔のすぐ横を通っていったわ!」
ガシャ。
「今度は何?」
ズキュンズキュン!
「ギャー! ピ、ピストル!」
ガラガラドシャン!
「何で檻が上から降りてくるのよ!!」
「やっぱりね」
「マリー! これはあなたの仕業なの!?」
「当然じゃない。あなたが夜中に四郎の部屋に忍び込むといけないと思って仕掛けておいたのよ」
菫は檻の手すりを持って大きな声で続ける。もう、四郎への気遣いはなくなっているようだ。
「私を捕まえるのが目的なんでしょ?」
「そうよ」
「だったら弓矢とかピストルは必要ないじゃない! 危うく死にかけたわ」
「これくらいしておいた方がいいって話がまとまったのよ」
「話がまとまった?」
「そう三人で決めたの」
入り口には小百合と芽依が腕組みをして立っている。
「ピストルのアイデアは芽依が考えたんだよ」
「殺す気か!」
「こんな夜中に四郎の部屋に来て何をするつもりだったのかしら?」
「一緒に寝ようと思っただけよ。昔のようにね」
それを聞いた私は小百合と芽依の方を向いた。
「どうしやす親分」
「これはいっそのこと殺っちゃった方がいいんじゃないですか?」
「それなら芽依にお任せくだせい。このチャカでイチコロですぜ」
「何の相談をしてるのよ!」
「とにかくあなたは危険すぎるわ」
小百合が菫に向かって言う。
「何が危険なのよ。四郎君は十五年前から私の物なの。後から手を出したあなたたちが悪いんじゃない」
「あなたの恋は引っ越した段階で終わってるの」
「じゃあ、四郎君に聞いてみなさいよ。私を選ぶに決まってるわ」
「それはどうかしら?」
突然芽依も参戦してきた。
「そうだよ。お兄ちゃんは菫ちゃんを選ばないって芽依知ってるもん」
「ねえ、四郎。菫を選ぶの? それとも私たちの誰かを選ぶの?」
マリーが聞くと四郎は座ったまま気絶していた。本当にだらしないわね。まあ、目の前で弓矢が飛んでピストルを発砲されたら仕方ないかしら。
「どうでもいいけど私をこの檻から出しなさい!」
「断るといったら?」
「ふざけないで!」
「四郎に二度と手を出さないと誓ったら出してあげてもいいわよ」
「嫌よ!」
「ふうん?」
「何よ。早く出しなさいよ」
「部屋に帰ってもう一度寝ましょうか?」
「そうね」
「わかったわよ。もう四郎君の部屋には忍び込んだりしないわよ」
私は菫を檻から出していると急に外が騒がしくなった。
「強盗が立てこもってるのはこの部屋ですか!?」
「強盗?」
「犯人に告ぐ! バカな真似はやめて自首しなさい」
「どうしてこうなるわけ?」
「それは夜中に銃声が聞こえたらこうなるわよ」
菫は呆れたという顔で両手を肩の横まで上げた。
その後王家の紋章を見せて何とか許してもらったが、その間も四郎の意識は戻ることはないのだった。本当に肝の小さい男ね。まあ、そこが『守ってあげなきゃって』思えていいんだけどね。
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