56 / 109
第五十六話 未来の旦那との生活
しおりを挟む
私は何気なく広告を見ていた。
「何かいい物はないかしら?」
もちろん紙媒体の広告なんてこの国にはないわ。小さなボタンを押したら立体映像が出る仕込みよ。
その時私の目はある広告に釘付けになった。
「ちょっと何よこれ!?」
『好きな人ともし結婚できたらどんな生活になるか知りたくないですか? 我が社のバーチャル映像でそれが体験できます。二人の脳波をデータ化して映像化する仕組みですから、ほぼ正確な結婚生活を見ることができるのです。是非見たいという方は株式会社将来の夢までご連絡を』
嘘でしょ? 私と四郎の結婚生活が今すぐ見られるなんて夢みたい。早速連絡しなきゃ♪
「さあ着いたわ。私と四郎はこの建物に用事があるからあなたたちはどこかで遊んできなさい」
「あからさまに怪しいわね。どうして私たちは一緒じゃいけないわけ?」
困ったわね。この二人を何とかしなきゃ。
「実はこの先に小さなゲームセンターがあるの」
「うわー芽依そこに行く!」
うまく引っかかったわね。
「この世界にゲームセンターは一つしかないんじゃないの?」
小百合ったら余計なことを。
「あ、そうだ。さっきの広場で正義の味方五十レンジャーショーがあるそうよ」
「そんなの見たくないわよ」
「芽依はちょっと見たいかも」
『いらっしゃいませ。ご予約の方ですか?』
受付の美人のお姉さんは笑顔で爽やかに尋ねた。
「はい、ピピプルと言います」
「はい、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
結局この二人の来ちゃったわね。まっいいか。どうせ体験するのは私だけなんだし。
「ねえ、ここ何するところなのよ」
「何もしないわよ。気にしないで」
「ここは好きな方との将来の生活をバーチャルで見られるところです」
「何教えてるのよ!」
「ふーん。一人で四郎君との将来を見るつもりだったんだ」
「何よ。ここの広告を見つけたの私なんだからね」
私達は真っ白な部屋に入ると目ごと覆うヘルメットのような物を付けられた。何よこれ。真っ暗で何も見えないじゃない。
「それでは始めます。心の準備はよろしいでしょうか?」
「ええ、いいわよ」
とは言ったものの緊張してきた。いよいよ四郎との結婚生活が見られるのよ。どんなのかなぁ。
『ちょっとあなた、まだ書類に印鑑を押せてないの!』
『ごめんなさい』
『もうこれくらいしか役に立たないんだから早くしてよね』
『はいわかりました』
『あ、それと明日までに私の服を選んでおいて。出かけるから』
『服だったらメイドのホワイティーに選んでもらった方が』
『うるさいわね。私に逆らったら死刑よ』
『それだけはお許しください』
「嫌ーーーーー!!!」
「どうかなさいましたか?」
「何? 何なのこの未来」
「はい、コンピュータ分析による未来になります。ほぼ間違いないかと」
「嘘よ! こんな未来認めないんだからね!」
部屋の端を見ると小百合と芽依がニヤニヤ笑っている。何なのこの敗北感。
「ねえ、次は私の将来が見たいわ。もちろん四郎君とのね」
「ダメよ。このお店は予約制だから。諦めなさい」
「大丈夫ですよ」
いいんかーい! 何のための予約よ!
小百合はウキウキ顔でヘルメットをかぶっている。
「嫌ーーーーー!!!」
ろくな結果じゃなかったみたいね。ふん、いい気味だわ。
「やだーーーーー!!!」
芽依も同じだったみたいね。
私達は肩を落として店から出ると三人一斉に振り向き四郎に向かって叫んだ。
「「「もっとしっかりしてよね!!!」」」
「何かいい物はないかしら?」
もちろん紙媒体の広告なんてこの国にはないわ。小さなボタンを押したら立体映像が出る仕込みよ。
その時私の目はある広告に釘付けになった。
「ちょっと何よこれ!?」
『好きな人ともし結婚できたらどんな生活になるか知りたくないですか? 我が社のバーチャル映像でそれが体験できます。二人の脳波をデータ化して映像化する仕組みですから、ほぼ正確な結婚生活を見ることができるのです。是非見たいという方は株式会社将来の夢までご連絡を』
嘘でしょ? 私と四郎の結婚生活が今すぐ見られるなんて夢みたい。早速連絡しなきゃ♪
「さあ着いたわ。私と四郎はこの建物に用事があるからあなたたちはどこかで遊んできなさい」
「あからさまに怪しいわね。どうして私たちは一緒じゃいけないわけ?」
困ったわね。この二人を何とかしなきゃ。
「実はこの先に小さなゲームセンターがあるの」
「うわー芽依そこに行く!」
うまく引っかかったわね。
「この世界にゲームセンターは一つしかないんじゃないの?」
小百合ったら余計なことを。
「あ、そうだ。さっきの広場で正義の味方五十レンジャーショーがあるそうよ」
「そんなの見たくないわよ」
「芽依はちょっと見たいかも」
『いらっしゃいませ。ご予約の方ですか?』
受付の美人のお姉さんは笑顔で爽やかに尋ねた。
「はい、ピピプルと言います」
「はい、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
結局この二人の来ちゃったわね。まっいいか。どうせ体験するのは私だけなんだし。
「ねえ、ここ何するところなのよ」
「何もしないわよ。気にしないで」
「ここは好きな方との将来の生活をバーチャルで見られるところです」
「何教えてるのよ!」
「ふーん。一人で四郎君との将来を見るつもりだったんだ」
「何よ。ここの広告を見つけたの私なんだからね」
私達は真っ白な部屋に入ると目ごと覆うヘルメットのような物を付けられた。何よこれ。真っ暗で何も見えないじゃない。
「それでは始めます。心の準備はよろしいでしょうか?」
「ええ、いいわよ」
とは言ったものの緊張してきた。いよいよ四郎との結婚生活が見られるのよ。どんなのかなぁ。
『ちょっとあなた、まだ書類に印鑑を押せてないの!』
『ごめんなさい』
『もうこれくらいしか役に立たないんだから早くしてよね』
『はいわかりました』
『あ、それと明日までに私の服を選んでおいて。出かけるから』
『服だったらメイドのホワイティーに選んでもらった方が』
『うるさいわね。私に逆らったら死刑よ』
『それだけはお許しください』
「嫌ーーーーー!!!」
「どうかなさいましたか?」
「何? 何なのこの未来」
「はい、コンピュータ分析による未来になります。ほぼ間違いないかと」
「嘘よ! こんな未来認めないんだからね!」
部屋の端を見ると小百合と芽依がニヤニヤ笑っている。何なのこの敗北感。
「ねえ、次は私の将来が見たいわ。もちろん四郎君とのね」
「ダメよ。このお店は予約制だから。諦めなさい」
「大丈夫ですよ」
いいんかーい! 何のための予約よ!
小百合はウキウキ顔でヘルメットをかぶっている。
「嫌ーーーーー!!!」
ろくな結果じゃなかったみたいね。ふん、いい気味だわ。
「やだーーーーー!!!」
芽依も同じだったみたいね。
私達は肩を落として店から出ると三人一斉に振り向き四郎に向かって叫んだ。
「「「もっとしっかりしてよね!!!」」」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を庇おうとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる