39 / 109
第三十九話 旅のお供
しおりを挟む
暫く体を休めた私達は再出発をすることにしたわ。今回は青の国との国境を目指す旅にするつもりよ。青の国は私達黒の国と友好関係にあるから言い旅になりそうね。
「じゃ・・・・」
「では、行って参ります、女王様」
「気をつけて行ってください。苦しくなったらいつでも戻ってくるのですよ」
「有り難きお言葉。恐れ入ります」
「だから、何で小百合が仕切ってるのよ! ここは次期国王の私が言うところでしょ!」
「あら? ベチャ〇ンチ。いたのですね」
「もう! お母さんまでふざけないで!」
「はい、これは約束の物です」
お母さんは私に小さな檻を手渡した。
「何よこれ?」
「ニャー」
「きゃあ!」
私は思わずその檻を落としてしまった。すると中から一匹の三毛猫が・・・・。
「うわー、可愛い」
「ありがとうございます」
「大切にしてあげてください」
「はい、家族同様に可愛がります」
「は、早く檻に戻しなさいよ」
「いえ、この子は檻には入れず、連れて歩くことにするわ」
「ええ! どうしてよ!」
「檻に入れてちゃ可哀想じゃない」
「それはそうだけど・・・・。じゃあ、リードを付けなきゃ。逃げちゃったら大変よ」
「大丈夫よ。お利口さんみたいだし」
「冗談でしょ・・・・」
スリスリ。
「ちょっと、何よ!」
私は足にすり寄って来る猫から慌てて逃げた。
ゴロゴロ、スリスリ。
「ちょっと何なのよ」
「甘えてるのね。気に入られて良かったじゃない。マリー」
「良くないわよ! こっちに来ないで!」
スリスリスリスリ。
「しつこいわよ」
私は思わず猫を蹴飛ばす。
「可哀想じゃない。マリー」
「わかってるわよ。ちょっと足が当たっただけよ」
スリスリスリスリスリスリ。
「これって甘えてるんだと思ったけど。わざとやってるわね」
「マリーさんが猫を嫌いなのわかってるんだね」
「さっき檻を落としたしな」
「何て性格が悪い猫なの?」
「かなり頭がいいこね」
「ところで名前は何にするの? 芽依が付けてもいい?」
「みんなで考えましょう。可愛い名前がいいわね」
「やっぱり猫と言えばルナだよ」
「ムギというのが人気ナンバーワンらしいぞ」
「モモちゃんも可愛いわね」
「こんなのエンマ大王でいいわよ」
スリスリスリスリ。スリスリスリスリ。
「何よ! この子言葉がわかるの?」
「猫の脳の構造は人間の脳の構造と非常に似ているそうよ。だから言葉も理解してるんじゃない?」
「じゃあ、このスリスリは嫌がるのわかっててわざとやってるわけ?」
「そうかもね」
「ええー!」
私達はこの子の名前についてかなりの候補を出して考えたわ。どれもこの不細工猫には似つかわしくないわね。スリスリスリスリ。もう! 考えてることまでわかるわけ!?
「どうですか? 決まりましたか?」
「はい、ミーにします」
「ちょっと! そんな名前今まで出てなかったじゃない!」
「私の飼ってた猫とそっくりだからミーでいいわ」
「今までの話し合いは何だったのよ!」
こうして私の苦痛に満ちた世直し旅は再開されたのであった。
「じゃ・・・・」
「では、行って参ります、女王様」
「気をつけて行ってください。苦しくなったらいつでも戻ってくるのですよ」
「有り難きお言葉。恐れ入ります」
「だから、何で小百合が仕切ってるのよ! ここは次期国王の私が言うところでしょ!」
「あら? ベチャ〇ンチ。いたのですね」
「もう! お母さんまでふざけないで!」
「はい、これは約束の物です」
お母さんは私に小さな檻を手渡した。
「何よこれ?」
「ニャー」
「きゃあ!」
私は思わずその檻を落としてしまった。すると中から一匹の三毛猫が・・・・。
「うわー、可愛い」
「ありがとうございます」
「大切にしてあげてください」
「はい、家族同様に可愛がります」
「は、早く檻に戻しなさいよ」
「いえ、この子は檻には入れず、連れて歩くことにするわ」
「ええ! どうしてよ!」
「檻に入れてちゃ可哀想じゃない」
「それはそうだけど・・・・。じゃあ、リードを付けなきゃ。逃げちゃったら大変よ」
「大丈夫よ。お利口さんみたいだし」
「冗談でしょ・・・・」
スリスリ。
「ちょっと、何よ!」
私は足にすり寄って来る猫から慌てて逃げた。
ゴロゴロ、スリスリ。
「ちょっと何なのよ」
「甘えてるのね。気に入られて良かったじゃない。マリー」
「良くないわよ! こっちに来ないで!」
スリスリスリスリ。
「しつこいわよ」
私は思わず猫を蹴飛ばす。
「可哀想じゃない。マリー」
「わかってるわよ。ちょっと足が当たっただけよ」
スリスリスリスリスリスリ。
「これって甘えてるんだと思ったけど。わざとやってるわね」
「マリーさんが猫を嫌いなのわかってるんだね」
「さっき檻を落としたしな」
「何て性格が悪い猫なの?」
「かなり頭がいいこね」
「ところで名前は何にするの? 芽依が付けてもいい?」
「みんなで考えましょう。可愛い名前がいいわね」
「やっぱり猫と言えばルナだよ」
「ムギというのが人気ナンバーワンらしいぞ」
「モモちゃんも可愛いわね」
「こんなのエンマ大王でいいわよ」
スリスリスリスリ。スリスリスリスリ。
「何よ! この子言葉がわかるの?」
「猫の脳の構造は人間の脳の構造と非常に似ているそうよ。だから言葉も理解してるんじゃない?」
「じゃあ、このスリスリは嫌がるのわかっててわざとやってるわけ?」
「そうかもね」
「ええー!」
私達はこの子の名前についてかなりの候補を出して考えたわ。どれもこの不細工猫には似つかわしくないわね。スリスリスリスリ。もう! 考えてることまでわかるわけ!?
「どうですか? 決まりましたか?」
「はい、ミーにします」
「ちょっと! そんな名前今まで出てなかったじゃない!」
「私の飼ってた猫とそっくりだからミーでいいわ」
「今までの話し合いは何だったのよ!」
こうして私の苦痛に満ちた世直し旅は再開されたのであった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を庇おうとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる