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第三十九話 旅のお供

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 暫く体を休めた私達は再出発をすることにしたわ。今回は青の国との国境を目指す旅にするつもりよ。青の国は私達黒の国と友好関係にあるから言い旅になりそうね。
「じゃ・・・・」
「では、行って参ります、女王様」
「気をつけて行ってください。苦しくなったらいつでも戻ってくるのですよ」
「有り難きお言葉。恐れ入ります」

「だから、何で小百合が仕切ってるのよ! ここは次期国王の私が言うところでしょ!」
「あら? ベチャ〇ンチ。いたのですね」
「もう! お母さんまでふざけないで!」

「はい、これは約束の物です」
お母さんは私に小さな檻を手渡した。
「何よこれ?」
「ニャー」
「きゃあ!」
私は思わずその檻を落としてしまった。すると中から一匹の三毛猫が・・・・。

「うわー、可愛い」
「ありがとうございます」
「大切にしてあげてください」
「はい、家族同様に可愛がります」

「は、早く檻に戻しなさいよ」
「いえ、この子は檻には入れず、連れて歩くことにするわ」
「ええ! どうしてよ!」
「檻に入れてちゃ可哀想じゃない」
「それはそうだけど・・・・。じゃあ、リードを付けなきゃ。逃げちゃったら大変よ」
「大丈夫よ。お利口さんみたいだし」
「冗談でしょ・・・・」

 スリスリ。
「ちょっと、何よ!」
私は足にすり寄って来る猫から慌てて逃げた。
ゴロゴロ、スリスリ。
「ちょっと何なのよ」
「甘えてるのね。気に入られて良かったじゃない。マリー」
「良くないわよ! こっちに来ないで!」

 スリスリスリスリ。
「しつこいわよ」
私は思わず猫を蹴飛ばす。
「可哀想じゃない。マリー」
「わかってるわよ。ちょっと足が当たっただけよ」

 スリスリスリスリスリスリ。
「これって甘えてるんだと思ったけど。わざとやってるわね」
「マリーさんが猫を嫌いなのわかってるんだね」
「さっき檻を落としたしな」
「何て性格が悪い猫なの?」
「かなり頭がいいこね」

「ところで名前は何にするの? 芽依が付けてもいい?」
「みんなで考えましょう。可愛い名前がいいわね」
「やっぱり猫と言えばルナだよ」
「ムギというのが人気ナンバーワンらしいぞ」
「モモちゃんも可愛いわね」

「こんなのエンマ大王でいいわよ」
スリスリスリスリ。スリスリスリスリ。
「何よ! この子言葉がわかるの?」
「猫の脳の構造は人間の脳の構造と非常に似ているそうよ。だから言葉も理解してるんじゃない?」
「じゃあ、このスリスリは嫌がるのわかっててわざとやってるわけ?」
「そうかもね」
「ええー!」

 私達はこの子の名前についてかなりの候補を出して考えたわ。どれもこの不細工猫には似つかわしくないわね。スリスリスリスリ。もう! 考えてることまでわかるわけ!?

「どうですか? 決まりましたか?」
「はい、ミーにします」
「ちょっと! そんな名前今まで出てなかったじゃない!」
「私の飼ってた猫とそっくりだからミーでいいわ」
「今までの話し合いは何だったのよ!」
こうして私の苦痛に満ちた世直し旅は再開されたのであった。
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