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第二十六話 テレビ出演
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「この街には私達の世界では珍しいテレビ局があるのよ。ちょっと見学していきましょう」「ええ、芽依スカウトされたらどうしよう」
「それは大丈夫よ。テレビ局の人は見る目が高いわ。芽依が可愛いかどうかすぐに見抜くはずよ」
「だったら余計にスカウトされたらどうしようだよ」
「だから芽依くらいの可愛さならどこにでもいるからスカウトされることはないって言ってるのよ」
「そうよね」
「小百合! 人の意見に納得しながら手鏡を見てるんじゃないわよ!」
私達がスタジオに入るとなぜか暗いままだった。
「おかしいわね。スケジュールでは料理番組の収録が始まる時間なのにスタジオが暗いままだわ」
「何かあったのかしら?」
私はスタジオの隅で頭を抱えて座り込んでいる男に声をかけた。
「スタジオが真っ暗だけど、どうしたのよ?」
「ああ、今日収録するはずの料理番組に出演する子が風邪で休んで収録ができないんだ」「ふーん」
「どうしたらいいんだ。今日収録できなかったら番組に穴を開けてしまう」
「穴を開けたらどうなるのよ」
「急遽別の番組を流すんだが、用意してあるのが『フンコロガシの生活』なんだ」
「料理番組の代わりとは思えない内容ね」
頭を抱えていた男は突然私達を見つめた。
「何よ?」
「君たち! テレビに出てみないか!」
「どうしてそうなるのよ! お断りだわ」
「君たちは実に可愛い。芸能人よりも可愛い。絶対に視聴率が取れること間違いなしだ!」
「私が可愛いですって? さすがテレビ局で働く人ね。見る目があるわ」
「じゃあ、出てくれますか?」
「仕方ないわね。これも人助けの一環よ」
「ありがとうございます。では早速役割を決めますのでしばしお待ちを」
暫くするとさっきの男が衣装を持って戻ってきた。
「では、あなた方の配役ですが一人は料理を作る人。後の三人はできた料理を食べて食リポをする人でお願いします」
「わかったわ」
「では、これに着替えてください」
「うわー。可愛い衣装ね。さすがにテレビ番組だわ」
「あなたはこちらに。他の三人はあちらのテーブルに行ってください」
と言いながら芽依の背中を押した。
「ちょっと、どういうことよ!」
「いや、こういう場合一番可愛い娘をメインにするのが番組の鉄則でして」
「私より芽依の方が可愛いって言うの!?」
「はい」
「何が『はい』よ。てか、さっきから私とだけ話してたわよね? どうしてこの流れになるわけ?」
男はおもむろに四郎の方を向くと、
「あなたもこちらの娘の方が視聴率が取れると思いませんか?」
と聞いた。
「お願いですから、その手の質問を俺に振るないでください。どう答えたって地獄を見るんですから」
「四郎、答えなさい。私と芽依、どちらが視聴率を取れると思ってるの?」
「ほら来た。このパターンで今までどれだけ死にかけたことか」
「芽依、お兄ちゃんのこと信じてるから」
涙目で四郎を見つめる芽依。こんな姑息な手段で私に勝てると思ってるの?
「四郎君、私を選んでもいいのよ」
名前が一切出ていない小百合まで参戦してきた。身の程知らずが。
「さあ、誰か適任か早く答えなさい」
日本刀を両手で握る小百合、バズーカを肩に抱える芽依、そして最強の杖を高々と振り上げる私は、四郎を部屋の隅へと追い詰めていった。
「た、助けて!」
ジー。
「何をカメラで撮ってるんですか!」
こうして四郎が完膚なきまでに攻められる様子は特別番組として放送されるのであった。さすがテレビ局。使えるものは何でも使うわね。
「それは大丈夫よ。テレビ局の人は見る目が高いわ。芽依が可愛いかどうかすぐに見抜くはずよ」
「だったら余計にスカウトされたらどうしようだよ」
「だから芽依くらいの可愛さならどこにでもいるからスカウトされることはないって言ってるのよ」
「そうよね」
「小百合! 人の意見に納得しながら手鏡を見てるんじゃないわよ!」
私達がスタジオに入るとなぜか暗いままだった。
「おかしいわね。スケジュールでは料理番組の収録が始まる時間なのにスタジオが暗いままだわ」
「何かあったのかしら?」
私はスタジオの隅で頭を抱えて座り込んでいる男に声をかけた。
「スタジオが真っ暗だけど、どうしたのよ?」
「ああ、今日収録するはずの料理番組に出演する子が風邪で休んで収録ができないんだ」「ふーん」
「どうしたらいいんだ。今日収録できなかったら番組に穴を開けてしまう」
「穴を開けたらどうなるのよ」
「急遽別の番組を流すんだが、用意してあるのが『フンコロガシの生活』なんだ」
「料理番組の代わりとは思えない内容ね」
頭を抱えていた男は突然私達を見つめた。
「何よ?」
「君たち! テレビに出てみないか!」
「どうしてそうなるのよ! お断りだわ」
「君たちは実に可愛い。芸能人よりも可愛い。絶対に視聴率が取れること間違いなしだ!」
「私が可愛いですって? さすがテレビ局で働く人ね。見る目があるわ」
「じゃあ、出てくれますか?」
「仕方ないわね。これも人助けの一環よ」
「ありがとうございます。では早速役割を決めますのでしばしお待ちを」
暫くするとさっきの男が衣装を持って戻ってきた。
「では、あなた方の配役ですが一人は料理を作る人。後の三人はできた料理を食べて食リポをする人でお願いします」
「わかったわ」
「では、これに着替えてください」
「うわー。可愛い衣装ね。さすがにテレビ番組だわ」
「あなたはこちらに。他の三人はあちらのテーブルに行ってください」
と言いながら芽依の背中を押した。
「ちょっと、どういうことよ!」
「いや、こういう場合一番可愛い娘をメインにするのが番組の鉄則でして」
「私より芽依の方が可愛いって言うの!?」
「はい」
「何が『はい』よ。てか、さっきから私とだけ話してたわよね? どうしてこの流れになるわけ?」
男はおもむろに四郎の方を向くと、
「あなたもこちらの娘の方が視聴率が取れると思いませんか?」
と聞いた。
「お願いですから、その手の質問を俺に振るないでください。どう答えたって地獄を見るんですから」
「四郎、答えなさい。私と芽依、どちらが視聴率を取れると思ってるの?」
「ほら来た。このパターンで今までどれだけ死にかけたことか」
「芽依、お兄ちゃんのこと信じてるから」
涙目で四郎を見つめる芽依。こんな姑息な手段で私に勝てると思ってるの?
「四郎君、私を選んでもいいのよ」
名前が一切出ていない小百合まで参戦してきた。身の程知らずが。
「さあ、誰か適任か早く答えなさい」
日本刀を両手で握る小百合、バズーカを肩に抱える芽依、そして最強の杖を高々と振り上げる私は、四郎を部屋の隅へと追い詰めていった。
「た、助けて!」
ジー。
「何をカメラで撮ってるんですか!」
こうして四郎が完膚なきまでに攻められる様子は特別番組として放送されるのであった。さすがテレビ局。使えるものは何でも使うわね。
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