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第二十五話 コルフ
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私たちは山を切り開いて造られたゴルフ場に来ていた。
「こちらの世界にもゴルフってあるのね」
「違うわ。こちらの世界で流行っていたスポーツがあなたたちの世界に輸出されていったのよ」
「でも、俺たちの世界の人間はこの異世界の存在を知らないんじゃなかったのか?」
「私たちの先祖があなたたちの世界に行った時、ルールやコース造りを伝授したのが始まりよ」
「名前は何て言うの?」
「コルフね」
「点々がないんだ」
「せっかくだから私が教えてあげるからプレーしてみなさい」
「俺はクラブも持ったことないぞ」
「私なんかルールすらわからないわ」
「芽依は知ってるよ。白い玉を突いて番号の付いた玉を穴に入れればいいんだよね」
「残念、それはビリヤードだ」
仕方ないわね。庶民には高貴なスポーツをする機会なんてないだろうし、一生に一回くらいは体験させてあげるのもいいわね。
「このコルフ場は王室直営なの。ちょっと貸してくれるうに言ってくるわ。ちょっと待ってて」
私が言いに行くと,もちろん即オーケーをくれた。まあ、当然よね。
キャディーとして十五人が控えていたが、これはちょっと行き過ぎだと思うわ。
「これでボールを打つのよ。とりあえず小百合から打ちなさい」
「これって大木槌よね。私の思っていたゴルフクラブとは大きく異なってるのはなぜ?」「これはゴルフじゃないわ。ゴルフの前身のコルフよ。多少の違いがあって当然じゃない」「このボールを打つのよね」
「そうよ。ボールの真ん中を狙って打ちなさい」
「このボールって直径に二十センチくらいあるわよ」
「だからこれはゴルフじゃないの。多少の違いはあるわよ!」
「違い過ぎでしょ! サッカーボールくらいあるじゃない」
「大きい方が当たりやすいでしょ。文句ばかり言ってないでさっさと打ちなさいよ」
私は大木槌の振り方を超簡単に説明すると、小百合のそれを渡した。
「みんな小百合から十メートル以上離れなさい」
「いくら初めてでもそこまで離れなくても大丈夫よ。私って運動神経はいい方なんだから。じゃあ、打つわよ」
ドカン!
「そのボールは芯を打たなかったら爆発するから気をつけなさい」
「そういう重要事項は打つ前に言ってよね!」
小百合が真っ黒になった顔で何やら怒鳴っている。
「それでこのコースって凸凹なんだね」
芽依は驚く様子もなく言った。この子このスポーツの過酷さをわかってるのかしら?
「この一番ホールはパー二十七よ。早く回らないと十八ホール回れないわ。芽依さっさと打ちなさい」
「パー二十七って多すぎないか? 普通三から五だろ?」
「コースが長いのよ。このホールだけで五キロはあるわ。それに爆発するとペナルティーが付くから二十七でもきついくらいよ」
「さあ、次はマリーの番だぞ!」
真っ黒になった四郎と小百合と芽依が言った。本当にみんな下手ね。
私は華麗なスイングでボールを打った。
「あ! 右に行っちゃったわ。失敗ね」
「どうしてあなたの玉は爆発しないのよ」
「さあ? どうしてかしら?」
「ああ! あなたの大木槌だけ軽いわ! これはどういうこと?」
こうして私たちのコルフ体験は一ホールも周ることなく終了するのであった。
「こちらの世界にもゴルフってあるのね」
「違うわ。こちらの世界で流行っていたスポーツがあなたたちの世界に輸出されていったのよ」
「でも、俺たちの世界の人間はこの異世界の存在を知らないんじゃなかったのか?」
「私たちの先祖があなたたちの世界に行った時、ルールやコース造りを伝授したのが始まりよ」
「名前は何て言うの?」
「コルフね」
「点々がないんだ」
「せっかくだから私が教えてあげるからプレーしてみなさい」
「俺はクラブも持ったことないぞ」
「私なんかルールすらわからないわ」
「芽依は知ってるよ。白い玉を突いて番号の付いた玉を穴に入れればいいんだよね」
「残念、それはビリヤードだ」
仕方ないわね。庶民には高貴なスポーツをする機会なんてないだろうし、一生に一回くらいは体験させてあげるのもいいわね。
「このコルフ場は王室直営なの。ちょっと貸してくれるうに言ってくるわ。ちょっと待ってて」
私が言いに行くと,もちろん即オーケーをくれた。まあ、当然よね。
キャディーとして十五人が控えていたが、これはちょっと行き過ぎだと思うわ。
「これでボールを打つのよ。とりあえず小百合から打ちなさい」
「これって大木槌よね。私の思っていたゴルフクラブとは大きく異なってるのはなぜ?」「これはゴルフじゃないわ。ゴルフの前身のコルフよ。多少の違いがあって当然じゃない」「このボールを打つのよね」
「そうよ。ボールの真ん中を狙って打ちなさい」
「このボールって直径に二十センチくらいあるわよ」
「だからこれはゴルフじゃないの。多少の違いはあるわよ!」
「違い過ぎでしょ! サッカーボールくらいあるじゃない」
「大きい方が当たりやすいでしょ。文句ばかり言ってないでさっさと打ちなさいよ」
私は大木槌の振り方を超簡単に説明すると、小百合のそれを渡した。
「みんな小百合から十メートル以上離れなさい」
「いくら初めてでもそこまで離れなくても大丈夫よ。私って運動神経はいい方なんだから。じゃあ、打つわよ」
ドカン!
「そのボールは芯を打たなかったら爆発するから気をつけなさい」
「そういう重要事項は打つ前に言ってよね!」
小百合が真っ黒になった顔で何やら怒鳴っている。
「それでこのコースって凸凹なんだね」
芽依は驚く様子もなく言った。この子このスポーツの過酷さをわかってるのかしら?
「この一番ホールはパー二十七よ。早く回らないと十八ホール回れないわ。芽依さっさと打ちなさい」
「パー二十七って多すぎないか? 普通三から五だろ?」
「コースが長いのよ。このホールだけで五キロはあるわ。それに爆発するとペナルティーが付くから二十七でもきついくらいよ」
「さあ、次はマリーの番だぞ!」
真っ黒になった四郎と小百合と芽依が言った。本当にみんな下手ね。
私は華麗なスイングでボールを打った。
「あ! 右に行っちゃったわ。失敗ね」
「どうしてあなたの玉は爆発しないのよ」
「さあ? どうしてかしら?」
「ああ! あなたの大木槌だけ軽いわ! これはどういうこと?」
こうして私たちのコルフ体験は一ホールも周ることなく終了するのであった。
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