17 / 109
第十七話 杖専門店
しおりを挟む
「珍しいわね。杖の専門店があるわ」
杖を使うと魔術の効果がアップする。
「杖は効果が上がるけど高いのよね」
「あれだけ税を取ってたら、お金なんて捨てるくらいあるんじゃなくて?」
また小百合が嫌味を言ってるみたいね。
覚えてなさい。後で『小百合ぶっ殺す帳』に書いてやるわ。それにしても随分とメモがたまったわね。もう三冊目だわ。
「ちょっと寄ってかない」
私はそう言うと振り返ることもなく店に入った。
「わあ、こんなのもあるんだ」
「それは限定品で世界に三点しかないものです」
店員の若くて美しい女性が笑顔で答える。
それにしてもこの小説に出てくる女性ってどうして美人ばかりなの? 私は何気ない疑問を抱きながらも限定品の杖を手にする。
「これって高いんでしょ?」
「はい、世界に三点のお品ですので、少々お高くなっております」
「で? いくらよ」
「三千万クローになります」
「三千万か?」
「何迷ってるのよ!」
小百合がまた何か言い出したわ。私はプリンセスよ。それくらいのお金は持ってるわよ。
「お金の価値が分からないから、ダメプリンセスって言われるのよ」
また、書くことが増えたわ。今日は大漁ね。
それにしてもさすが専門店だけあるわね。指揮棒程度の小さい物から白い髭のお爺さんが持っていそうな大きい物まであるじゃない。品数は全部で千種類を超えているんじゃないかしら。
「あら? 男性用もあるのね」
手品で使いそうなステッキ型の杖が置かれている。
「こちらの彼氏さんにお似合いだと思います」
「今、何て言ったの?」
「こちらの彼氏さんに」
「彼氏に見えるの?」
「申し訳ございませんでした。あなた様にとてもお似合いな方でしたので」
「私に似合ってるの? 女が三人いるけど私に似合っているのね」
「はい、この御三方では一番気品と美しさをお持ちのあなた様がお似合いかと」
「この店員ぶち殺す!」
怒り狂う小百合と芽依を四郎が必死で押さえ込んでいる。
「これいただくわ。いくらかしら」
「ありがとうございます。百五十クローになります」
「随分と安いわね」
「男性用は売れませんので」
魔力の弱い男性はあまり魔術を使わないため、男性用の杖が売れることは稀なのである。
「それでこの杖の効果は何?」
杖には様々な効果がある。火の魔術に特化した物や防御系に特化したものなど、その種類は無限とまで言われているわ。
「はい、こちらの品はマインドコントロールに特化しております」
「マインドコントロール?」
「精神系イケメン効果と言いまして、こちらの杖を男性がお使いになられますと、あらゆる女性にモテる効果があります」
「・・・・」
私は杖を買うのをやめ、興奮する小百合と芽依を連れて店を後にするのだった。
杖を使うと魔術の効果がアップする。
「杖は効果が上がるけど高いのよね」
「あれだけ税を取ってたら、お金なんて捨てるくらいあるんじゃなくて?」
また小百合が嫌味を言ってるみたいね。
覚えてなさい。後で『小百合ぶっ殺す帳』に書いてやるわ。それにしても随分とメモがたまったわね。もう三冊目だわ。
「ちょっと寄ってかない」
私はそう言うと振り返ることもなく店に入った。
「わあ、こんなのもあるんだ」
「それは限定品で世界に三点しかないものです」
店員の若くて美しい女性が笑顔で答える。
それにしてもこの小説に出てくる女性ってどうして美人ばかりなの? 私は何気ない疑問を抱きながらも限定品の杖を手にする。
「これって高いんでしょ?」
「はい、世界に三点のお品ですので、少々お高くなっております」
「で? いくらよ」
「三千万クローになります」
「三千万か?」
「何迷ってるのよ!」
小百合がまた何か言い出したわ。私はプリンセスよ。それくらいのお金は持ってるわよ。
「お金の価値が分からないから、ダメプリンセスって言われるのよ」
また、書くことが増えたわ。今日は大漁ね。
それにしてもさすが専門店だけあるわね。指揮棒程度の小さい物から白い髭のお爺さんが持っていそうな大きい物まであるじゃない。品数は全部で千種類を超えているんじゃないかしら。
「あら? 男性用もあるのね」
手品で使いそうなステッキ型の杖が置かれている。
「こちらの彼氏さんにお似合いだと思います」
「今、何て言ったの?」
「こちらの彼氏さんに」
「彼氏に見えるの?」
「申し訳ございませんでした。あなた様にとてもお似合いな方でしたので」
「私に似合ってるの? 女が三人いるけど私に似合っているのね」
「はい、この御三方では一番気品と美しさをお持ちのあなた様がお似合いかと」
「この店員ぶち殺す!」
怒り狂う小百合と芽依を四郎が必死で押さえ込んでいる。
「これいただくわ。いくらかしら」
「ありがとうございます。百五十クローになります」
「随分と安いわね」
「男性用は売れませんので」
魔力の弱い男性はあまり魔術を使わないため、男性用の杖が売れることは稀なのである。
「それでこの杖の効果は何?」
杖には様々な効果がある。火の魔術に特化した物や防御系に特化したものなど、その種類は無限とまで言われているわ。
「はい、こちらの品はマインドコントロールに特化しております」
「マインドコントロール?」
「精神系イケメン効果と言いまして、こちらの杖を男性がお使いになられますと、あらゆる女性にモテる効果があります」
「・・・・」
私は杖を買うのをやめ、興奮する小百合と芽依を連れて店を後にするのだった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

白い結婚をめぐる二年の攻防
藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」
「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」
「え、いやその」
父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。
だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。
妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。
※ なろうにも投稿しています。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

きんぎょ転生〜金魚と一緒に異世界転生してしまったのでとりあえず金魚増やします〜
荒瀬ヤヒロ
ファンタジー
貧乏男爵令嬢アカリアはある日、前世を思い出した。
金魚すくい大会の帰りに車に轢かれた記憶が蘇ると同時に、自分の傍に漂う存在に気づく。
この世界には存在しないはずの――金魚に。
「私の『スキル』って金魚出すだけ!?なにこれ金魚の呪い!?」
これは「きんぎょ創造」の『スキル』を与えられた少女が、魚を鑑賞する文化のない世界に金魚を広めて貧乏脱出しようと奮闘する物語である。
ふんわり設定の異世界きんぎょファンタジー。

幼馴染をお休みして犬になります!?いや侯爵家令息を犬扱いは無理ですって!
来住野つかさ
恋愛
「アーロン、あなた犬になりなさい!」
――クローディアは困っていた。ついに父子爵に婚約を決めたと宣言されたのだ。男性恐怖症のクローディアはそれを聞いて卒倒してしまったが、貴族として結婚は避けられない。
だが恋愛小説を読んでも気持ち悪くなるほど事態が深刻なのを見て、幼馴染のポーリーンは弟のアーロンを犬だと思って接して男性に慣れろと提案する。
「え? 無理よそんなの」
「クローディア、犬好きでしょ? アーロンは犬。ね、この子のことは犬だと思うのよ! はい決定!」
「面白そう!僕、幼馴染をお休みして犬になるよ!」
いくら幼馴染でも久しぶりに会う、しかも侯爵令息を犬扱いは······と戸惑うクローディアをよそに、アーロンは何故か大喜びで犬耳帽を被り、遠吠えしたり庭に駆け出したりと犬道を邁進。
クローディアはおっかなびっくりながらもアーロンを散歩に連れ出しおやつを与えて、男性に慣れるべく努力する。
訓練の末ようやく改善の兆しが見られたある日、クローディアの前に男性恐怖症の原因になった公爵家のザカライヤ様が迫ってくるようになって······。
※作中に男性恐怖症という表現が出てきますが、定義・克服法など当方の理解が足りずご不快な思いをさせてしまうかもしれません。予めご了承の上でお読みになるかのご判断をお願いします。

転移したらダンジョンの下層だった
Gai
ファンタジー
交通事故で死んでしまった坂崎総助は本来なら自分が生きていた世界とは別世界の一般家庭に転生できるはずだったが神側の都合により異世界にあるダンジョンの下層に飛ばされることになった。
もちろん総助を転生させる転生神は出来る限りの援助をした。
そして総助は援助を受け取るとダンジョンの下層に転移してそこからとりあえずダンジョンを冒険して地上を目指すといった物語です。

元捨て子の新米王子様、今日もお仕事頑張ります!
藤なごみ
ファンタジー
簡易説明
転生前も転生後も捨て子として育てられた少年が、大きく成長する物語です
詳細説明
生まれた直後に病院に遺棄されるという運命を背負った少年は、様々な境遇の子どもが集まった孤児院で成長していった。
そして孤児院を退寮後に働いていたのだが、本人が気が付かないうちに就寝中に病気で亡くなってしまいす。
そして再び少年が目を覚ますと、前世の記憶を持ったまま全く別の世界で新たな生を受ける事に。
しかし、ここでも再び少年は生後直ぐに遺棄される運命を辿って行く事になります。
赤ん坊となった少年は、果たして家族と再会する事が出来るのか。
色々な視点が出てきて読みにくいと思いますがご了承ください。
家族の絆、血のつながりのある絆、血のつながらない絆とかを書いて行く予定です。
※小説家になろう様でも投稿しております

婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。
ユウ
ファンタジー
辺境伯爵家の次男シオンは八歳の頃から伯爵令嬢のサンドラと婚約していた。
我儘で少し夢見がちのサンドラは隣国の皇太子殿下に憧れていた。
その為事あるごとに…
「ライルハルト様だったらもっと美しいのに」
「どうして貴方はライルハルト様じゃないの」
隣国の皇太子殿下と比べて罵倒した。
そんな中隣国からライルハルトが留学に来たことで関係は悪化した。
そして社交界では二人が恋仲で悲恋だと噂をされ爪はじきに合うシオンは二人を思って身を引き、騎士団を辞めて国を出ようとするが王命により病弱な第二王女殿下の婚約を望まれる。
生まれつき体が弱く他国に嫁ぐこともできないハズレ姫と呼ばれるリディア王女を献身的に支え続ける中王はシオンを婿養子に望む。
一方サンドラは皇太子殿下に近づくも既に婚約者がいる事に気づき、シオンと復縁を望むのだが…
HOT一位となりました!
皆様ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる