落ちこぼれ魔女のリーサとラスボスのミーニャ

小松広和

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第3章 仲良し3人組

第48話 毒キノコ

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 町での買い物を満喫した私たちは魔王城へと向かっています。最も私はコルクの杖レベル0.3を手に入れただけなんですけどね。

 魔王城への道のりはミーニャさんの能力で瞬く間に帰れる・・・・と思いきや、
「どうせならゆっくり歩いて帰りましょうよ」
とナナカさんが言い出し現在歩行中です。実に時間と体力の無駄ですよね。普段から運動をしていない私にとっては体力の無駄は体に応えます。

 その道すがらナナカさんが何かを発見しました。
「ねえ、この綺麗な色のキノコって食べられるかな?」
「わからん。多分大丈夫だろう」
ミーニャさんの言葉は全く信用できません。
「赤い色だからきっとストロベリー味だよね」
そんなわけないですね。

「よし、帰ったら炊事係に渡すことにしよう」
「ダメです!」
ミーニャさんの常識の無さにも驚かされます。
「どうしたリ-サ。急に大きな声を出して」
「大体に於いて綺麗な色をしたものは毒がある可能性が高いんです!」
「リーサが必死で主張するなんて珍しいな」
毒キノコを食べさせられたら大変ですからね。

「大丈夫なんじゃない? せっかく美味しそうなキノコを大量に見つけたのに」
確かに同じキノコが沢山生えています。
「じゃあ、毒かどうか確かめよう」
ミーニャさんがとんでもないことを言い出しました。
「どうやって確かめるのですか?」
「リーサ、食べてみろ」
「何を言い出すんですか! 絶対に嫌です!」
あまりに予想通りな展開に驚きです。
「生じゃ無理よね~」
「そういう問題じゃないです!」

「仕方ないなあ」
と言いながら、ミーニャさんが辺りをキョロキョロと見ています。
「あいつでいいか」
と言うと前にいたトカゲ型の野生モンスターに小石を投げました。

「ギヤー」
トカゲ型のモンスターがこちらに向かってきます。ミーニャさんを見ても土下座をしないところを見るとレベルの低いモンスターですね。
「ギヤー」
トカゲ型のモンスターは大きな鳴き声を上げ私たちを威嚇しています。

「ほれ、これを食ってみろ」
パク。
「ギヤーギヤーギヤー」
「もがき苦しんでますね」
「やはり毒であったか」
「まだ分からないわよ。人間には無毒でめっちゃ美味しいかもしれないじゃない」
ナナカさん、諦め悪すぎです。

「こっちには紫色のキノコがあるよ。美味しそう」
明らかに毒の色ですよね。
「私ちょうどエコバッグを持ってるから」
「持って帰らないで下さい!」
油断していると毒殺されかねません。

「今度は赤に白い斑点があるキノコ発見」
「それってベニテングダケですよね?」
「毒なの?」
「はっきり毒です!」
「もしかして食べたら巨大化するかもしれないし」
「しません!」

 私たちが魔王城に帰ったときにはもう日が暮れていました。
「ラスボス様、ご無事で何よりです」
「腹が減った。すぐに食事の支度をせい」
「かしこまりました」

「はい、お土産♪」
ナナカさんがエコバッグを差し出したのを見て、私は腕をナナカさんの首に回しこれを阻止しました。この光景は立てこもり犯が人質にするのとほぼ同じです。
「何を言っとるんじゃい!」
「・・・・・・・・」
何とも言えない空気が流れています。
「もう、毒キノコなんて炊事係に渡したらダメじゃない」

「ほう、これはポイズンションビノンですね。珍しいキノコです。早速料理しましょう」
「毒キノコですよね?」
「猛毒です」
「猛毒のキノコを料理してどうするんじゃい!」
「・・・・・・・・」
「毒抜きをすれば大丈夫です。美味しくいただけますよ」
「え? そうなんですか? あらやだ私ったら」
命惜しさにとんでもない言葉遣いをしてしまいました。人間土壇場に追い込まれると何をやらかすかわかりませんからね。

 そして実食。
「とっても美味しいです」
何でしょう、この味覚。今までに食べたことのない味です。まるで体が宙に浮いていくような。天に召されていくような。

 は!
「毒入ってないですよね?」
「大丈夫です。しっかり毒抜きをしましたから」
みんなの言葉が信じられなくなっている私なのでした。
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