3 / 50
第1章 運命の出会い
第3話 クロシッポの実力
しおりを挟む
翌朝目覚めるとすでにお日様が顔を出していました。どうやら無事に夜を過ごせたようです。一応、端っことは言え村の敷地内に寝ておりましたのでモンスターに襲われる可能性は低かったのですが、これほどの美人が無防備な状態で寝ているのに誰一人として声をかけてくる男性がいないというのはどういうことでしょうか?
あっ! 今『これほどの美人』と言いましたが、これはあくまで私の基準です。もしかして美人の基準が高い方からすると『どこが美人だ?』と評価されるかもしれません。
私はふと思い出し、慌てて自分の周りをキョロキョロと探します。クロシッポがいました。私が寝ている間に逃げていかなかったようです。懐いてくれたのでしょうか? 私は思わずクロシッポを持ち上げ頬ずりをします。ペチペチペチ。またシッポの先で往復ビンタを食らいました。まだ懐いていないようですね。
さて、朝食にしましょう。15ブロンズだとパン一切れしか買えません。こうなると私に与えられた選択肢は二つです。まず一つは森に生えている自然いっぱいの植物を採集して食べること、そしてもう一つは適当なモンスターを倒して朝食代を稼ぐことです。当然私は後者を選びます。ここは異世界。何が食べられて何が毒なのかさっぱり見当が付きません。私の知り合いの女性は空腹のあまりそこらに生えている木の実を食べて毛むくじゃらになりました。これはちょっと怖いです。
森に入って数歩。早速出てきました。ブルースライムにオオモグランにクレイジーバッファローです。ん? クレイジーバッファロー!? これはまずいです。とても私の勝てる相手ではありません。最も私の実力ではオオモグランの時点で怪しいのですが・・・・
早速大声を出して逃げることにします。
「キャー!」
どうしたことでしょう? モンスター達は全く動じません。こうなったら実力で逃げることにします。
・・・・回り込まれてしまいました。クレイジーバッファローが太い腕を大きく振り上げます。私のHPはわずか250です。クレイジーバッファローのパンチ力は300を超えます。もうダメですね。どうすることもできません。私は覚悟を決めてゆっくりと目を閉じました。
「キュピピー!」
突然クロシッポが大きな鳴き声を上げたかと思いましたら、空が真っ黒な雲に覆われ強烈な雷がモンスター目掛けて落ちました。どういうことでしょう。三匹のモンスターが目の前で倒れているではありませんか。
「ええっと-」
「キュピ」
どうやらクロシッポが最弱モンスターという噂は間違っていたようです。腰を抜かして座り込んでいる私にクロシッポが甘えてきました。もう二度とクロシッポを倒して宿代を稼ごうなどとは考えないことにします。本当にごめんなさい。
今日の朝食は豪華になりそうです。何しろクレイジーバッファローを倒したのですから。ただこの子を連れてお店に入ることはできません。仕方ないので最後の手段に出ることにしました。
「ねえ、クロシッポちゃん。私の首に巻き付いてくれる?」
「キュピ」
「いらっしゃいませ」
私はすました顔で店に入っていきます。
「何になさいますか?」
「モーニングを一つ」
本当はコース料理が食べられるくらいのお金を手に入れたのですが、貧乏生活が身についた私にそのような豪華な料理を頼む勇気はありません。
「ところでその首に巻いている黒い毛の塊は何ですか?」
「勿論マフラーですわ。それがどうかいたしまして?」
「今は夏ですけど」
「私は極度の寒がりなんです」
そう言ったもののとても暑いです。クロシッポも暑いのか首から離れようとしています。マフラーがクロシッポであることがばれたら朝食が食べられなくなります。私は必死で暑さに耐えながら朝食を急いで食べ終えると慌てて店から出ました。何か食い逃げをしている気分です。
鞄屋さんの前を通り過ぎようとしたとき、クロシッポが激しく鳴き出しました。
そうか! よく考えたらお店や宿屋に入る時は大きめの鞄にクロシッポを入れておけばいいのですね。どこか抜けている私でした。
あっ! 今『これほどの美人』と言いましたが、これはあくまで私の基準です。もしかして美人の基準が高い方からすると『どこが美人だ?』と評価されるかもしれません。
私はふと思い出し、慌てて自分の周りをキョロキョロと探します。クロシッポがいました。私が寝ている間に逃げていかなかったようです。懐いてくれたのでしょうか? 私は思わずクロシッポを持ち上げ頬ずりをします。ペチペチペチ。またシッポの先で往復ビンタを食らいました。まだ懐いていないようですね。
さて、朝食にしましょう。15ブロンズだとパン一切れしか買えません。こうなると私に与えられた選択肢は二つです。まず一つは森に生えている自然いっぱいの植物を採集して食べること、そしてもう一つは適当なモンスターを倒して朝食代を稼ぐことです。当然私は後者を選びます。ここは異世界。何が食べられて何が毒なのかさっぱり見当が付きません。私の知り合いの女性は空腹のあまりそこらに生えている木の実を食べて毛むくじゃらになりました。これはちょっと怖いです。
森に入って数歩。早速出てきました。ブルースライムにオオモグランにクレイジーバッファローです。ん? クレイジーバッファロー!? これはまずいです。とても私の勝てる相手ではありません。最も私の実力ではオオモグランの時点で怪しいのですが・・・・
早速大声を出して逃げることにします。
「キャー!」
どうしたことでしょう? モンスター達は全く動じません。こうなったら実力で逃げることにします。
・・・・回り込まれてしまいました。クレイジーバッファローが太い腕を大きく振り上げます。私のHPはわずか250です。クレイジーバッファローのパンチ力は300を超えます。もうダメですね。どうすることもできません。私は覚悟を決めてゆっくりと目を閉じました。
「キュピピー!」
突然クロシッポが大きな鳴き声を上げたかと思いましたら、空が真っ黒な雲に覆われ強烈な雷がモンスター目掛けて落ちました。どういうことでしょう。三匹のモンスターが目の前で倒れているではありませんか。
「ええっと-」
「キュピ」
どうやらクロシッポが最弱モンスターという噂は間違っていたようです。腰を抜かして座り込んでいる私にクロシッポが甘えてきました。もう二度とクロシッポを倒して宿代を稼ごうなどとは考えないことにします。本当にごめんなさい。
今日の朝食は豪華になりそうです。何しろクレイジーバッファローを倒したのですから。ただこの子を連れてお店に入ることはできません。仕方ないので最後の手段に出ることにしました。
「ねえ、クロシッポちゃん。私の首に巻き付いてくれる?」
「キュピ」
「いらっしゃいませ」
私はすました顔で店に入っていきます。
「何になさいますか?」
「モーニングを一つ」
本当はコース料理が食べられるくらいのお金を手に入れたのですが、貧乏生活が身についた私にそのような豪華な料理を頼む勇気はありません。
「ところでその首に巻いている黒い毛の塊は何ですか?」
「勿論マフラーですわ。それがどうかいたしまして?」
「今は夏ですけど」
「私は極度の寒がりなんです」
そう言ったもののとても暑いです。クロシッポも暑いのか首から離れようとしています。マフラーがクロシッポであることがばれたら朝食が食べられなくなります。私は必死で暑さに耐えながら朝食を急いで食べ終えると慌てて店から出ました。何か食い逃げをしている気分です。
鞄屋さんの前を通り過ぎようとしたとき、クロシッポが激しく鳴き出しました。
そうか! よく考えたらお店や宿屋に入る時は大きめの鞄にクロシッポを入れておけばいいのですね。どこか抜けている私でした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
魔帝戦記
愛山雄町
ファンタジー
魔帝。それは八人の魔を司る王、すなわち魔王を統べる至高の存在。
強靭な肉体、卓越した武術、他を圧倒する魔力、絶対的な防御力……神の祝福を受けた勇者以外に傷つけることはできず、人族からは最強の魔族として恐れられている。
派遣社員、真柄(まつか)嵐人(らんと)はその魔帝として、グレン大陸の中央に位置するグラント帝国の帝都に召喚された。
しかし、ラントに与えられた能力は歴代の魔帝が持っていた能力のごく一部、それも個人の戦闘力に全く関与しない“情報閲覧”と“自動翻訳”のみ。
あまりの弱さに部下の中にはあからさまに侮蔑する者もいる。
その頃、勇者を有する人族側も神の啓示を受け、“人類の敵”、魔帝を討つための軍を興していた。
チート能力もなく、日本人のごく平均的な肉体しか持たない彼は、自身の知識と魔帝の権威を最大限に利用し、生き残るために足掻くことを決意する。
しかし、帝国は個々の戦士の能力は高いものの、組織としての体を成していなかった。
危機的な状況に絶望しそうになるが、彼は前線で指揮を執ると宣言。そして、勇者率いる大軍勢に果敢にも挑んでいく……。
■■■
異世界転移物です。
配下の能力を上げることもできませんし、途中で能力が覚醒して最強に至ることもありません。最後まで自分の持っていた知識と能力だけで戦っていきます。
ヒロインはいますが、戦争と内政が主となる予定です。
お酒の話はちょっとだけ出てくる予定ですが、ドリーム・ライフほど酒に依存はしない予定です。(あくまで予定です)
■■■
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも公開しています。
■■■
2022.2.14 タイトル変更しました。
「魔帝戦記~常勝無敗の最弱皇帝(仮)~」→「魔帝戦記」
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる