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第3章 未来への旅立ち
第26話 初めての悪事
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俺達はピンク色のエレベーターの前に立った。やはりボタンがない。ドアに触れればいいのだろうか? いやそんなにうまくはずがない。しかし、今まではそのパターンだったではないか。いやいや、それでは流れ的に単純すぎる。俺のここに来てからの運を考えると、こんな流れでエレベーターに乗れるはずがない。ストーリー的にもここらで一工夫入れてくるところだ。じゃあ、どうしたらエレベーターに乗れるというのだ?
「もう、何してるのよ!」
胡桃がエレベーターに手を伸ばすとスーッとドアが開いた。何の工夫もないんかーい!
ドアが閉まると同時に再びドアが開いた。誰か乗り損なったのか? しかし、誰も乗ってこない。俺はエレベーターから顔を出して辺りをキョロキョロと見回した。誰もいない。
俺は再びエレベーター内に戻ろうとしてとんでもないことを発見をする。
ドアが閉まる前と明らかに違う景色が目の前に広がっているのだ。あの短い時間でエレベーターが移動したというのか? まるでテレポーテーションつまり瞬間移動だ。何の移動感覚もなかったぞ。
「どうしたの? 早く行くわよ」
「もう着いたようだ」
俺の言葉に胡桃がエレベーターの外に顔を出す。
「嘘でしょ? さっきと違う階に来てるわ」
今度は胡桃の言葉で萌がエレベーターから飛び出した。
「本当だ。さっきとは別の光景よね」
「どうやら低い階に行くのを選んだようね」
胡桃は周りを警戒しながら言った。
「どうしてわかるんだ」
「だって一瞬でドアが開いたじゃない。あんな短時間に上の階まで行けるわけないわ」
「なるほど」
萌が感心したように頷いた。
やがてエレベーターのドア部分に大きく下向きの矢印が現れた。このエレベーターはこれ以上、上に行く気はないようだ。俺たちは矢印の指示に従ってエレベーターを降りた。
ちょうど俺達の前に大きな窓がある。胡桃がその窓に近づくと驚きの声を上げた。
「信じられないことだけど」
「どうしたんだ?」
胡桃の声で俺と萌も窓の方に移動する。
窓から見える地面は遙か遠くにあった。俺の知る限りこの高さはビルの20階に相当するだろう。まさか瞬時に20階もの高さまで移動したというのか。絶対に無理だ。
「どういう仕組みになってるんだ?」
「わからないけど私達の知っている物理法則では理解できないことが起きてるってことよね?」
俺と胡桃は腕組みをして考え込んでいると、萌が脳天気な声で話しかけてきた。
「ねえ、あそこにレストランみたいな所があるよ。行ってみよう」
俺達の眼前に広がっているのは町そのものだった。車はないものの道路に家が並んでいる。家は俺たちが見慣れた物から、三角形や球体といった物まである。天井には雲の映像が映し出され、少しずつ動いているのがわかる。今は夏なのだろうか。ミンミン蝉の鳴き声が聞こえている。
「あの六角形の家がレストランだよ! 看板に食べ物の絵が描いてあるもの」
萌がウキウキした口調で言うと、
「正確には正十二面体ね」
と胡桃が難癖を付けた。
「そんなのどうだっていいじゃない。それよりあのレストランに入ろう?」
「お金もないのにどうするのよ」
「いざとなれば皿でも洗えばいいじゃない。行こう」
一緒に行動して分かったことだが、萌はかなり我が儘だ。『もう歩けない』と言った辺りから薄々感じていたことだが、見た目の可愛さで周りの男どもが甘やかしてきたからできあがった性格かもなの知れない。
萌は店に入っていくと中から手招きをした。
「仕方ねえ、行くぞ」
「行くってお金どうするのよ」
「皿でも洗うさ」
俺が店に入ると胡桃もしぶしぶ後を付いてきた。胡桃は正義感が強い。よくこんな悪事の塊のような計画に付いてきたものだ。空腹には勝てないと言うことか。
「ねえ、美味しそうな物ばかりだよ。どれにしようかな?」
席に着くと早速メニューを見て萌が言う。
「どうせ前科一犯になるのならとびっきり美味しい物を食べないとな」
俺は一番豪華そうな品を選んでやった。これで悔いはない。さあ、どうにでもなれってんだ!
「お前らも決めたか?」
俺は二人に聞いた。
「決まったよ」
萌はもう決まっているようだ。問題はもう一人なのだが。
「ちょっと待って」
胡桃は意外と優柔不断なところがある。こういう時にさっと決められないのだ。
「早くしろよ。何か俺たち目立ってるぞ」
「分かったわよ」
なぜかは分からないが、周りの客が俺たちをじろじろ見てくる。それは無銭飲食をしようとしているのは確かだ。しかし、不審な行動はまだしていないつもりなのだが。
「これにするわ」
胡桃が注文の品を選び終えると呼んでもいないのにロボットがこちらにやってきた。
「★○◎※$%&?」
俺たちは何もしゃべらずメニューに載っている料理を指差した。
「ねえ、この店って誰もお金払わずに出てくよ」
萌がとんでもない発見をする。
「そんなバカな」
「だって、ほら」
確かに客はレジに進むことなく店を出て行く。カードを出す様子もない。というかレジらしきものが見あたらない。
「どういうことだ?」
「鞄に入ってるカードを勝手に読み取ってるとか?」
やはり胡桃は頭がいい。俺にはこんな発想など絶対にできない。
「そっかー」
萌がやや納得して言った。これはかなり未来の世界と言った感じだ。鞄を開けることなく会計が済まされるなんて凄い!
「顔認識かもしれないわよ」
萌が胡桃に対抗するかのように言った。こちらも凄いシステムだ。この世界ならあり得る。
どちらにしても便利だ。これは俺達の世界に帰ったら絶対導入すべきシステムだ。俺が感心していると料理が運ばれてきた。勿論ロボットが運んでくる。
出てきた料理はどれも絶品だった。今までに食べたこともない味だ。空腹だということもあり、とにかく美味しい。出された食事を全て平らげると、次の行動を考えねばならなかった。言葉で『お金はありません』と言っても分かってもらえるはずがない。走って店を出れば目立ってしまう。というわけで普通に歩いて店を出ることにした。もし捕まったら皿を洗うことにしよう。
俺たちは緊張感たっぷりに席を立つと出口に向かった。いつ声をかけられるかと思うとついつい早歩きになってしまう。
そしていよいよ緊張の瞬間がやってくる。俺達はついに店を出たのだ。なぜか誰も声をかけてこない。
「やっぱり無料の店だったのよ」
萌がどや顔で言う。
「そんなバカなことってあると思ってるの?」
胡桃の声はやや大きめだ。ただでさえ目立ち気味なのに大きな声はやめてくれ。
「もう、何してるのよ!」
胡桃がエレベーターに手を伸ばすとスーッとドアが開いた。何の工夫もないんかーい!
ドアが閉まると同時に再びドアが開いた。誰か乗り損なったのか? しかし、誰も乗ってこない。俺はエレベーターから顔を出して辺りをキョロキョロと見回した。誰もいない。
俺は再びエレベーター内に戻ろうとしてとんでもないことを発見をする。
ドアが閉まる前と明らかに違う景色が目の前に広がっているのだ。あの短い時間でエレベーターが移動したというのか? まるでテレポーテーションつまり瞬間移動だ。何の移動感覚もなかったぞ。
「どうしたの? 早く行くわよ」
「もう着いたようだ」
俺の言葉に胡桃がエレベーターの外に顔を出す。
「嘘でしょ? さっきと違う階に来てるわ」
今度は胡桃の言葉で萌がエレベーターから飛び出した。
「本当だ。さっきとは別の光景よね」
「どうやら低い階に行くのを選んだようね」
胡桃は周りを警戒しながら言った。
「どうしてわかるんだ」
「だって一瞬でドアが開いたじゃない。あんな短時間に上の階まで行けるわけないわ」
「なるほど」
萌が感心したように頷いた。
やがてエレベーターのドア部分に大きく下向きの矢印が現れた。このエレベーターはこれ以上、上に行く気はないようだ。俺たちは矢印の指示に従ってエレベーターを降りた。
ちょうど俺達の前に大きな窓がある。胡桃がその窓に近づくと驚きの声を上げた。
「信じられないことだけど」
「どうしたんだ?」
胡桃の声で俺と萌も窓の方に移動する。
窓から見える地面は遙か遠くにあった。俺の知る限りこの高さはビルの20階に相当するだろう。まさか瞬時に20階もの高さまで移動したというのか。絶対に無理だ。
「どういう仕組みになってるんだ?」
「わからないけど私達の知っている物理法則では理解できないことが起きてるってことよね?」
俺と胡桃は腕組みをして考え込んでいると、萌が脳天気な声で話しかけてきた。
「ねえ、あそこにレストランみたいな所があるよ。行ってみよう」
俺達の眼前に広がっているのは町そのものだった。車はないものの道路に家が並んでいる。家は俺たちが見慣れた物から、三角形や球体といった物まである。天井には雲の映像が映し出され、少しずつ動いているのがわかる。今は夏なのだろうか。ミンミン蝉の鳴き声が聞こえている。
「あの六角形の家がレストランだよ! 看板に食べ物の絵が描いてあるもの」
萌がウキウキした口調で言うと、
「正確には正十二面体ね」
と胡桃が難癖を付けた。
「そんなのどうだっていいじゃない。それよりあのレストランに入ろう?」
「お金もないのにどうするのよ」
「いざとなれば皿でも洗えばいいじゃない。行こう」
一緒に行動して分かったことだが、萌はかなり我が儘だ。『もう歩けない』と言った辺りから薄々感じていたことだが、見た目の可愛さで周りの男どもが甘やかしてきたからできあがった性格かもなの知れない。
萌は店に入っていくと中から手招きをした。
「仕方ねえ、行くぞ」
「行くってお金どうするのよ」
「皿でも洗うさ」
俺が店に入ると胡桃もしぶしぶ後を付いてきた。胡桃は正義感が強い。よくこんな悪事の塊のような計画に付いてきたものだ。空腹には勝てないと言うことか。
「ねえ、美味しそうな物ばかりだよ。どれにしようかな?」
席に着くと早速メニューを見て萌が言う。
「どうせ前科一犯になるのならとびっきり美味しい物を食べないとな」
俺は一番豪華そうな品を選んでやった。これで悔いはない。さあ、どうにでもなれってんだ!
「お前らも決めたか?」
俺は二人に聞いた。
「決まったよ」
萌はもう決まっているようだ。問題はもう一人なのだが。
「ちょっと待って」
胡桃は意外と優柔不断なところがある。こういう時にさっと決められないのだ。
「早くしろよ。何か俺たち目立ってるぞ」
「分かったわよ」
なぜかは分からないが、周りの客が俺たちをじろじろ見てくる。それは無銭飲食をしようとしているのは確かだ。しかし、不審な行動はまだしていないつもりなのだが。
「これにするわ」
胡桃が注文の品を選び終えると呼んでもいないのにロボットがこちらにやってきた。
「★○◎※$%&?」
俺たちは何もしゃべらずメニューに載っている料理を指差した。
「ねえ、この店って誰もお金払わずに出てくよ」
萌がとんでもない発見をする。
「そんなバカな」
「だって、ほら」
確かに客はレジに進むことなく店を出て行く。カードを出す様子もない。というかレジらしきものが見あたらない。
「どういうことだ?」
「鞄に入ってるカードを勝手に読み取ってるとか?」
やはり胡桃は頭がいい。俺にはこんな発想など絶対にできない。
「そっかー」
萌がやや納得して言った。これはかなり未来の世界と言った感じだ。鞄を開けることなく会計が済まされるなんて凄い!
「顔認識かもしれないわよ」
萌が胡桃に対抗するかのように言った。こちらも凄いシステムだ。この世界ならあり得る。
どちらにしても便利だ。これは俺達の世界に帰ったら絶対導入すべきシステムだ。俺が感心していると料理が運ばれてきた。勿論ロボットが運んでくる。
出てきた料理はどれも絶品だった。今までに食べたこともない味だ。空腹だということもあり、とにかく美味しい。出された食事を全て平らげると、次の行動を考えねばならなかった。言葉で『お金はありません』と言っても分かってもらえるはずがない。走って店を出れば目立ってしまう。というわけで普通に歩いて店を出ることにした。もし捕まったら皿を洗うことにしよう。
俺たちは緊張感たっぷりに席を立つと出口に向かった。いつ声をかけられるかと思うとついつい早歩きになってしまう。
そしていよいよ緊張の瞬間がやってくる。俺達はついに店を出たのだ。なぜか誰も声をかけてこない。
「やっぱり無料の店だったのよ」
萌がどや顔で言う。
「そんなバカなことってあると思ってるの?」
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