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第25話 どうしたの琉生?
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楽しい時間は早く過ぎ去るもの。もう帰る時間になっちゃったよ。
「もう夕方なんて信じられないよ」
私は大きな声で言った。
「確かに今日は時間が早く過ぎた気がするな」
琉生も同じ感覚のようだ。
「こんなに楽しいのなら、また来たいな」
草壁君が私を見ながら言ってくれた。これってもう一度デートしようってことだよね? 瘤付きかも知れないけど。草壁君とデートできるのならそれでもいいかな。
「草壁君、少しは柚衣を彼女にする気になった?」
沙耶ちゃんが突然とんでもない質問をする。まあ、嬉しいんだけど。でも否定されるに決まってるんだから聞いても無駄だよね。それよりわかっていても否定されるのは辛いかも?
「今は分からないけど、前向きに考えてみるよ」
え!? 今なんて言いました? なんかとても素敵な言葉を聞いてしまったような。私はそっと自分の頬をつねってみた。痛い!
「柚衣ちゃん~、希望が出てきたね~」
「ありがとう、野乃葉ちゃん。何だか嬉しい」
野乃葉ちゃんも聞いてるんだから、私の空耳じゃないよね? この理想的な展開は何? もしかして今日で一生分の運を使い果たしてる?
帰りのバスの中で私は意識しすぎるあまり草壁君に何も話せなかった。せっかくチャンスを掴みかけてるのにしっかりしろ私! そして、私達は待ち合わせ場所だった駅前で解散した。ダメダメな私だ。
家に向かいかけた私は琉生に呼び止められた。
「柚衣、ちょっと話があるんだけど」
「どうしたの? 深刻な顔しちゃって」
私達は近くの公園のベンチで話すことにした。
「お前さあ、本当に草壁のことが好きなのか?」
「もちろん大好き!」
「あいつのどこがいいんだ?」
「とてもいい人なとこ」
「確かにいい奴なんだが・・・・」
琉生の声が急に小さくなる。
「何が言いたいの?」
「学校中の女子に恨まれるぞ」
「それでもいいの。みんなの宝を奪ったようなものだから恨まれるのは仕方ないと思ってる。と言っても草壁君が付き合ってくれたらだけど」
「そうか」
「それに私には沙耶ちゃんや野乃葉ちゃんがいるから平気」
琉生は地面をじっと見つめている。
やがて顔を上げると全く別の話題を振ってきた。
「春野野乃葉って凄いな。最後まで自分が弁当を作ったこと言わなかった」
「気付いてたの?」
「ああ、俺も最初は騙されてたが、卵焼きを食べたあたりからおかしいと思ってたんだ」
「どういうこと?」
「あれだけの料理を作るのは何とかできても、休みの日に朝早起きするのはお前には無理だ」
見抜かれてる!
分が悪くなってきた私は慌てて話を本線に戻す。
「それで? 話って何?」
「う~ん、何て言うか」
「私に言いたいことがあるんでしょう?」
「分かった。はっきり言う」
「何?」
「草壁と付き合うのはやめろよ!」
私の周りから一瞬音が消えた。何言ってるのこの人?
「もう夕方なんて信じられないよ」
私は大きな声で言った。
「確かに今日は時間が早く過ぎた気がするな」
琉生も同じ感覚のようだ。
「こんなに楽しいのなら、また来たいな」
草壁君が私を見ながら言ってくれた。これってもう一度デートしようってことだよね? 瘤付きかも知れないけど。草壁君とデートできるのならそれでもいいかな。
「草壁君、少しは柚衣を彼女にする気になった?」
沙耶ちゃんが突然とんでもない質問をする。まあ、嬉しいんだけど。でも否定されるに決まってるんだから聞いても無駄だよね。それよりわかっていても否定されるのは辛いかも?
「今は分からないけど、前向きに考えてみるよ」
え!? 今なんて言いました? なんかとても素敵な言葉を聞いてしまったような。私はそっと自分の頬をつねってみた。痛い!
「柚衣ちゃん~、希望が出てきたね~」
「ありがとう、野乃葉ちゃん。何だか嬉しい」
野乃葉ちゃんも聞いてるんだから、私の空耳じゃないよね? この理想的な展開は何? もしかして今日で一生分の運を使い果たしてる?
帰りのバスの中で私は意識しすぎるあまり草壁君に何も話せなかった。せっかくチャンスを掴みかけてるのにしっかりしろ私! そして、私達は待ち合わせ場所だった駅前で解散した。ダメダメな私だ。
家に向かいかけた私は琉生に呼び止められた。
「柚衣、ちょっと話があるんだけど」
「どうしたの? 深刻な顔しちゃって」
私達は近くの公園のベンチで話すことにした。
「お前さあ、本当に草壁のことが好きなのか?」
「もちろん大好き!」
「あいつのどこがいいんだ?」
「とてもいい人なとこ」
「確かにいい奴なんだが・・・・」
琉生の声が急に小さくなる。
「何が言いたいの?」
「学校中の女子に恨まれるぞ」
「それでもいいの。みんなの宝を奪ったようなものだから恨まれるのは仕方ないと思ってる。と言っても草壁君が付き合ってくれたらだけど」
「そうか」
「それに私には沙耶ちゃんや野乃葉ちゃんがいるから平気」
琉生は地面をじっと見つめている。
やがて顔を上げると全く別の話題を振ってきた。
「春野野乃葉って凄いな。最後まで自分が弁当を作ったこと言わなかった」
「気付いてたの?」
「ああ、俺も最初は騙されてたが、卵焼きを食べたあたりからおかしいと思ってたんだ」
「どういうこと?」
「あれだけの料理を作るのは何とかできても、休みの日に朝早起きするのはお前には無理だ」
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分が悪くなってきた私は慌てて話を本線に戻す。
「それで? 話って何?」
「う~ん、何て言うか」
「私に言いたいことがあるんでしょう?」
「分かった。はっきり言う」
「何?」
「草壁と付き合うのはやめろよ!」
私の周りから一瞬音が消えた。何言ってるのこの人?
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