告白作戦っ!

小松広和

文字の大きさ
上 下
20 / 41

第20話 次はコーヒーカップだ

しおりを挟む
「早速カップルができたね」
草壁君が笑いながら言う。
「笑い事じゃねぇ」
「ねえ私のこと嫌い~??」
「嫌いじゃないが好きでもねぇ! てか酔っ払ってるのか? 春野?」
ようやくショックから立ち直った私が琉生に追い打ちをかける。
「琉生、良かったじゃない。可愛い彼女ができて」
「おい・・・・」

 野乃葉ちゃんは美人と言うよりは可愛いタイプだ。ていうかなんで琉生は私を睨んでくるの? こわっ!
「じゃあ、次に進もうか」
沙耶ちゃんが、また仕切り始めた。
「次はどこに行くの?」
「コーヒーカップ」
「今度はまた可愛い乗り物に行くのね?」
紗椰ちゃんの意図がわからない私は素直な疑問をぶつけてみた。ジェットコースターの後のコーヒーカップは落差が凄い。

「可愛いもんですか。いい? 乗ったら思いっきり回転させるのよ」
「何で?」
「二人で恐怖体験をするため」
「恐怖体験?」
「言ったじゃない。同じ恐怖体験を共にしたら恋愛感情が芽生えるの。これを吊り橋効果って言うの」
「よくわかんないけど、わかった!」

 私たちがコーヒーカップの場所に着くと草壁君が聞いてきた。
「これに乗るの?」
「コーヒーカップやメリーゴーランドは女の子の夢なの。付き合ってよね」
「もちろん、いいけど」
草壁君は笑顔で答える。何ていい人なんだろう。常に笑顔でいられるなんて凄い。凄すぎる。

「いい加減に腕を放せよ!」
「嫌なの~」
「まだ腕つないでたの?」
私はビックリして思わず聞いてしまった。
「柚衣! この状況を見て何も感じないのかよ」
「別に」
「この薄情者!」
「何で私が薄情者なのよ!」

「春野さんてもっと消極的な人だと思ってたんだけど」
草壁君が言ったので私は慌てて話を続けた。
「私もこんな野乃葉ちゃんを見るのは初めて」
「そうなんだ」
「そうなの。きっと酔っ払ってるんだね」
私草壁君と普通の会話をしているよ。今までも少しは会話したけどあれは特別な会話。今日は本当の普通の会話。草壁君との距離が縮まった気がする。

「仕方ない。中園君と野乃葉は一緒に乗りなさい。そうなると、草壁君と柚衣が一緒ね。で私が一人っと」
「一人じゃかわいそうだから僕たちいっしょに乗ろうよ」
草壁君の優しい余計な一言。
「私は一人で乗るのが好きなの」
沙耶ちゃん、ありがとう。私のために・・・・一人でコーヒーカップって虚しいよね。

「おい、同じ方向に乗るなよ。バランスが悪いじゃねえか」
声の方を見ると、野乃葉ちゃんが琉生にぴったりくっついて乗っている。ちょっぴり羨ましい気も・・・・。ってなに考えてんだ私??

「あの二人すっかり仲良しだね」
草壁君の爽やかな声。
「うん、ちょっとビックリ」
私は意識しておしとやかな声で答える。
「彼氏を取られて大丈夫?」
「彼氏じゃないって!」
・・・・草壁君に大きな声出しちゃった。さっきのおしとやかな声が台無しだよ。

「ごめんなさい。急に大きな声出して」
「そんなこと気にしなくていいよ」
「でも草壁君に嫌われたくないし」
「嫌われるも何も僕たち友達同士じゃないか」
グサッ! 痛恨の一撃!

 そうだよね。恋人同士じゃないんだよね。わかってた。でも直接言われるとこんなに応えるんだ。私は胸を押さえて俯いた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます

結城芙由奈 
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います <子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。> 両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。 ※ 本編完結済。他視点での話、継続中。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています ※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

ニンジャマスター・ダイヤ

竹井ゴールド
キャラ文芸
 沖縄県の手塚島で育った母子家庭の手塚大也は実母の死によって、東京の遠縁の大鳥家に引き取られる事となった。  大鳥家は大鳥コンツェルンの創業一族で、裏では日本を陰から守る政府機関・大鳥忍軍を率いる忍者一族だった。  沖縄県の手塚島で忍者の修行をして育った大也は東京に出て、忍者の争いに否応なく巻き込まれるのだった。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

処理中です...