どうして、ただの女子高生が魔王と戦うことになるわけ!?

小松広和

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第三章 魔王退治

第五十三話 見たことのないモンスター

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 私達は暗い雰囲気のまま今日の宿に入った。
「どうして呪いの剣が取れないの?」
「お笑いの頂点に立ったのにね」
アイラは慰めるように言った。
「その内いい方法が見つかるさ」
勇者様もどことなく暗い。
「さあ、背中を拭きましょうね。ルンルン」
約一名はいつもより明るい気もするけど。

 翌朝、勇者様がある決心を語った。
「今の私達のレベルは、アイラが魔女レベル71、サラが武道家レベル82、クレアが僧侶レベル75、そして私が勇者レベル83だ。この戦力でゾーチャと戦った場合、全力を出しても勝てるかどうかと言った感じだ。麗華ちゃんをカバーしながらではとても勝てない」
「申し訳ありませんですの」
「と言うわけで今回はゾーチャと戦いを避け、先に西を守るコーチャと戦うことにしよう。移動距離もあるからみんなのレベルと麗華ちゃんの剣も何とかなるだろう」

 何かみなさんに迷惑をかけてばかりだけど、命拾いをしたことに違いないよね。私ってついてるかも。
「それは良くない選択だ」
やはり言い出したか。
「ゾーチャを早く倒し・・・・」
キラリ!
「麗華! どうして剣を構えているんだい? 僕はよりよい・・・・」
キラリ!
「まさかその剣で切りつけたりはしないよね?」
キラリ!
「・・・・今回は事情も事情だから仕方がないかもしれないね」

 ということで私達は西へと向かって進むことにした。
「ゾーチャの支配圏から早く抜けることにしよう。今の状態でゾーチャに出会ったら大変だ。一刻も早く西へ行くためにはこの深い森を抜けるのが最善のルートらしい」
「大丈夫? ゾーチャ以外の強いモンスターがいそうだけど」
アイラが心配そうに言った。
「ゾーチャより強いモンスターはこの辺りにはいないだろう」

 進むこと二時間。かなり森の奥へと入ってきた。すると急に辺りが暗くなったかと思うと見たこともない大きなモヌターが現れた。
「こんな森の奥に冒険者が来るなんて久しぶりだね」
「このモンスターって何て言うモンスターですか?」
「うむ、初めて見るモンスターだ」
「辞書に載っています」
「ええっと、ゾーチャ・・・・ええーーー!」

「丁度、体がなまっていたところよ。相手をしてあげるわ。感謝しなさい」
「みんな戦闘態勢に入って! 麗華ちゃんは後方で守りに入るんだ!」
もしかして私ここでやられちゃうのかな?

「行くわよ」
麗華の先制攻撃。
「ようお」
ゾーチャは笑い転げている。
「え? これって。よし全力で攻撃だ!」
麗華の攻撃。
「これは一本取られましたな」
ゾーチャは笑い転げている。

 ゾーチャは倒れた。あああああは13000の経験値を得た。アイラは12358の経験値を得た。サラは14563の経験値を得た。クレアは8956の経験値を得た。麗華は23596の経験値を得た。
「嘘!? ゾーチャに勝っちゃった」
「信じられないが勝ったようだな」
「でも私生きてますよ」
「それはゾーチャは笑ってばかりで一回も攻撃してこなかったからね」

 ピロロロン。
「やったー。レベルが上がった! ええっと。凄いです。レベル30にまで上がりました」
「やったな。麗華ちゃん」
「でもどうして私が一番経験値を貰うことができたのでしょうか?」
「それは貢献度だよ」
ポチが説明した。
「ゾーチャを倒した一番のポイントは笑っていて攻撃できなかったからだ。だから笑わせた麗華が一番の功労者になったわけさ」
「そうか。嬉しい!」
それでも剣は手から離れませんでした。
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