どうして、ただの女子高生が魔王と戦うことになるわけ!?

小松広和

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第三章 魔王退治

第五十一話 漫才してみました

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「今年の夏は暑いですね」
「本当に暑いですな」
「ですからみんなに言ってあげました」
「なんて言いましたん?」
「ヒャダルコってね」
「凍ってまうわ!」
「キャー! 麗華さん、呪いの剣を持ってツッコミを入れたら危ないですよ!」
「あっ! そうか。ごめんなさい」

「ダメだわ」
アイラがぼそりと言った。
「クレアを相方に選んだ時点で終わってるんじゃねえか?」
「それは言えてるわね」

 私にお笑いなんて無理なんだわ。でも長老が、
『一流のお笑い芸人にならないとこの剣は外れんぞ。残された道は一つ。異世界最大のお笑いイベントであるエムイチに出場してチャンピオンになるんじゃ』
って言ってたんだよね。だいたいテレビもないこの異世界でエムイチって存在するわけ?

「麗華ちゃん、私にお笑いは無理です」
早速クレアがリタイアを表明してきた。私もそう思うけど。
「何でクレアを相方に選んだんだ?」
「クレアさんなら優しいから強いツッコミをしてこないかと」
「ツッコミは麗華の方だろ?」
「え? 漫才ってツッコむ人が決まってるんですか?」
「基本からわかってなかったか」
サラは頭を抱えている。

「私思うんだけど」
今度がアイラが意見を述べてきた。嫌な予感がする。
「麗華ちゃんてどう考えてもツッコミよりはボケよね」
「確かに」
「麗華ちゃんがボケでサラがツッコミでやってみたら?」
ええーー! これって私が面白いことを言わなければいけないってこと? 絶対に無理だよ。
「仕方ねえな。やってやるよ」
サラは指をボキボキ鳴らし肩を大きく回している。

 もしかして私がボケた後サラさんが私の頭をどつくの? 手加減を知らないサラさんのことだから私死んじゃうよ!
「今年の夏は暑いよなあ」
「・・・・・・」
「いつもの年より暑いと思わないか?」
「・・・・・・」

「何で喋らないんだ?」
「何も言わなかったらツッコまれることもないかなって?」
「それじゃあ、漫才にならないだろうが!」
「だって・・・・」
「とにかくやるぞ!」
「一つお願いがあるんですけど」
「何だ?」
「剣道の面を付けてもいいですか?」
「なんでやねん!」
「わー! 呪いの剣で防御したら危ねえだろうが!」

 みんなが笑い転げている。
「アドリブ完璧だわ」
もう私は真剣に言ってるのに!
「やっぱり麗華ちゃんはボケが似合うな」
勇者様まで! でもこれだけみんなにウケてるのに剣が手から離れないよ。どんなレベルでやらなければいけないの?

「麗華ちゃん。エムイチは来週この近くで開かれるそうだ。長老から広告のビラを貰ったんだ」
「じゃあ、来週まで私の食事とかはどうなるのでしょうか?」
「大丈夫ですよ。私に全てを任せてください」
「クレアさん、何だか嬉しそうですね?」
「私は人の世話をするのが大好きなんです」
鼻歌を歌いながら鞄からおむつを取り出すクレアであった。
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