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第三章 魔王退治
第五十話 森の長老
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「あのう。私、両手が使えなくなったんですけど・・・・。このままではお風呂はおろか食事もできません。勇者様何とかしてください!!!」
かなり必死な私。このままでは人生が終わってしまう。
「大丈夫ですよ。私が食べさせてあげますから」
「でも、トイレとか・・・・」
「安心してください。おむつを買ってきましょう」
ダメだ。このままでは本当に終わってしまう。まさかこの年で介護される側になるなんて。
「でも、確かに何とかした方が良さそうだな。呪いのかかった武器の中には徐々に体の中に呪いが浸透していって絶対に取れなくなる物もある」
「ひえーーーー!!」
勇者様、真剣な顔でそんなこと言わないで!
「町の人に一番近くにある教会を聞いてみよう」
勇者様はいろんな人に教会の場所を聞いてくれた。
「ここから一番近い教会ねえ。南に行ったところに大聖堂があるな。三日も歩けば着くさ」
「もっと近くにはありませんか?」
「ないね。ただ、この近くの森の奥に元大賢者だった百五十歳を超える長老が一人で暮らしている。その人なら何とかなるんじゃないかな?」
「行ってみるか?」
「はい」
『はい』とは言ったものの気になることが多すぎる。元大賢者って現役じゃないんだよね。本当に百五十歳だとしたら耳が聞きづらくて聞き間違うとか、前にこれで酷い目に遭ったことがあるし。森の奥に一人で住んでいるのも気になる。
キラースコーピオンが現れた。
「ようお」
キラースコーピオンは笑い転げている。
「その技本気で使えるよな。あの強いキラースコーピオンが攻撃してこなくなるんだぜ」
サラは必死で笑いをこらえている。早くこの状態を何とかしなくてはと改めて思う私だった。
「あそこに小さな家があるぞ」
「きっと長老の家ですね」
『どうか変なお爺さんじゃありませんように』
勇者様がドアをノックしても返事がない。留守なのかしら?
ガチャ。ドアに鍵はかかっていないようだ。
「入りますよ」
勇者様が家に入ると老人がベッドに横たわっていた。
「お爺さん」
返事がない。
「どうしたんだ?」
「ちょっと私に見させてください」
クレアが老人の手首に触れた。
「脈がありません」
「こんな森の奥に一人で暮らしていたんだ。具合が悪くなっても誰にも助けを求められなかったんだろう」
「ばあ!」
「きゃー」
全員が声を上げて飛び退いた。
「どうじゃ。わしの死んだふりは凄いじゃろう。なにしろ脈も止められるのだからな」
変なお爺ちゃんだったー! とっさに関わらない方が賢明だと悟った私はゆっくりと出口に向かった。
「お嬢ちゃん!」
呼び止められてしまった。
「珍しい剣を持っておるな?」
「この剣を知っているのですか?」
「それはコメディアンの剣と言ってな。その剣を持った者を一流のコメディアンにしようとする剣なのじゃ」
「道理で面白い技ばかりするはずだ」
サラはこれまた笑いをこらえている。
「この剣を手から離す方法はありますか?」
「無理じゃな。コメディアンの剣には強力な呪いがかかっておる。この先にある大聖堂でも難しいじゃろ」
「ええーー! じゃあ、私は一生このままですか?」
「方法がないわけではない」
「本当ですか? 教えてください」
もう藁をも掴む心境よ!
「コメディアンの剣が『こいつはもう一人前のコメディアンだ』と思ったら自然と手から離れていく」
無理だ。真剣終わったかも? 私は絶望のあまりめまいを起こすのだった。
かなり必死な私。このままでは人生が終わってしまう。
「大丈夫ですよ。私が食べさせてあげますから」
「でも、トイレとか・・・・」
「安心してください。おむつを買ってきましょう」
ダメだ。このままでは本当に終わってしまう。まさかこの年で介護される側になるなんて。
「でも、確かに何とかした方が良さそうだな。呪いのかかった武器の中には徐々に体の中に呪いが浸透していって絶対に取れなくなる物もある」
「ひえーーーー!!」
勇者様、真剣な顔でそんなこと言わないで!
「町の人に一番近くにある教会を聞いてみよう」
勇者様はいろんな人に教会の場所を聞いてくれた。
「ここから一番近い教会ねえ。南に行ったところに大聖堂があるな。三日も歩けば着くさ」
「もっと近くにはありませんか?」
「ないね。ただ、この近くの森の奥に元大賢者だった百五十歳を超える長老が一人で暮らしている。その人なら何とかなるんじゃないかな?」
「行ってみるか?」
「はい」
『はい』とは言ったものの気になることが多すぎる。元大賢者って現役じゃないんだよね。本当に百五十歳だとしたら耳が聞きづらくて聞き間違うとか、前にこれで酷い目に遭ったことがあるし。森の奥に一人で住んでいるのも気になる。
キラースコーピオンが現れた。
「ようお」
キラースコーピオンは笑い転げている。
「その技本気で使えるよな。あの強いキラースコーピオンが攻撃してこなくなるんだぜ」
サラは必死で笑いをこらえている。早くこの状態を何とかしなくてはと改めて思う私だった。
「あそこに小さな家があるぞ」
「きっと長老の家ですね」
『どうか変なお爺さんじゃありませんように』
勇者様がドアをノックしても返事がない。留守なのかしら?
ガチャ。ドアに鍵はかかっていないようだ。
「入りますよ」
勇者様が家に入ると老人がベッドに横たわっていた。
「お爺さん」
返事がない。
「どうしたんだ?」
「ちょっと私に見させてください」
クレアが老人の手首に触れた。
「脈がありません」
「こんな森の奥に一人で暮らしていたんだ。具合が悪くなっても誰にも助けを求められなかったんだろう」
「ばあ!」
「きゃー」
全員が声を上げて飛び退いた。
「どうじゃ。わしの死んだふりは凄いじゃろう。なにしろ脈も止められるのだからな」
変なお爺ちゃんだったー! とっさに関わらない方が賢明だと悟った私はゆっくりと出口に向かった。
「お嬢ちゃん!」
呼び止められてしまった。
「珍しい剣を持っておるな?」
「この剣を知っているのですか?」
「それはコメディアンの剣と言ってな。その剣を持った者を一流のコメディアンにしようとする剣なのじゃ」
「道理で面白い技ばかりするはずだ」
サラはこれまた笑いをこらえている。
「この剣を手から離す方法はありますか?」
「無理じゃな。コメディアンの剣には強力な呪いがかかっておる。この先にある大聖堂でも難しいじゃろ」
「ええーー! じゃあ、私は一生このままですか?」
「方法がないわけではない」
「本当ですか? 教えてください」
もう藁をも掴む心境よ!
「コメディアンの剣が『こいつはもう一人前のコメディアンだ』と思ったら自然と手から離れていく」
無理だ。真剣終わったかも? 私は絶望のあまりめまいを起こすのだった。
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