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第三章 魔王退治
第四十九話 剣の呪い
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呪いの影響が出始めたのはその日の夕食時だった。
「う! 利き腕が剣で使えない」
「ずっと剣を持ったままですものね」
「もしかして私って服を着替えられないのでは?」
私の素朴な疑問は思った以上に切実な問題だった。
「う! 服が脱げないとお風呂に入れない」
「う! 剣を持ったまま寝ると寝返りを打つ時恐怖だわ」
「う! トイレが・・・・」
「勇者様~。早く教会に連れて行ってください!」
「この町には教会がないから、早く次の町に行くことにしよう」
この刀のデザインが特に酷い。手元に仁王像のような怖い顔が彫られているが、その目が時々赤く光り出すのだ。怖すぎるよ~。
私の剣を見て、
「きゃー!」
と悲鳴を上げて逃げていく女性もいる。
飲食店に入っても。
「な、な、何になさいますか?」
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですって」
「本当ですか? でも今、剣の目が赤く光りましたけど・・・・」
「光るだけですから」
「ふ・ふ・ふ・ふ」
「きゃー!」
剣が笑ったー!! この剣、絶対まともじゃないよね! しかもこのタイミングで笑い出すなんて最低! 私のところからどんどん人が遠ざかっていく。これが剣の呪いなの?
しかし、この剣が本領を発揮のは戦闘時だった。
イケメンアイドルが現れた。麗華の速攻攻撃。麗華は片手を前に伸ばすと片足を上げケンケンと数歩前に進み、
「ようお」
と言う声と共に見得を切った。イケメンアイドルはお腹を抱えて笑い転げている。
そして戦闘終了。
「麗華ちゃん、落ち込むことないよ」
「もう死にたいです」
「モンスターが攻撃してこなくなるなんて凄い技だって」
「サラさん、本気で言ってます?」
よりにもよってこんな呪いだなんて・・・・。女子高生の繰り出す技じゃないよね。恥ずかしくてもう戦えないよ。
だが、これだけで終わる呪いの剣ではなかった。
リクノシュリンプ六体が現れた。麗華の速攻攻撃。麗華は手をハート型になるよう頭へ持って行くと限りなく細い上目使いに下をペロペロと出した。ぽかんと見入っているリクノシュリンプに対し麗華は、
「これは一本取られましたな。はははは」
と高笑いをした。リクノシュリンプ六体は体をピチピチと丸めたり伸ばしたりして笑い転げている。
「私もう終わりました」
「まあまあ、徐々にHPやMPを減らされる呪いに比べたらいいじゃない」
「サラさんもこれやってみます?」
いつになくドスのきいた私の声にサラはそそくさと退散していった。
「こんな剣、力尽くで取ってみせるわ!」
「麗華ちゃん、落ち着いて!」
「あ! 両手が剣から離れなくなっちゃった・・・・」
こうして私は真剣にピンチを迎えたのであった。
「う! 利き腕が剣で使えない」
「ずっと剣を持ったままですものね」
「もしかして私って服を着替えられないのでは?」
私の素朴な疑問は思った以上に切実な問題だった。
「う! 服が脱げないとお風呂に入れない」
「う! 剣を持ったまま寝ると寝返りを打つ時恐怖だわ」
「う! トイレが・・・・」
「勇者様~。早く教会に連れて行ってください!」
「この町には教会がないから、早く次の町に行くことにしよう」
この刀のデザインが特に酷い。手元に仁王像のような怖い顔が彫られているが、その目が時々赤く光り出すのだ。怖すぎるよ~。
私の剣を見て、
「きゃー!」
と悲鳴を上げて逃げていく女性もいる。
飲食店に入っても。
「な、な、何になさいますか?」
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですって」
「本当ですか? でも今、剣の目が赤く光りましたけど・・・・」
「光るだけですから」
「ふ・ふ・ふ・ふ」
「きゃー!」
剣が笑ったー!! この剣、絶対まともじゃないよね! しかもこのタイミングで笑い出すなんて最低! 私のところからどんどん人が遠ざかっていく。これが剣の呪いなの?
しかし、この剣が本領を発揮のは戦闘時だった。
イケメンアイドルが現れた。麗華の速攻攻撃。麗華は片手を前に伸ばすと片足を上げケンケンと数歩前に進み、
「ようお」
と言う声と共に見得を切った。イケメンアイドルはお腹を抱えて笑い転げている。
そして戦闘終了。
「麗華ちゃん、落ち込むことないよ」
「もう死にたいです」
「モンスターが攻撃してこなくなるなんて凄い技だって」
「サラさん、本気で言ってます?」
よりにもよってこんな呪いだなんて・・・・。女子高生の繰り出す技じゃないよね。恥ずかしくてもう戦えないよ。
だが、これだけで終わる呪いの剣ではなかった。
リクノシュリンプ六体が現れた。麗華の速攻攻撃。麗華は手をハート型になるよう頭へ持って行くと限りなく細い上目使いに下をペロペロと出した。ぽかんと見入っているリクノシュリンプに対し麗華は、
「これは一本取られましたな。はははは」
と高笑いをした。リクノシュリンプ六体は体をピチピチと丸めたり伸ばしたりして笑い転げている。
「私もう終わりました」
「まあまあ、徐々にHPやMPを減らされる呪いに比べたらいいじゃない」
「サラさんもこれやってみます?」
いつになくドスのきいた私の声にサラはそそくさと退散していった。
「こんな剣、力尽くで取ってみせるわ!」
「麗華ちゃん、落ち着いて!」
「あ! 両手が剣から離れなくなっちゃった・・・・」
こうして私は真剣にピンチを迎えたのであった。
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