上 下
46 / 68
第三章 魔王退治

第四十六話 ドラゴンを倒せ

しおりを挟む
 私は剣の代わりに木の棒を持っている。何で?
「これはファルカタの棒ですね」
知識豊富なクレアが答えた。
「ファルカタって何ですか?」
「木の種類です」
「ファルカタって木があるんだ」

「この棒を買った時に説明書が付いてたわよ」
アイラが店員から貰った紙を開ける。
「原産地は東南アジアのマルク諸島で非常に柔らかい木ですのでモンスターを強く叩かないでください」
「これって武器ですよね?」
「一応補足しておきますとファルカタの棒の強度はあの有名なヒノキの棒より四十三段階低いです」
「四十三って・・・・」
でも私が装備できる武器ってこれしかなかったんだよね。

「これは強い武器が持てるようにレベルを上げるしかないな」
サラが深く頷きながら言った。
「よし、だったらレベル低めのモンスターを数多く倒そう」
勇者様まで乗り気だ。でも私のために考えてくれてるんだよね。少し嬉しいかも。なぜ少しかというとこれから絶対ハードになるよ。

 で、レベル上げ作戦開始。
「よし、麗華ちゃん今だ!」
「はい!」
ポコ。トロールミニに1のダメージ。トロールミニは頭をポリポリ掻いている。真剣この武器弱いよ。

「なかなかレベル上がらないな」
サラさんがこう言い出した時は危険な気がする。
「やはり強いモンスターを倒して一気にレベルを上げる方がいいのかしら?」
「でも強いモンスターと戦ったらレベルの低い麗華さんは死んでいまいます」
「その時はその時だよ」
やっぱり。
「それもそうですね。運が良ければ生き返るかも知れませんし」
クレアさんまで何言い出すのよ!?
「と言うわけだ。ドラゴン狩りに行くぞ!」
「極端過ぎます!」

「麗華ちゃん、攻撃してすぐ後方に行くんだ!」
「はい!」
ポコ。

 このせこい攻撃を繰り返すこと50回。
「やったー。ホワイトドラゴンを倒したぞ!」
はっきり言ってもうくたくた。これでレベルが上がらなかったらもう知らないんだからね!
「麗華さんもたくさん攻撃をしましたから経験値も多く貰えるはずですね」
ピロロロン。やった-! レベルの上がる音だ。

「どう? 上がった?」
私たちは例の本を覗き込んだ。
「上がってる」
「レベルいくつになった?」
「ええっと・・・・レベル1.1? って小数? レベルって少数単位で上がることもあるの?」

暫くの静寂の後。
「よし、あそこにいるブルードラゴンも倒すぞ!」
「おー!」
「ちょっと待ってください。もしかしてこの生活ってまだまだ続くんですか?」
「それはそうだよ」
サラは笑顔でさらっと答える。
「普通の剣が持てるレベルっていくつくらいなのでしょうか?」
「そうですね。おそらく最低レベル5でしょうか?」
クレアが何の躊躇もなく私の質問に答えた。

「1匹倒して0.1ということはレベル5にするためには・・・・50匹!!」
「頑張りましょう」
「いやだー!」
小さな子どものようにだだをこねる私をみんなが力尽くで引っ張っていくのでした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる

兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

(完)なにも死ぬことないでしょう?

青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。 悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。 若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。 『亭主、元気で留守がいい』ということを。 だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。 ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。 昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。

処理中です...