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第三章 魔王退治
第四十一話 予定変更
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ある日の早朝、私はいつもより早く目覚めてしまった。みんなはまだ寝ているみたい。私はベッドから下りるとそっと窓のカーテンを開けた。窓の外には今まで見たこともない綺麗な朝焼けが広がっている。
「うわー! 凄く綺麗!」
思わず口にする私。こんな光景を見ることができるなんて今日の私って運がいいよね。昨日は持ち前の運の悪さでレベルが下がってしまったけど、今日みたいに幸運に出会えることもあるんだ。
そしてその日の出発前。勇者様が突然提案した。
「麗華ちゃんがレベル低下した。そこで一旦魔王退治を諦めたいと思う」
え? 本当? やったー! 私はみんなに見えないようにガッツポーズをする。
「別にいいけど」
「私もいいわよ」
「特に問題ありません」
みんなも賛成している。今日の運の良さって本物じゃない?
となると、
「ちょっと待ってほしいな。魔王討伐を諦めるなんて正気の沙汰とは思えないね」
問題はこいつだわ。
「だって麗華ちゃんが今のままで魔王と戦ったら確実に死ぬわ」
ありがとうアイラさん。
「そうです。魔王相手なら麗華ちゃんを確実に守れる保証はありません」
クレアさん。何とお礼を言っていいやら。
「君たちの言いたいことはわかるが、もし魔王と戦わないのなら麗華がこの異世界に来た意味がなくなるだろう?」
無理矢理連れてきたくせに。
「しかし、麗華ちゃんの命の方が大事だ」
勇者様まで。私はなんて果報者なんでしょう。
「じゃあ、こうしよう。ここ異世界には魔王城を中心に東西南北の位置を守る四天王がいるんだ」
四天王? いかにも強そうなワードよね。
「その四天王から倒して経験値を稼いで行くってのはどうだい?」
「四天王も強いんでしょ?」
そうだそうだ! アイラさんいいぞー!
「確かに強いが四天王を倒せないようじゃ魔王には勝てないさ」
「麗華ちゃんの身を守るために魔王討伐を避けてるんだから四天王と戦ったら意味ないわよね? あああああ?」
今日のアイラさん素敵! 私の身を案じてくれる優しい勇者様が四天王と戦うなんて言うはずないわよ。
「うむ・・・・」
うむ? 何で即答しないの?
「確かに四天王と戦うのは魅力的だ」
ええーーー! どういうこと?
「今の私達の実力を試す上でも四天王討伐はいいかもしれないな」
ちょっと勇者様?
「そうだろ? 絶対やるべきだ。そしてレベルが上がったら魔王を退治しよう」
「わかった。四天王討伐に目標を切り替えるか!」
ええーーー!!! 私はどうなるの? レベルが下がった私を守るための変更だよね?
「ねえ、あああああ」
そうだ。アイラさんがいたんだ。今日のアイラさんは私の味方だもんね。
「倒すならどの四天王からにするの?」
ああ! アイラさんまで私の存在を忘れてるー!
「まずはここから一番近い南のゾーチャがいいね。四人の中では一番弱いし」
「わかったポチの指示に従おう」
「おー!」
みんなで盛り上がってるんですけど。
「ねえ、勇者様? 私はどうなりますか?」
取り敢えず探りを入れてみた。
「よし南に向かうわよ!」
「この町でたくさん薬草を買っておきましょう」
「久しぶりに腕が鳴るぜ!」
全く私の言葉が全く聞こえてないんですけどー。
またしても大きな試練を突きつけられる私なのでした。とほほほほ・・・・。
「うわー! 凄く綺麗!」
思わず口にする私。こんな光景を見ることができるなんて今日の私って運がいいよね。昨日は持ち前の運の悪さでレベルが下がってしまったけど、今日みたいに幸運に出会えることもあるんだ。
そしてその日の出発前。勇者様が突然提案した。
「麗華ちゃんがレベル低下した。そこで一旦魔王退治を諦めたいと思う」
え? 本当? やったー! 私はみんなに見えないようにガッツポーズをする。
「別にいいけど」
「私もいいわよ」
「特に問題ありません」
みんなも賛成している。今日の運の良さって本物じゃない?
となると、
「ちょっと待ってほしいな。魔王討伐を諦めるなんて正気の沙汰とは思えないね」
問題はこいつだわ。
「だって麗華ちゃんが今のままで魔王と戦ったら確実に死ぬわ」
ありがとうアイラさん。
「そうです。魔王相手なら麗華ちゃんを確実に守れる保証はありません」
クレアさん。何とお礼を言っていいやら。
「君たちの言いたいことはわかるが、もし魔王と戦わないのなら麗華がこの異世界に来た意味がなくなるだろう?」
無理矢理連れてきたくせに。
「しかし、麗華ちゃんの命の方が大事だ」
勇者様まで。私はなんて果報者なんでしょう。
「じゃあ、こうしよう。ここ異世界には魔王城を中心に東西南北の位置を守る四天王がいるんだ」
四天王? いかにも強そうなワードよね。
「その四天王から倒して経験値を稼いで行くってのはどうだい?」
「四天王も強いんでしょ?」
そうだそうだ! アイラさんいいぞー!
「確かに強いが四天王を倒せないようじゃ魔王には勝てないさ」
「麗華ちゃんの身を守るために魔王討伐を避けてるんだから四天王と戦ったら意味ないわよね? あああああ?」
今日のアイラさん素敵! 私の身を案じてくれる優しい勇者様が四天王と戦うなんて言うはずないわよ。
「うむ・・・・」
うむ? 何で即答しないの?
「確かに四天王と戦うのは魅力的だ」
ええーーー! どういうこと?
「今の私達の実力を試す上でも四天王討伐はいいかもしれないな」
ちょっと勇者様?
「そうだろ? 絶対やるべきだ。そしてレベルが上がったら魔王を退治しよう」
「わかった。四天王討伐に目標を切り替えるか!」
ええーーー!!! 私はどうなるの? レベルが下がった私を守るための変更だよね?
「ねえ、あああああ」
そうだ。アイラさんがいたんだ。今日のアイラさんは私の味方だもんね。
「倒すならどの四天王からにするの?」
ああ! アイラさんまで私の存在を忘れてるー!
「まずはここから一番近い南のゾーチャがいいね。四人の中では一番弱いし」
「わかったポチの指示に従おう」
「おー!」
みんなで盛り上がってるんですけど。
「ねえ、勇者様? 私はどうなりますか?」
取り敢えず探りを入れてみた。
「よし南に向かうわよ!」
「この町でたくさん薬草を買っておきましょう」
「久しぶりに腕が鳴るぜ!」
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