39 / 68
第三章 魔王退治
第三十九話 ポチの弱点
しおりを挟む
「キャー!」
「誰だ悲鳴を上げたには? 大丈夫か!?」
勇者様はそう言うと悲鳴が聞こえた隣の部屋に飛び込んでいった。かっこいい!
隣の部屋にはアイラとサラそしてポチがいた。
「さっきの悲鳴ってアイラさん? サラさんじゃないよね?」
「麗華、どういう意味だ?」
「あ! いえ何となく」
「詳しく理由を聞こうじゃないか?」
「ごめんなさーい。じゃあ、サラさんなんですか?」
「いや違う」
「そうですよね? やっぱりアイラさんですよね?」
「麗華、やっぱり話がある」
アイラはにっこり笑って衝撃的なことを口にした。
「さっきの悲鳴はポチよ」
「嘘でしょ!? メチャ可愛い悲鳴だったけど・・・・」
ポチはそっぽを向いて口笛を吹いている。猫って口笛が吹けたんだ。
「ポチって男の子だよね?」
私は恐る恐る聞いてみた。
「ああ、僕は確かに男だ。それがどうかしたかい?」
「さっきの悲鳴って女性の悲鳴だよね?」
「それは聞き違いだ。人間予期せぬことに遭遇した場合、一時的に周波数が700ヘルツにまで上がる時があるんだ。それを君たちが聞いて高い周波数の声だったと勘違いした可能性が考えられる。でも実際には高い声の部分は最初の一瞬だけだったと思うよ」
「え? え? え?」
頭がこんがらがった私に勇者様が助け船を出す。
「どうして悲鳴を上げたんだ?」
「それは遭遇したくないものに遭遇してしまったからさ」
ん? もしかしてポチの苦手なものってこと?
「何に遭遇したの?」
「それは言えないね」
ポチの弱点を聞き出せるチャンスだったのに残念。
「あのタンスの隅に何かがいたんだ」
「サラ! 言っちゃ駄目だ!」
タンスの隅? まさか猫なのに鼠が怖いなんて落ちじゃないわよね。
「もしかしてポチって鼠が怖いの?」
「そんなはずがないよ。僕の格好を見て欲しいな」
それはそうだよね。
「でもさっき居たのって鼠だったような?」
アイラが疑いの目でポチを見る。
「違うね。もし疑うんなら魔法で鼠を出してごらんよ」
「わかったわ」
アイラが杖を振ると一匹の鼠が姿を現した。
「キャー!」
これは私の声。
「ね。大丈夫だろ?」
ポチが余裕の表情で鼠を見ている。やっぱり鼠じゃなかったんだ。
「おかしいわね?」
アイラは次々と鼠を出すがポチは一向に動じない。
「アイラさん、お願いだから出した鼠を消してから次の鼠を出して!」
足元にうじゃうじゃいる鼠を見て私が言った。私はどちらかというと鼠が苦手だ。可愛い気もするけど。
「麗華は鼠が怖いんだね?」
「別に怖くはないわよ」
「そうだね。鼠は国民的アイドルになったり世界的アイドルになったりしているからね。みんなの人気者だし」
「それってピカチュ〇やミッキー〇ウスのこと?」
「もちろんだ」
その時事態を一変する出来事が起こった。
「あ、さっきの鼠よ!」
「キャー!!!」
「え? ポチどうして?」
「僕は白いハツカネズミのオスだけは苦手なんだ!」
何て限定的なの? 見ただけでオスかメスかがわかるなんて特殊能力よね。
これ以降ハツカネズミのオスの写真を持ち歩くようになった私であった。今度私に変な服を着せようとしたらこれを見せてやるんだから。
「誰だ悲鳴を上げたには? 大丈夫か!?」
勇者様はそう言うと悲鳴が聞こえた隣の部屋に飛び込んでいった。かっこいい!
隣の部屋にはアイラとサラそしてポチがいた。
「さっきの悲鳴ってアイラさん? サラさんじゃないよね?」
「麗華、どういう意味だ?」
「あ! いえ何となく」
「詳しく理由を聞こうじゃないか?」
「ごめんなさーい。じゃあ、サラさんなんですか?」
「いや違う」
「そうですよね? やっぱりアイラさんですよね?」
「麗華、やっぱり話がある」
アイラはにっこり笑って衝撃的なことを口にした。
「さっきの悲鳴はポチよ」
「嘘でしょ!? メチャ可愛い悲鳴だったけど・・・・」
ポチはそっぽを向いて口笛を吹いている。猫って口笛が吹けたんだ。
「ポチって男の子だよね?」
私は恐る恐る聞いてみた。
「ああ、僕は確かに男だ。それがどうかしたかい?」
「さっきの悲鳴って女性の悲鳴だよね?」
「それは聞き違いだ。人間予期せぬことに遭遇した場合、一時的に周波数が700ヘルツにまで上がる時があるんだ。それを君たちが聞いて高い周波数の声だったと勘違いした可能性が考えられる。でも実際には高い声の部分は最初の一瞬だけだったと思うよ」
「え? え? え?」
頭がこんがらがった私に勇者様が助け船を出す。
「どうして悲鳴を上げたんだ?」
「それは遭遇したくないものに遭遇してしまったからさ」
ん? もしかしてポチの苦手なものってこと?
「何に遭遇したの?」
「それは言えないね」
ポチの弱点を聞き出せるチャンスだったのに残念。
「あのタンスの隅に何かがいたんだ」
「サラ! 言っちゃ駄目だ!」
タンスの隅? まさか猫なのに鼠が怖いなんて落ちじゃないわよね。
「もしかしてポチって鼠が怖いの?」
「そんなはずがないよ。僕の格好を見て欲しいな」
それはそうだよね。
「でもさっき居たのって鼠だったような?」
アイラが疑いの目でポチを見る。
「違うね。もし疑うんなら魔法で鼠を出してごらんよ」
「わかったわ」
アイラが杖を振ると一匹の鼠が姿を現した。
「キャー!」
これは私の声。
「ね。大丈夫だろ?」
ポチが余裕の表情で鼠を見ている。やっぱり鼠じゃなかったんだ。
「おかしいわね?」
アイラは次々と鼠を出すがポチは一向に動じない。
「アイラさん、お願いだから出した鼠を消してから次の鼠を出して!」
足元にうじゃうじゃいる鼠を見て私が言った。私はどちらかというと鼠が苦手だ。可愛い気もするけど。
「麗華は鼠が怖いんだね?」
「別に怖くはないわよ」
「そうだね。鼠は国民的アイドルになったり世界的アイドルになったりしているからね。みんなの人気者だし」
「それってピカチュ〇やミッキー〇ウスのこと?」
「もちろんだ」
その時事態を一変する出来事が起こった。
「あ、さっきの鼠よ!」
「キャー!!!」
「え? ポチどうして?」
「僕は白いハツカネズミのオスだけは苦手なんだ!」
何て限定的なの? 見ただけでオスかメスかがわかるなんて特殊能力よね。
これ以降ハツカネズミのオスの写真を持ち歩くようになった私であった。今度私に変な服を着せようとしたらこれを見せてやるんだから。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
(完)なにも死ぬことないでしょう?
青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。
悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。
若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。
『亭主、元気で留守がいい』ということを。
だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。
ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。
昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる