どうして、ただの女子高生が魔王と戦うことになるわけ!?

小松広和

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第三章 魔王退治

第三十六話 魔王退治に向けて

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 私達のパーティーは森の中にある広場にいた。森の中でも木が少ない場所だ。でもどうしてこの場所を選んだのかな?
「ここなら大丈夫だ。今から魔王戦に向けて訓練をする」
勇者様がかっこよく言った。何を言っても様になる人って素敵だよねー。

 あれ? 今訓練って言った? 何をするんだろう。
「まずアイラとクレア。サラと麗華ちゃんの組み合わせで行く。本気で戦ってくれ」
「ちょっとちょっとちょっと待って。本気で戦うってどういう意味ですか?」
私は慌てて勇者様に詰め寄った。

「訓練だよ。相手を魔王だと思って戦いの練習をするんだ」
「いや、それはそれでいいんですけど。本気でって言いました?」
「本気で戦わないと訓練にならないからね」
「ええっと。私とサラさんでは勝負にならないというか・・・・」
「死にたくないと思ったとき人は覚醒するからね」
「死にたくないって・・・・」
サラさんが本気で攻撃してきたら私なんて瞬殺だよ。

「これってハンディが貰えるんですよね」
「ハンディー?」
「例えば剣道の防具を着けていいとか」
「そんな物はないよ」
「ええー! ないですか?」
「まあ、どこまでやれるか戦ってみるといいよ。ははははは」
ははははじゃないって。私は必死なんだからね。

「よし! やるぞー!」
サラが張り切って長い棒を振り回している。あれは本気の目だ。
「麗華。容赦しないから覚悟しとけよ」
何か生き生きしてるんですけどー!

「勇者様。お願いがあります」
「どうしたんだい?」
「せめて組み合わせ変えてくれませんか?」
「組み合わせを?」
「はい、私クレアさんと戦ってみたいです」
クレアさんなら回復系の僧侶だし大丈夫よね。

「クレア、いいかい?」
「もちろん、いいですわ」
やったー! 何とか助かったー。

「それではクレアと麗華ちゃん。始め!」
「よろしくお願いしますね」
「お、お願いします」
どうせ攻撃しまくっても次々に回復されてきりがないのよね。狙いはMPがなくなるのを根気よく待つこと。どんどん攻撃しまくるためにも先手必勝だわ。

「えい!」
「死への招待!」
「え?」

「次の者、こちらへ来い」
「わ、私?」
「生前で犯した罪を全て答えよ」
「生前って・・・・」
「嘘をつくと舌を抜くことになっておる。正直に答えるのじゃ」

「麗華ちゃん、大丈夫?」
「え? わたしどうしたの?」
「クレアの死の呪文で死んでたんだよ」
「死んでた!」
「でもこの森には銀河樹の木があるのさ。この木の樹液を飲むと死んだ人を蘇生させることができるんだ。もう大丈夫かい?」
「ありがとうございます。大丈夫です」
本当に瞬殺されてたんだ。てことはさっきのって閻魔大王? 本当にいたんだ。

「じゃあ、次の組み合わせを発表する。サラとアイラ。私と麗華ちゃんだ」
「ええーーー!!!」
全然大丈夫じゃなかったー!! 私は慌てて銀河樹の樹液を集めまくるのだった。
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