どうして、ただの女子高生が魔王と戦うことになるわけ!?

小松広和

文字の大きさ
上 下
32 / 68
第二章 旅立ち

第三十二話 最終決戦

しおりを挟む
 物凄いオーラを纏った魔王が私の前にいる。遂にここまで来てしまったのね。
「よくここまで来られたな。大したものだ」
「あなたが魔王ね。覚悟しなさい」
「言葉には気を付けた方がいいぞ」
「ふん、私には強い味方がいるの。絶対に負けないわよ」

「なかなか強気な娘だ。ところでその強い味方というのはそこで死んでいる者達のことか?」
「え?」
私は慌てて振り返ると、仲間のみんなが横たわっている。
「ええーーー!!! クレアさん! サラさん! アイラさん! 勇者様!!」
「これでわかったか? この私と戦おうなど10万年早いのだ」

 私は勇者様を抱き上げて泣いた。
「次はお前の番だ。覚悟はいいな」
「きゃーーーー」
「だが、助けてあげてもいいぞ」
「え?」

「どうだ。私の所で働く気はないか?」
「どういうことですか?」
突然の魔王の提案に私は戸惑った。

「私の下で働くなら命は助けてやろうと言っているのだ」
「え? 何で?」
「お前は私好みの容姿をしている。長年狙っていたのだ」
嘘? 私ってそんなに可愛いかなぁ? 何て言ってる場合じゃない!

「もし、私の提案に応じたならば世界の1000万分の1をお前にやろう」
「・・・・・・・・」
「どうした?」
「あのう、少なくないですか?」
「バカを言え、お前はレベル15の踊り子だぞ。これでも多い方だ」
言われてみればそうかも?

「働くってどうすればいいのですか?」
「メイドをすればいい」
「メイド・・・・」
「そう、この服を着て俺の世話をするのだ」
魔王が指さすとフリルがたっぷり付いたメイド服が出てきた。

「お断りします」
「うん? フリルが足りなかったか?」
「そういう問題じゃありません!」
「いいのか? 断るとこいつらと同じ運命をたどることになるぞ?」
「う!」
私は迷った。こんな恥ずかしい服を毎日着るのはきつすぎる。でも死にたくもない。

「言い忘れていたが一ヶ月に一回水着デーもある」
「絶対お断りします!!」
「では仕方ない。死んで貰うとするか」

 その時、かっこいいイケメンボイスが聞こえた。
「その娘に手出しはさせない!」
「お前は誰だ!」
「私は美少女の味方。かっこいい仮面だ」
このダサいネーミングは何? 私の脳裏に一抹の不安がよぎる。

「いいか魔王! この娘に指一本触れさせないから覚悟しろ!」
「ぎゃーーー」
かっこいい仮面が倒れた。
 弱すぎだよ!

「さあ、どうする? 私と戦う道を選ぶか?」
「うう。わかりました。メイドをします。でも、水着デーだけはお許しください」
私は死にたくない一心でプライドを捨てた。みんなもこの状況ならプライドを捨てるよね?
「よく言った」

「麗華。これで安心だね」
「ポチ」
「ポチも良くやってくれた。これで欲しいものを手に入れることができたぞ」
「え? どういうこと?」
「私がポチに頼んでお前をここに連れてきて貰ったのだ」
「えええええええーーーーーーー!!!!!!!」

 そして私はこの小説を読んでくださってる皆さんの予想通り目を覚ました。
「やあ、おはよう麗華」
「おはようポチ。ちょっとこっちに来て」
「どうしたんだい?」
私はポチを抱き上げると自分の膝の上に置いた。

「麗華、どうして僕の毛を抜くんだい? 何で突然はさみを手にしたんだい? 髭はダメだ! 切らないで!」
とんでもない悪夢を見てしまった私は何の罪もないポチに八つ当たりするのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

処理中です...