どうして、ただの女子高生が魔王と戦うことになるわけ!?

小松広和

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第二章 旅立ち

第二十九話 貴重なモンスター

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 貧乏神MAXの攻撃。
「キャー!」
麗華は後ろを向いてしゃがんだ。貧乏神MAXは大きな壺を叩いてしまい痛さのあまりのたうち回っている。

 この壺のおかげで随分助かっているような。
「凄いね。麗華ちゃん。最近防御が完璧だね」
アイラが褒めてくれた。
「完璧だなんて、偶然です」
どう返事をしていいのかわからないので一応謙遜しておいた。それにしてもこの壺って硬いよね。強烈なモンスターに叩かれても壊れないんだから。

「今日はいい気分ですね」
クレアさんがいつもの笑顔で話しかけてくれる。クレアさんのおかげで重い壺も軽くなったし、今の私って結構最高かも。

「さっきの村で引き受けたクエストはこの先に住む貴重なモンスター、バッドバットを倒して目玉を持ち帰ることだ」
「バッドバット?」
「因みに英語で書くとbadbatになる」
「悪いコウモリという意味ですね」
『さすがクレアさん。知識が豊富!』と言おうと思ったが、よく考えたら中学校で習う単語だったので言うのを止めた。

「何それ?」
サラさんは頭を使うのが苦手のようだ。でも怒らせるといけないので私は何も言わない。
「サラはバカだな。そんなの義務教育で習う単語だよ」
「何だと! このくそ猫!」
また言ってはいけないことを・・・・。サラさんが長い棒を振り回してポチをおいかけて行く。ポチへの日頃の恨みを考えるとこれはこれでいいか。サラさんの棒がクリーンヒット。ポチが大空高く飛んでいく。やっぱし。

 その時、
「いたぞ!」
と勇者様が声を上げる。その声に反応してみんなが身構えるが、これが何ともかっこいい。私も真似て身構えてみるが何か変なんだよね。

「出たなバットバッド。成敗してやるから覚悟しな!」
「バッドバットだよ。サラは本当に無知だね」
「何復活してるんだよ! このくそ猫!」
またしてもポチが大空に飛んでいく。 

 バッドバットの攻撃。麗華は後ろを向いてしゃがんだ。バッドバットは壺を叩いてもがき苦しんでいる。

『やったー。作戦成功!』
バッドバットはまやかしの超音波を出した。麗華は喜びの舞を舞い始めた。
「あれ? 私何してるの? 体が勝手に動くよ」
「麗華ちゃん、大丈夫か? 君はモンスターの超音波で操られているんだ」
「えー!」

バッドバットはまやかしの超音波を出した。麗華は盆踊りを踊り始めた。
「麗華ちゃん。うまいうまい」
「サラさん、からかわないでください」

バッドバットはまやかしの超音波を出した。麗華は腹踊りを踊り始めた。
「プー!」
「誰? 吹き出したの? お願い見ないで!」
「とてもお上手ですね」
「クレアさん。感心してないで助けてよ」

バッドバットはまやかしの超音波を出した。麗華はセクシーなダンスを踊り始めた。
「いやー!」
「へー、麗華もこんな踊りを踊れるんだ」
「アイラさん、何言ってるんですか?」
「とてもセクシーですよ」
「クレアさん、何とかしてください。恥ずかしいです」
「そうだな。何とかしないと麗華ちゃんが可哀想だな。服を脱ぎ始めてるし」

「ちょっと待ってよ。これはとても貴重なシーンだ。もう少し様子を見た方がいいよ」
「ポチ! 突然復帰して何言い出すのよ!」
私が投げたポチはバッドバットと共に大空へ消えていった。

「何とかなりました」
私が笑顔で言うと勇者様は、
「目玉取れなかったね」
と小さな声で言った。
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