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第二章 旅立ち
第二十八話 私もうダメです
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果てしなく続く砂漠を私達は彷徨い歩いていた。もう何時間歩いただろうか。容赦なく降り注ぐ太陽の日差しが私の体力を奪っていく。そして背中の壺が重い・・・・
「あのう、この砂漠ってどれくらい続くんですか?」
あまりの辛さに思わず聞いてしまった。
「もう抜ける頃だと思うんだが」
「本当ですか!?」
勇者様の言葉に露骨に喜ぶ私。
「どうやら進む方向を間違ってしまったようだ」
「ええー!」
大きな声を上げた私をみんなが一斉に見た。
「もしかして迷ってるんですか?」
「まあ、そういうことだな」
「もしかしてまだまだ歩き続けなければいけないってことですか?」
「ああ、たぶん」
「もしかしてこの炎天下を歩き続けるんですか?」
「日が沈むまでにここを抜けたいからね」
終わったわ。私もう一歩も歩けないよ。
「少しだけ、少しだけ休憩したりはしませんか?」
「休みたいのはやまやまだが、先を急いだ方が賢明だな」
もう完全に詰みね。きっと暫く歩いて私は倒れるんだわ。
気が朦朧としてきた。そうだ水を飲まなきゃ。
カラ!
ええ! 水がない。もう全部飲んじゃったの? 誰かに貰わなきゃ。でも、みんなも水少ないよね。水頂戴なんて言えないよう。
「麗華ちゃん大丈夫? とても辛そうだけど」
「だ、大丈夫です」
どうして嘘ついちゃうんだろう。もう! 倒れそうなのに。この性格直さなきゃ。
あっ! 目の前にオアシスがある。やったー! 助かった。死なずにすんだよ。私は思わず走り出した。
「麗華ちゃん! どこに行くの?」
バタン。あれ? オアシスの泉に飛び込んだはずが砂しかないよう。
「麗華ちゃん。大丈夫?」
みんなが慌てて駆け寄ってきてくれた。
「せっかくオアシスを見つけたのに消えちゃった」
「オアシス? そんなものないよ」
サラさんが不思議な顔で言った。
「え? 幻だったの?」
「もしかして幻覚を見ていたのですか?」
クレアさんが心配そうな顔で優しく尋ねてくれた。
「はい、喉が渇きすぎて」
「そう言えば顔が真っ赤ですね。ではお水を差し上げましょう」
「でも、私が飲んじゃったらクレアさんの水がなくなっちゃうから」
「大丈夫ですよ。水なら魔法でいくらでも出せますから」
「え?」
「アクア」
クレアさんが杖を振って呪文を唱えると杖の先から水が噴き出してきた。
「こんな便利な魔法があったんかい!」
「え?」
みんなが一斉に私を見る。私は慌てて手で口を塞いだ。
「今の麗華ちゃんが言ったんだよね?」
サラさんが小さな声で言う。
「ち、違うんです」
「麗華ちゃんがこんな言葉を使うなんて以外だなあ」
勇者様の一言が胸に刺さる。ああ、勘違いされるよー。
「こ、これは、その、文化祭で友達とコントをする予定だったので、ツッコミを入れる練習をしていまして・・・・」
「文化祭でコント? 変わった学校だね?」
「そ、そうかなあ?」
まずい変なこと言っちゃった。
「私、関西出身だから大阪の学校は文化祭にコントをするんです」
思いっきり東京出身である。
「へえ、そうなんだ」
何とか誤魔化せたかな? 興奮すると地が出る癖を何ときゃしなきゃ。基本私って人前で飾っちゃうタイプだもんね。これではダメだわ。
「僕は麗華を東京でスカウトし・・・・」
私は今までに見たこともないスピードでポチを掴むと大空目掛けて放り投げた。
「今、東京って言ってなかった?」
アイラがぼそりと言う。
「やだ、気のせいですよ」
「でも確かに・・・・」
「気のせいなんです!」
「はい」
何とか誤魔化せたわね。これって私の目力の勝利だよね。
でも、こんな簡単に水が飲めるんだったら我慢せずにもっと早く言えば良かった。私は遠慮なくガブガブ水を飲んだ。しかもこの水ってお店で売ってる高い水と同じ味だ。美味しい!
「よほど喉が渇いていたんですね」
「ありがとうございました。生き返った気分です」
「喜んで貰えて嬉しいです」
満面の笑みで答えるクレアさん。とてもいい人なんだけど。
「もっとたくさん飲めるように水を汲んでおきますね。入れ物は? そうだ。背中の壺に入れておけばいいのですね」
ズシリ。重い、重すぎる。
「これでストローを挿して口元まで伸ばせば、いつでも水が飲めますね。たくさん飲めるように壺いっぱいに水を入れておきますからね」
いい人なんだけど、どこか抜けてるような。
ドシン! 私は壺の重さで尻餅をついてしまった。
「大丈夫ですか?」
「ごめんなさい。壺が重すぎて立てません」
私は半泣きで訴えた。ただでさえ重い壺に水をいっぱい入れたら重すぎて立ち上がるの無理だよ。
「もしかして壺が重いのですか?」
「はい、思いっきり重いです」
「では、ライト」
あれ? 壺が軽くなった。というか背負ってないみたい。
「重力を軽減する魔法を掛けました。これで大丈夫ですね」
「はい・・・・」
私は小さく頷いた後、正面を向きなおして叫んだ。
「てか、こんな魔法があるんだったらもっと早く出さんかーい!!!」
もう言い訳すらしない私なのでした。
「あのう、この砂漠ってどれくらい続くんですか?」
あまりの辛さに思わず聞いてしまった。
「もう抜ける頃だと思うんだが」
「本当ですか!?」
勇者様の言葉に露骨に喜ぶ私。
「どうやら進む方向を間違ってしまったようだ」
「ええー!」
大きな声を上げた私をみんなが一斉に見た。
「もしかして迷ってるんですか?」
「まあ、そういうことだな」
「もしかしてまだまだ歩き続けなければいけないってことですか?」
「ああ、たぶん」
「もしかしてこの炎天下を歩き続けるんですか?」
「日が沈むまでにここを抜けたいからね」
終わったわ。私もう一歩も歩けないよ。
「少しだけ、少しだけ休憩したりはしませんか?」
「休みたいのはやまやまだが、先を急いだ方が賢明だな」
もう完全に詰みね。きっと暫く歩いて私は倒れるんだわ。
気が朦朧としてきた。そうだ水を飲まなきゃ。
カラ!
ええ! 水がない。もう全部飲んじゃったの? 誰かに貰わなきゃ。でも、みんなも水少ないよね。水頂戴なんて言えないよう。
「麗華ちゃん大丈夫? とても辛そうだけど」
「だ、大丈夫です」
どうして嘘ついちゃうんだろう。もう! 倒れそうなのに。この性格直さなきゃ。
あっ! 目の前にオアシスがある。やったー! 助かった。死なずにすんだよ。私は思わず走り出した。
「麗華ちゃん! どこに行くの?」
バタン。あれ? オアシスの泉に飛び込んだはずが砂しかないよう。
「麗華ちゃん。大丈夫?」
みんなが慌てて駆け寄ってきてくれた。
「せっかくオアシスを見つけたのに消えちゃった」
「オアシス? そんなものないよ」
サラさんが不思議な顔で言った。
「え? 幻だったの?」
「もしかして幻覚を見ていたのですか?」
クレアさんが心配そうな顔で優しく尋ねてくれた。
「はい、喉が渇きすぎて」
「そう言えば顔が真っ赤ですね。ではお水を差し上げましょう」
「でも、私が飲んじゃったらクレアさんの水がなくなっちゃうから」
「大丈夫ですよ。水なら魔法でいくらでも出せますから」
「え?」
「アクア」
クレアさんが杖を振って呪文を唱えると杖の先から水が噴き出してきた。
「こんな便利な魔法があったんかい!」
「え?」
みんなが一斉に私を見る。私は慌てて手で口を塞いだ。
「今の麗華ちゃんが言ったんだよね?」
サラさんが小さな声で言う。
「ち、違うんです」
「麗華ちゃんがこんな言葉を使うなんて以外だなあ」
勇者様の一言が胸に刺さる。ああ、勘違いされるよー。
「こ、これは、その、文化祭で友達とコントをする予定だったので、ツッコミを入れる練習をしていまして・・・・」
「文化祭でコント? 変わった学校だね?」
「そ、そうかなあ?」
まずい変なこと言っちゃった。
「私、関西出身だから大阪の学校は文化祭にコントをするんです」
思いっきり東京出身である。
「へえ、そうなんだ」
何とか誤魔化せたかな? 興奮すると地が出る癖を何ときゃしなきゃ。基本私って人前で飾っちゃうタイプだもんね。これではダメだわ。
「僕は麗華を東京でスカウトし・・・・」
私は今までに見たこともないスピードでポチを掴むと大空目掛けて放り投げた。
「今、東京って言ってなかった?」
アイラがぼそりと言う。
「やだ、気のせいですよ」
「でも確かに・・・・」
「気のせいなんです!」
「はい」
何とか誤魔化せたわね。これって私の目力の勝利だよね。
でも、こんな簡単に水が飲めるんだったら我慢せずにもっと早く言えば良かった。私は遠慮なくガブガブ水を飲んだ。しかもこの水ってお店で売ってる高い水と同じ味だ。美味しい!
「よほど喉が渇いていたんですね」
「ありがとうございました。生き返った気分です」
「喜んで貰えて嬉しいです」
満面の笑みで答えるクレアさん。とてもいい人なんだけど。
「もっとたくさん飲めるように水を汲んでおきますね。入れ物は? そうだ。背中の壺に入れておけばいいのですね」
ズシリ。重い、重すぎる。
「これでストローを挿して口元まで伸ばせば、いつでも水が飲めますね。たくさん飲めるように壺いっぱいに水を入れておきますからね」
いい人なんだけど、どこか抜けてるような。
ドシン! 私は壺の重さで尻餅をついてしまった。
「大丈夫ですか?」
「ごめんなさい。壺が重すぎて立てません」
私は半泣きで訴えた。ただでさえ重い壺に水をいっぱい入れたら重すぎて立ち上がるの無理だよ。
「もしかして壺が重いのですか?」
「はい、思いっきり重いです」
「では、ライト」
あれ? 壺が軽くなった。というか背負ってないみたい。
「重力を軽減する魔法を掛けました。これで大丈夫ですね」
「はい・・・・」
私は小さく頷いた後、正面を向きなおして叫んだ。
「てか、こんな魔法があるんだったらもっと早く出さんかーい!!!」
もう言い訳すらしない私なのでした。
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