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第二章 旅立ち
第二十七話 もうダメだわ!
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私は大きな壺を背負うと宿を出た。
『う~重いよ』
「この壺があると安心ですね」
クレアさんは満面の笑みで私を見ている。
「えらく大きな壺を背負ってるんだな」
サラが不思議そうに私の背中にある壺を眺めている。
「これは幸運をもたらす壺ですよ」
クレアさんが益々笑顔になる。こんなクレアさんを見るのは初めてだ。もしかして誰かに壺を勧めたくて言い出せなかったのかな? 自分の夢が叶って喜んでるのかな?
「サラさんもいい壺を見繕いましょうか?」
「私はいいよ」
「だったらあああああさんはどうですか?」
「私も遠慮しとくよ。勇者の武器は重いからね。これ以上重い物は持つことができそうにない」
「じゃあ、アイラ・・・・」
「私はいいわよ。私の家には『大きな壺を持つべからず』という家訓があるの」
やっぱり。私が素直に壺を持った第一号だったわけか。
「麗華の家には『壺を持ち歩くな』という家訓はないのかい?」
え? ポチ、もしかして私を助けようとしてくれてるの?
「そ、そういえばそんな家訓があったような?」
「異世界のアイラはともかく、日本の麗華の家にそんな家訓あるわけないね」
助けるんじゃなかったんかい! 一瞬でも感謝した私がバカだったわ。
その時一匹のモンスターが私達の前に飛び出してきた。
「まずい! セコセコキングだ!」
何てネーミングのモンスターなの?
「相手が悪すぎる。ここは逃げよう」
「そんなに強いんですか?」
「決して強くないわ。ただせこいてばかり使ってくるのよ」
アイラがため息をつきながら答えた。
あああああ一行は逃げようとした。しかし、セコセコキングに回り込まれた。
「仕方ない。戦うぞ。麗華ちゃんは特に気を付けるように」
「はい」
どうして私が特に気を付けるんだろう。
セコセコキングの攻撃。麗華は35のダメージを受けた。あああああの攻撃。セコセコキングはひらりと身をかわした。アイラの攻撃。アイラは火炎の魔法を唱えた。セコセコキングは氷の盾でこれを跳ね返した。火炎の魔法は麗華にあたった。麗華は50のダメージを受けた。
「麗華さん、大丈夫ですか?」
クレアは回復魔法を唱えた。麗華のHPが200回復した。
「どうして私ばかり攻撃されるんですか?」
「そのパーティーの一番レベルの低い人から攻撃してくるのよ」
「ええー!」
セコセコキングは子守歌を歌った。あああああは眠ってしまった。アイラは眠ってしまった。麗華は眠らなかった。クレアは眠ってしまった。サラは眠ってしまった。
「え? これって? ええーーー!」
セコセコキングは力をためている。
「勇者様。起きてください。勇者様ー!」
セコセコキングは超メガトンパンチを繰り出そうとしている。
「ええーーー!!! クレアさんお願いですから起きてください!」
セコセコキングは超メガトンパンチを繰り出した。
「きゃー!!!!!!」
麗華は後ろを向いてしゃがんだ。セコセコキングは大きな壺を叩いてしまい135のダメージを受けた。セコセコキングはもがき苦しんでいる。
「今がチャンスだ麗華。とどめを刺すんだ!」
「どうすればいいの?」
「今こそクロッシングフラッシュを使うんだ!」
「嫌よ!」
「みんな寝てるから今なら大丈夫だよ」
「そうか・・・・ってポチは起きてるでしょ!」
「わかった。僕は目をつぶってるよ」
「そんなの嘘に決まってるじゃない!」
仕方ないわ。こうなれば。私はポチを捕まえようとしたがポチが逃げ回ってなかなか捕まらない
「どうして逃げるのよ」
「モンスター目掛けて投げられるってわかってるのに、みすみす捕まる猫はいないよ」
もう、この非常事態に! ならこうよ!
「ヘヤーブラッシュ!」
私の髪は見事にセコセコキングに命中した。セコセコキングに562のダメージを与えた。麗華はセコセコキングを倒した。
「やったー!」
戦いが終わるとみんなも目を覚ました。
「麗華ちゃん大丈夫だったかい?」
勇者様の温かい言葉に癒やされる。
「ありがとうございます。何とかセコセコキングを倒すことができました」
「すごいですね。一人で倒したんですか?」
「この壺に助けられました」
「ね。幸運をもたらす壺でしょ?」
「はい」
「ところで麗華ちゃん」
アイラさんがぼそりと聞く。
「髪型変えた?」
私は慌てて頭に手をやった。ない! あるはずの髪の毛がすべてなくなってる。
「大丈夫だよ。一週間もすれば元に戻るよ」
「ええー!? 一週間もかかるのー!?」
私は壺を背負うのをやめて頭から被る覚悟を決めるのであった。たとえ前が見えなくてもこの方がましよ!
『う~重いよ』
「この壺があると安心ですね」
クレアさんは満面の笑みで私を見ている。
「えらく大きな壺を背負ってるんだな」
サラが不思議そうに私の背中にある壺を眺めている。
「これは幸運をもたらす壺ですよ」
クレアさんが益々笑顔になる。こんなクレアさんを見るのは初めてだ。もしかして誰かに壺を勧めたくて言い出せなかったのかな? 自分の夢が叶って喜んでるのかな?
「サラさんもいい壺を見繕いましょうか?」
「私はいいよ」
「だったらあああああさんはどうですか?」
「私も遠慮しとくよ。勇者の武器は重いからね。これ以上重い物は持つことができそうにない」
「じゃあ、アイラ・・・・」
「私はいいわよ。私の家には『大きな壺を持つべからず』という家訓があるの」
やっぱり。私が素直に壺を持った第一号だったわけか。
「麗華の家には『壺を持ち歩くな』という家訓はないのかい?」
え? ポチ、もしかして私を助けようとしてくれてるの?
「そ、そういえばそんな家訓があったような?」
「異世界のアイラはともかく、日本の麗華の家にそんな家訓あるわけないね」
助けるんじゃなかったんかい! 一瞬でも感謝した私がバカだったわ。
その時一匹のモンスターが私達の前に飛び出してきた。
「まずい! セコセコキングだ!」
何てネーミングのモンスターなの?
「相手が悪すぎる。ここは逃げよう」
「そんなに強いんですか?」
「決して強くないわ。ただせこいてばかり使ってくるのよ」
アイラがため息をつきながら答えた。
あああああ一行は逃げようとした。しかし、セコセコキングに回り込まれた。
「仕方ない。戦うぞ。麗華ちゃんは特に気を付けるように」
「はい」
どうして私が特に気を付けるんだろう。
セコセコキングの攻撃。麗華は35のダメージを受けた。あああああの攻撃。セコセコキングはひらりと身をかわした。アイラの攻撃。アイラは火炎の魔法を唱えた。セコセコキングは氷の盾でこれを跳ね返した。火炎の魔法は麗華にあたった。麗華は50のダメージを受けた。
「麗華さん、大丈夫ですか?」
クレアは回復魔法を唱えた。麗華のHPが200回復した。
「どうして私ばかり攻撃されるんですか?」
「そのパーティーの一番レベルの低い人から攻撃してくるのよ」
「ええー!」
セコセコキングは子守歌を歌った。あああああは眠ってしまった。アイラは眠ってしまった。麗華は眠らなかった。クレアは眠ってしまった。サラは眠ってしまった。
「え? これって? ええーーー!」
セコセコキングは力をためている。
「勇者様。起きてください。勇者様ー!」
セコセコキングは超メガトンパンチを繰り出そうとしている。
「ええーーー!!! クレアさんお願いですから起きてください!」
セコセコキングは超メガトンパンチを繰り出した。
「きゃー!!!!!!」
麗華は後ろを向いてしゃがんだ。セコセコキングは大きな壺を叩いてしまい135のダメージを受けた。セコセコキングはもがき苦しんでいる。
「今がチャンスだ麗華。とどめを刺すんだ!」
「どうすればいいの?」
「今こそクロッシングフラッシュを使うんだ!」
「嫌よ!」
「みんな寝てるから今なら大丈夫だよ」
「そうか・・・・ってポチは起きてるでしょ!」
「わかった。僕は目をつぶってるよ」
「そんなの嘘に決まってるじゃない!」
仕方ないわ。こうなれば。私はポチを捕まえようとしたがポチが逃げ回ってなかなか捕まらない
「どうして逃げるのよ」
「モンスター目掛けて投げられるってわかってるのに、みすみす捕まる猫はいないよ」
もう、この非常事態に! ならこうよ!
「ヘヤーブラッシュ!」
私の髪は見事にセコセコキングに命中した。セコセコキングに562のダメージを与えた。麗華はセコセコキングを倒した。
「やったー!」
戦いが終わるとみんなも目を覚ました。
「麗華ちゃん大丈夫だったかい?」
勇者様の温かい言葉に癒やされる。
「ありがとうございます。何とかセコセコキングを倒すことができました」
「すごいですね。一人で倒したんですか?」
「この壺に助けられました」
「ね。幸運をもたらす壺でしょ?」
「はい」
「ところで麗華ちゃん」
アイラさんがぼそりと聞く。
「髪型変えた?」
私は慌てて頭に手をやった。ない! あるはずの髪の毛がすべてなくなってる。
「大丈夫だよ。一週間もすれば元に戻るよ」
「ええー!? 一週間もかかるのー!?」
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